陰々いん/\)” の例文
……二人ふたり三人さんにん乘組のりくんだのも何處どこへかえたやうに、もう寂寞ひつそりする。まくつてとびらろした。かぜんだ。汽車きしや糠雨ぬかあめなか陰々いん/\としてく。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
兵士へいし軍楽ぐんがくそうしますのはいさましいものでございますが、の時は陰々いん/\としてりまして、くつおともしないやうにお歩行あるきなさる事で、これはどうも歩行あるにくい事で
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
なんと……おなこと昨年さくねんた。……篤志とくし御方おかたは、一寸ちよつと日記につき御覽ごらんねがふ。あきなかばかけて矢張やつぱ鬱々うつ/\陰々いん/\として霖雨ながあめがあつた。三日みつかとはちがふまい。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ところへ大きなたけしやくもある白張しらはり提灯ちやうちんつるさがつてります、其提灯そのちやうちんわりには蝋燭ろうそくほそうございますからボンヤリして、うも薄気味うすきみの悪いくらゐなん陰々いん/\としてります。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
そのとき横町よこちやうたて見通みとほしの眞空まぞらさら黒煙こくえん舞起まひおこつて、北東ほくとう一天いつてん一寸いつすんあまさず眞暗まつくらかはると、たちまち、どゞどゞどゞどゞどゞとふ、陰々いん/\たるりつびたおもすご
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すると其の年も明けまして、一陽来復いちようらいふく、春を迎えましても、まことに屋敷は陰々いん/\といたして居りますが、別にお話もなく、夏もき秋も過ぎて、冬のとりつきになりました。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「はゝあ、」と歎息たんそくするやうにつたときの、旅客りよきやく面色おもゝち四邊あたり光景くわうけい陰々いん/\たるものであつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
陰々いん/\たるみぎはこそ御占場おうらなひばしようするので——(小船こぶねとほるさうである)——画工ゑかきさんと英雄えいゆうとは、そこへ——おのおの……畠山はたけやまうまではない、……しゝいだき、鹿しかをかつぐがごと大荷おほにのまゝ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
けむり陰々いん/\として横倒よこだふれにたのが、とき仁王立にわうだちにつたのである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
陰々いん/\として深山しんざんこもつてた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)