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「とにかく使いをやってくれ」と云いながら、五郎太はいま取り出した本の題簽だいせんを読んだ、「古今和歌集、巻の五、秋の歌か」
古今集巻之五 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
……かん、五、じょうさく、六、の七ツの孔は、人間の五情の言葉と両性の呼吸いきともいえよう。懐竹抄かいちくしょうを読んだことがあるだろう
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
りながら仏のおしえは奇妙な仕置にて、大乗小乗と二つ分ちて、小乗はこんの人の教え、大乗は上根の人への教えと定めこれ有り候。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
所謂補瀉ほしやの別である。峻烈手段にはかんの三法があるが、其一隅を挙げて瀉と云ふのである。張従正は瀉を用ゐた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
正三君はくちびるから血がしたたってものすごかった。尾沢生はたちまち鼻血を流した。一じょう虚々実々きょきょじつじつとまではいかないが、ひとしきりは実に猛烈だった。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
答 「」とは「並」の意、「手」とは「たち」の意。謂わば「並のもの」「普通のもの」、吾々が「不断遣ふだんづかい」と呼ぶ日々必要な実用品を指すのである。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
どんな役に立たない、の代物、例えば、そこいらに落ちている襤褸ぼろっきれみたいな物でも、値段がありますよ——襤褸だって紙工場へ売れますからね。
夜十時点検終わり、差し当たる職務なきはし、余はそれぞれ方面の務めにき、高声火光を禁じたれば、じょう甲板も甲板もせきとしてさながら人なきようになりぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
大正六年十月十五日 帰省中風早かざはや柳原西のに遊ぶ。風早西の下は、余が一歳より八歳まで郷居せし地なり。家むなしく大川の堤の大師堂のみ存す。其堂の傍に老松あり。
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
古今集巻十八ぞう所載「き世にはかどさせりとも見えなくになどか我が身の出でがてにする」と云う歌は、「つかさの解けてはべりける時よめる」と云う詞書ことばがきの通り
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
アセチリン瓦斯の臭い下の露店と男に会う毎にさわぐ芸者共が真面にお化粧してすに歩くのにも石の上で三味を弾く袖乞の指先にも活きて動く世の中がひらめいて居る。
家はに属するものと品定しなさだめの人たちに言われるはずの所でも、そんな所から意外な趣のある女を見つけ出すことがあればうれしいに違いないと源氏は思うのである。
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ここに三浦兵衛尉義勝ひょうえのじょうよしかつとありますよ。この人はじゅ五位だ。元弘げんこう二年新田義貞にったよしさだたすけて、鎌倉かまくらを攻め、北条高時ほうじょうたかときの一族を滅ぼす、先世のあだかえすというべしとしてありますよ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
進むと見ればたちまち退き、右によろめき左にのめくり、一じょう、輾転反側。
「ほほう、じゃねじ込みが又例の如しでうまく成功した訳だな。それは満足した時のだが、でもまあそのうちの方だね。してみると、娘さんと二人きりでは会えなかったとみえるな……」
親方コブセ (新字新仮名) / 金史良(著)
... しゃアがれ、消えてなくなれと! そこであっしがショボショボと、山をくだるの一段となる。どう考えたっての役だ!」ここで忠三手をうった。「あねご、行きやしょう。城之介を追って!」
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
玄象道人はじろりとお蓮を見ると、二三度びた笑い声を出した。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
これはいうまでもなくであります。
青年の思索のために (新字新仮名) / 下村湖人(著)
(木槌の音三
阿難と呪術師の娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
難中の難事たる所以ゆえんは実にそこにあります。兵を用いるの道は、心を攻むるを以て上とし、武力に終るはなりと承っています。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無政府主義者でも、社会主義者でも、までの人間を理性のある人間と同一に扱おうとしているから間違っているのです。一般選挙権の問題でからがそうです。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
昭和十年四月二十五日 風早西のの句碑を見、鹿島に遊ぶ。松山、黙禅邸。松山ホトトギス会。
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
」とは「並」の意である。私は読者がこの定義を厳守されることを望む。これに対し、「上手物」というのは少数の富貴の人のために、美術的意識から少量に作られる高価な器物を指すのである。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
これはじょうであります。
青年の思索のために (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「いやいや、策士に策をもって当るなど、下策げさく。白紙になって会うにかぎる。虚心坦懐きょしんたんかい、ただ自分のこの一生懸命だけを云ってみよう」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五年十二月には南部なんぶ家と共に永く東西蝦夷地を警衛することを命ぜられて、十万石に進み、じゅ四位に叙せられた。この津軽家の政務発展の時に当って、允成が啓沃けいよくの功も少くなかったらしい。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
風早の西ノに赴く。豊田、猪野いの等に迎へられ猪野宅招宴。
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
一人の劉備を怖れて、将来のわずらいを除くために、四海の信望を失うなどは、下策げさくというもので、私は絶対に賛成できません
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孟達はこれに反し、敵の来攻を待つは戦略のである、すべからく関を出でて、即決進撃をはばむべしと称して退かなかった。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「どうしようといっても急には城もちまい。甘寧をわざと城へ誘いこんで袋叩きにするという策は、名案に似て、実は下策げさくだったな、こうなってみると」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
京へ凱旋がいせんしてのち、七ほんやり連中れんちゅうをはじめ諸将しょしょうの下のものへまで、すべて、論功行賞ろんこうこうしょうをやったかれにはまた、朝廷ちょうていから、じゅ参議さんぎせらるという、位官いかんのお沙汰さたがくだる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、やはり世界は世話が面白い。あんな石垣や城壁でかためた宿屋には、滅多に泊るものじゃない。……ところで釘勘、今日はぜひともお蝶を探し出さねばならぬ、そちも懸命に腕を
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正四位ノ右衛門佐うえもんのすけじょし、越後守とし、あわせて上野こうずけ播磨はりまを下さる。
じょうちゅう
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)