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下座敷
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したざしき
ふりがな文庫
“
下座敷
(
したざしき
)” の例文
二階の一間の
欄干
(
らんかん
)
だけには日が当るけれど、
下座敷
(
したざしき
)
は茶の間も共に、外から
這入
(
はい
)
ると人の顔さえちょっとは見分かぬほどの薄暗さ。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一度
下座敷
(
したざしき
)
で若々しい女の笑い声が聞えた時などは、誰か御客が来ているようだねと尋ねて見ようかしらんと考えたくらいである。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もしこの
家扶
(
かふ
)
が
下座敷
(
したざしき
)
にゐたまゝであつたならば
無論
(
むろん
)
壓死
(
あつし
)
したであらうが、
主人
(
しゆじん
)
思
(
おも
)
ひの
徳行
(
とくこう
)
のために
主人夫妻
(
しゆじんふうふ
)
と
共
(
とも
)
に
無難
(
ぶなん
)
に
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
されたのであつた。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
今年の五月、菊五郎一座が
水戸
(
みと
)
へ乗込んだ
時
(
とき
)
。一座の
鼻升
(
びしょう
)
、菊太郎、
市勝
(
いちかつ
)
等
(
ら
)
五名は
下市
(
しもいち
)
の
某旅店
(
ぼうりょてん
)
(名は
憚
(
はばか
)
つて
記
(
しる
)
さぬ)に泊つて、
下座敷
(
したざしき
)
の六畳の
間
(
ま
)
に陣取る。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それを聞いた叔父さんも
下座敷
(
したざしき
)
へ来て、チョイ/\
外出
(
よそゆき
)
に着て行かれるやうな女物を見せて貰つた。番頭は糸織の反物、
鬱金
(
うこん
)
の布に巻いた帯地などを
皆
(
みん
)
なの前に取出した。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
行くの勇氣を以てあたるべしと語るうち
下座敷
(
したざしき
)
に
月琴
(
げつきん
)
の響き聞ゆ怪しの物の
音
(
ね
)
や東京を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
通されたのは二階の六畳の書斎であったが、庭を
瞰下
(
みおろ
)
すと、庭には樹から樹へ
紐
(
ひも
)
を渡して
襁褓
(
おしめ
)
が幕のように列べて
乾
(
ほ
)
してあって、
下座敷
(
したざしき
)
で
赤児
(
あかご
)
のピイピイ泣く声が手に取るように聞える。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
先ず客を招く準備として、
襖絵
(
ふすまえ
)
の
揮毫
(
きごう
)
に
大場学僊
(
おおばがくせん
)
を
煩
(
わずら
)
わした。学僊は当時の老大家である。毎朝
谷中
(
やなか
)
から老体を運んで来て描いてくれた。
下座敷
(
したざしき
)
の襖六枚には
蘆
(
あし
)
に
雁
(
がん
)
を
雄勁
(
ゆうけい
)
な筆で活写した。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
障
(
さわ
)
れば
絶
(
た
)
ゆる
蛛
(
くも
)
の
糸
(
いと
)
のはかない
處
(
ところ
)
を
知
(
し
)
る
人
(
ひと
)
はなかりき、七月十六日の
夜
(
よ
)
は
何處
(
どこ
)
の
店
(
みせ
)
にも
客人
(
きやくじん
)
入込
(
いりこ
)
みて
都々
(
どゝ
)
一
端歌
(
はうた
)
の
景氣
(
けいき
)
よく、
菊
(
きく
)
の
井
(
ゐ
)
の
下座敷
(
したざしき
)
にはお
店者
(
たなもの
)
五六人
寄集
(
よりあつ
)
まりて
調子
(
てうし
)
の
外
(
はづ
)
れし
紀伊
(
きい
)
の
國
(
くに
)
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
臥床
(
ふしど
)
を出るや否やいそいで
朝飯
(
あさはん
)
を
準
(
ととの
)
えようと
下座敷
(
したざしき
)
へ降りかけた時
出合頭
(
であいがしら
)
にあわただしく
梯子段
(
はしごだん
)
を上って来たのは年寄った宿の妻であった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
下座敷
(
したざしき
)
に泊まっている三人の女学生をおどそうという目的で、かの奇怪な動物を買い込んだのであった。若い女学生たちは下座敷のひとつの蚊帳のなかに寝床を並べている。
山椒魚
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
下座敷
(
したざしき
)
はいまだに
客
(
きやく
)
の
騷
(
さわ
)
ぎはげしく、お
力
(
りき
)
の
中座
(
ちうざ
)
をしたるに
不興
(
ぶきよう
)
して
喧
(
やかま
)
しかりし
折
(
おり
)
から、
店口
(
みせぐち
)
にておやお
皈
(
かへ
)
りかの
聲
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
くより、
客
(
きやく
)
を
置
(
おき
)
ざりに
中坐
(
ちうざ
)
するといふ
法
(
はう
)
があるか、
皈
(
かへ
)
つたらば
此處
(
こゝ
)
へ
來
(
こ
)
い
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
二人が入れ直す茶を飲んだ後、老人は二階に、二人の女達は
下座敷
(
したざしき
)
に寝る仕度をした。
老人
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
翌日
(
あくるひ
)
の朝種彦は独り
下座敷
(
したざしき
)
なる竹の
濡縁
(
ぬれえん
)
に出て顔を洗い食事を済ました
後
(
のち
)
さえ何を考えるともなく折々
毛抜
(
けぬき
)
で
頤鬚
(
あごひげ
)
を抜きながら、
昨夜
(
ゆうべ
)
若い男女の忍び
逢
(
あ
)
ったあたりの
庭面
(
にわもせ
)
に
茫然
(
ぼんやり
)
眼を移していた。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ことわりてゐたりしかど金子翁かつて八百屋が先代の主人とは懇意なりける由にて事の次第を
咄
(
はな
)
して頼みければ今の若き主人心よく承知して池に
臨
(
のぞ
)
む
下座敷
(
したざしき
)
を清め床の間の軸も
光琳
(
こうりん
)
が松竹梅の
三幅対
(
さんぷくつい
)
を
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
座
常用漢字
小6
部首:⼴
10画
敷
常用漢字
中学
部首:⽁
15画
“下座”で始まる語句
下座
下座触
下座語
下座先触
下座出方