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かいてう
此種の
海鳥は、
元來左迄に
性質の
猛惡なもので
無いから、
此方さへ
落付いて
居れば、
或は
無難に
免れる
事が
出來たかも
知れぬが、
不意の
事とて、
心から
顛倒して
居つたので
私も
愕然として
振向くと、
今迄は
白色巡洋艦の
一方に
氣を
取られて、
少しも
心付かなかつたが、
只見る、
西方の
空一面に「ダンブロー
鳥」とて、
印度洋に
特産の
海鳥——
其形は
鷲に
似て
嘴鋭く
あらゆる
防水の
方便は
盡されたが、
微塵に
打碎かれたる
屹水下からは
海潮瀧の
如く
迸入つて、
其近傍には
寄り
附く
事も
出來ない。十
臺の
喞筒は、
全力で
水を
吐出して
居るが
何の
效能もない。
翌朝になつて
見ると、
海潮は
殆ど
平常に
復したが、
見渡す
限り、
海岸は、
濁浪怒濤の
爲に
荒されて、
昨日美はしく
飾立てゝあつた
砂上の
清正の
人形も、
二見ヶ
浦の
模形も、
椰子林の
陣屋も