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三方
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さんぱう
指す
方へ、
煉瓦塀板塀續きの
細い
路を
通る、とやがて
其の
會場に
當る
家の
生垣で、
其處で
三つの
外圍が
三方へ
岐れて
三辻に
成る……
曲角の
窪地で
二日の
日の
午後、
火と
煙を
三方に
見ながら、
秋の
暑さは
炎天より
意地が
惡く、
加ふるに
砂煙の
濛々とした
大地に
茣蓙一枚の
立退所から、
軍のやうな
人ごみを、
拔けつ、
潛りつ
目的の
海岸——
某地に
着くと、
海を
三方——
見晴して、
旅館の
背後に
山がある。
上に
庚申のほこらがあると
聞く。……
町並、また
漁村の
屋根を、
隨處に
包んだ
波状の
樹立のたゝずまひ。
池を
圍んだ
三方の
羽目は
板が
外れて
壁があらはれて
居た。
室數は
總體十七もあつて、
庭で
取𢌞した
大家だけれども、
何百年の
古邸、
些も
手が
入らないから、
鼠だらけ、
埃だらけ、
草だらけ。
南屋の
普請に
懸つて
居るので、ちやうど
與吉の
小屋と
往來を
隔てた
眞向うに、
小さな
普請小屋が、
眞新い、
節穴だらけな、
薄板で
建つて
居る、
三方が
圍つたばかり、
編むで
繋いだ
繩も
見え
數限もない
材木を
水のまゝに
浸してあるが、
彼處へ五
本、
此處へ六
本、
流寄つた
形が
判で
印した
如く、
皆三方から
三ツに
固つて、
水を
三角形に
區切つた、あたりは
廣く、
一面に
早苗田のやうである。