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陰々
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いん/\
……
二人三人、
乘組んだのも
何處へか
消えたやうに、もう
寂寞する。
幕を
切つて
扉を
下ろした。
風は
留んだ。
汽車は
糠雨の
中を
陰々として
行く。
兵士の
軍楽を
奏しますのは
勇ましいものでございますが、
此の時は
陰々として
居りまして、
靴の
音もしないやうにお
歩行なさる事で、
是はどうも
歩行き
悪い事で
何と……
同じ
事を
昨年も
見た。……
篤志の
御方は、
一寸お
日記を
御覽を
願ふ。
秋の
半かけて
矢張り
鬱々陰々として
霖雨があつた。
三日とは
違ふまい。
処へ大きな
丈三
尺もある
白張の
提灯が
吊さがつて
居ります、
其提灯の
割には
蝋燭が
細うございますからボンヤリして、
何うも
薄気味の悪いくらゐ
何か
陰々として
居ります。
その
時、
横町を
縱に
見通しの
眞空へ
更に
黒煙が
舞起つて、
北東の
一天が
一寸を
餘さず
眞暗に
代ると、
忽ち、どゞどゞどゞどゞどゞと
言ふ、
陰々たる
律を
帶びた
重く
凄い
すると其の年も明けまして、
一陽来復、春を迎えましても、まことに屋敷は
陰々といたして居りますが、別にお話もなく、夏も
行き秋も過ぎて、冬のとりつきになりました。
「はゝあ、」と
歎息するやうに
云つた
時の、
旅客の
面色も
四邊の
光景も
陰々たるものであつた。
陰々たる
汀こそ
御占場と
称するので——(
小船は
通るさうである)——
画工さんと
英雄とは、そこへ——おのおの……
畠山の
馬ではない、……
猪を
抱き、
鹿をかつぐが
如き
大荷のまゝ
煙に
陰々として
横倒れに
寐て
居たのが、
此の
時仁王立ちに
成つたのである。
陰々として
深山の
気が
籠つて
来た。