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金盥
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かなだらひ
ふりがな文庫
“
金盥
(
かなだらひ
)” の例文
次の部屋の火鉢に、しゆんしゆんと煮えたつてゐる湯を
金盥
(
かなだらひ
)
にうつして、それにタオルを浸し、富岡は、ゆき子の顔を拭いてやつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
振返
(
ふりかへ
)
り樣三刀四刀に切殺せり其中に下女は
表
(
おもて
)
へ
迯出
(
にげいで
)
人殺々々
(
ひとごろし/\
)
と
呼
(
よば
)
はりながら
金盥
(
かなだらひ
)
を
叩
(
たゝ
)
き立てしかば近隣の人々
馳付
(
はせつけ
)
る樣子を見て金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
この
金盥
(
かなだらひ
)
は、六人の子供に一つしかないので、部屋のまん中近くの臺の上に直ぐに載せられるやうなことはなかつた。また
呼鈴
(
ベル
)
が鳴つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
隣の次男は其婿が朝早く草の生えた井戸端で、
真鍮
(
しんちう
)
の
金盥
(
かなだらひ
)
で、眼鏡を
外
(
はづ
)
して、頭をザブザブ洗つて居るのを見たこともあつた。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
私
(
わたし
)
は
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
つて、
折
(
をり
)
から
運
(
はこ
)
ばれて
來
(
き
)
た
金盥
(
かなだらひ
)
のあたゝな
湯氣
(
ゆげ
)
の
中
(
なか
)
に、
草
(
くさ
)
の
葉
(
は
)
から
搖
(
ゆる
)
ぎ
落
(
お
)
ちたやうな
涙
(
なみだ
)
を
靜
(
しづ
)
かに
落
(
おと
)
したのであつた。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
▼ もっと見る
おつ母さん、
金盥
(
かなだらひ
)
に水をくんで来て頂戴。それから美代ちやん、二階の机の上の花瓶から
桔梗
(
ききやう
)
の花を二つぬいて来て……
萎
(
しを
)
れてないのをね。
空の悪魔(ラヂオ・ドラマ)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
氷嚢
(
こほりぶくろ
)
が
生憎
(
あいにく
)
無
(
な
)
かつたので、
清
(
きよ
)
は
朝
(
あさ
)
の
通
(
とほ
)
り
金盥
(
かなだらひ
)
に
手拭
(
てぬぐひ
)
を
浸
(
つ
)
けて
持
(
も
)
つて
來
(
き
)
た。
清
(
きよ
)
が
頭
(
あたま
)
を
冷
(
ひ
)
やしてゐるうち、
宗助
(
そうすけ
)
は
矢張
(
やは
)
り
精一杯
(
せいいつぱい
)
肩
(
かた
)
を
抑
(
おさ
)
えてゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『熱い、あつい。』お葉は、両わきにだらりと下げた手を、氷の入った
金盥
(
かなだらひ
)
のなかに落した。白く死んだやうな手に、冷たさがしん/\としみて行った。
青白き夢
(新字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
叔父さんは流許へ行つて、水道の口から
迸
(
ほとばし
)
るやうに出て来る冷い水を
金盥
(
かなだらひ
)
に受けて、それで顔を洗つた。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
大道の上に
茣蓙
(
ごさ
)
を敷いて、その上に大小樣々の金物、——
金盥
(
かなだらひ
)
やら、鈴やら、火箸やら、
藥罐
(
やくわん
)
やら、錢やら、鍵やら、ありとあらゆるものを並べ、薄茶色の粉で磨いて
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
『それで何で御座いますか、えゝ、お食事の方は?
矢張
(
やつぱり
)
お進みになりませんですか?』と言ひ乍ら、加藤は少し腰を浮かして、静子が薦める
金盥
(
かなだらひ
)
の水で真似許り手を洗ふ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
金盥
(
かなだらひ
)
に水を汲んで来て、富岡はタオルで、ゆき子の額を冷やしてやつた。つくづく自分が厭になつてゐる。富岡は急に金がほしくなつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
午過
(
ひるすぎ
)
に
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
て
見
(
み
)
ると、
御米
(
およね
)
は
金盥
(
かなだらひ
)
の
中
(
なか
)
に
雜巾
(
ざふきん
)
を
浸
(
つ
)
けて、六
疊
(
でふ
)
の
鏡臺
(
きやうだい
)
の
傍
(
そば
)
に
置
(
お
)
いてゐた。
其上
(
そのうへ
)
の
所
(
ところ
)
丈
(
だけ
)
天井
(
てんじやう
)
の
色
(
いろ
)
が
變
(
かは
)
つて、
時々
(
とき/″\
)
雫
(
しづく
)
が
落
(
お
)
ちて
來
(
き
)
た。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
聞し
周藏
(
しうざう
)
七左衞門の兩人も馳來り勝手より
手燭
(
てしよく
)
を取寄る此時村の
小使
(
あるき
)
三五郎は
臺所
(
だいどころ
)
に
寢
(
ね
)
て居たりしが
物音
(
ものおと
)
に驚き
金盥
(
かなだらひ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
甚
(
ひど
)
い寒さであつた。ぶる/\身體が慄へるのでどうにか着物をきて、
金盥
(
かなだらひ
)
が
空
(
あ
)
くのを待つて顏を洗つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
平次はさう言ひ乍ら、
幇間
(
たいこもち
)
の左孝の
臥
(
ね
)
て居る部屋へ入つて行きました。
燒酎
(
せうちう
)
臭い四疊半に、
金盥
(
かなだらひ
)
を一つ、美しいお駒が甲斐々々しく手拭を絞つては、左孝の額を冷して居るのでした。
銭形平次捕物控:054 麝香の匂ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あゝ。
左
(
さ
)
うして
呉
(
く
)
れ」と
宗助
(
そうすけ
)
は
答
(
こた
)
へた。さうして
小六
(
ころく
)
の
歸
(
かへ
)
る
間
(
あひだ
)
、
清
(
きよ
)
に
何返
(
なんべん
)
となく
金盥
(
かなだらひ
)
の
水
(
みづ
)
を
易
(
か
)
へさしては、
一生懸命
(
いつしやうけんめい
)
に
御米
(
およね
)
の
肩
(
かた
)
を
壓
(
お
)
し
付
(
つ
)
けたり、
揉
(
も
)
んだりして
見
(
み
)
た。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
金
常用漢字
小1
部首:⾦
8画
盥
漢検1級
部首:⽫
16画
“金”で始まる語句
金
金色
金子
金持
金剛石
金襴
金槌
金箔
金魚
金輪際