がい)” の例文
あれは子ープルスのいへの三がいからへるエリノしまにそのまんまですこと此方こなたのはあたま禿げた老爺おぢいさんがさかなつてかたちによくますねえ。
あのちひさな建築技師けんちくぎしが三がいも四かいもあるてゝ、一かいごと澤山たくさん部屋へやつくるのですから、そこには餘程よほどあはせたちからといふものがはいつてるのでせう。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
大層たいそう感心かんしんしましてじつ恐入おそれいつたものだ、中々なか/\アヽところ商売人しやうばいにんだつて容易よういくもんぢやアないとひました、何卒どうぞ打出はねましたらと三がいらつしやいまして
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
間もなく伊太利イタリイへ出掛けるつもりだから、荷物の預け場所にと思つて四階の狭い部屋をえらんだが、下の部屋よりも明るいのは儲け物である。三がいの一室に土屋工学士が居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
まわれば大門おほもん見返みかへやなぎいとながけれど、おぐろどぶ燈火ともしびうつる三がいさわぎもごとく、けくれなしのくるま行來ゆきゝにはかりられぬ全盛ぜんせいをうらなひて、大音寺前だいおんじまへほとけくさけれど
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
※クトル・マツセの三がいの暗き梯子をたどりあがりて、部屋をひらき、手さぐりにダルメツトとりつつを点じ給ひてのちも、光及ばぬ隅の暗さを見入りて我をや切に恋ひ給ふらん。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
くまばちふる土塀どへい屋根やねしたのやうなところにおほきなをかけますが、地蜂ぢばちもそれにおとらないほどの堅固けんごなもので、三がいにも四かいにもなつてて、それがうるしはしらさゝへてあります。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『あれ/\、あそこにへる宏壯りつぱな三がいいへ!』
海面より低いこの国は、何処どこへ行つても狭い運河カナルが縦横に通じて、小橋こばし色色いろいろに塗つた美しい船との多いのがに見られない景色である。建築は一体にひくい家ばかりで三がい以上の物はすくない。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)