鼻息はないき)” の例文
伯父は手を動かしながら、こんな話をする。昔、盆栽の一番の薬は何かと聴いたら、主人の鼻息はないきだと教えた人があったそうだ。
由布院行 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
先刻さツき小屋こやはいつて世話せわをしましたので、ぬら/\したうま鼻息はないき体中からだぢゆうへかゝつて気味きみわるうござんす。丁度ちやうどうございますからわたしからだきませう
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちいさなくせに、なまいきをいうな。」と、うえいてふと鼻息はないききかけますと、からすはびっくりして
馬を殺したからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
このあはれなちひさなものは、あいちやんがつかまへたとき蒸氣じやうき機關きくわんのやうなおそろしい鼻息はないきをしました、それからわれとからだを二つにかさねたり、また眞直まつすぐばしたりなどしたものですから
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ぐにたツてられねえもの、どうも幾許いくらたくつてもられません、あまり馬鹿馬鹿ばかばかしくつて口惜くやしいたツて口惜くやしくねえたツてたまらないもの……。と鼻息はないきあらく思ふやうに口もきけん様子。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
しきりになめたれば心さはやかになりのどうるほひしに、熊は鼻息はないきならしてねいるやう也。
ちと具合ぐあひわるいので、三にん其所そこつてると、それとつた男子達をとこたちは、きこえよがしに高話たかばなしである。何處どこやつだか、んな大穴おほあな穿けやアがつた。今度こんど見附次第みつけしだい叩殺たゝきころしてやるといふ血腥ちなまぐさ鼻息はないき
と、飛んでもない鼻息はないきで、うでまくりをしてつめよった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
火の鼻息はないき
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ありや、と威勢ゐせいよく頭突づつきかゞんで、鼻息はないきをふツとき、一散いつさんくろつてがら/\と月夜つきよ駈出かけだす。……
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
は、いつものごとく時計とけいが十つとにつきました。子供こどもたちは、二かいがって、まくらにあたませると、すぐかすかな、健康けんこう心地ここちよさそうな鼻息はないきをたてていました。
火事 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あいかわらず鼻息はないきだけはすばらしい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とほ彼方かなたからひた/\と小刻こきざみけてるのは、二本足ほんあし草鞋わらぢ穿いたけものおもはれた、いやさまざまにむら/\といへのぐるりを取巻とりまいたやうで、二十三十のものゝ鼻息はないき羽音はおと
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あえぐわ、しゃぶるわ! 鼻息はないきがむツとかかる。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)