トップ
>
近郷
>
きんごう
ふりがな文庫
“
近郷
(
きんごう
)” の例文
一生の思出に、一度は
近郷
(
きんごう
)
近在
(
きんざい
)
の衆を呼んで、ピン/\した鯛の刺身煮附に、
雪
(
ゆき
)
の
様
(
よう
)
な米の
飯
(
めし
)
で腹が割ける程馳走をして見たいものだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
時間のゆるすかぎり、
糟谷
(
かすや
)
は
近郷
(
きんごう
)
の人の
依頼
(
いらい
)
に
応
(
おう
)
じて
家蓄
(
かちく
)
の
疾病
(
しっぺい
)
を見てやっていた。
職務
(
しょくむ
)
に
忠実
(
ちゅうじつ
)
な考えからばかりではないのだ。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
近郷
(
きんごう
)
の者すら何もしらないまに、六波羅の兵が三、四百人も
桟敷
(
さじき
)
ヶ
岳
(
たけ
)
や雲ヶ畑から入りこんで、僧正ヶ谷をつつんだのである。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
某
平生
(
へいぜい
)
朋友等無之候えども、大徳寺
清宕和尚
(
せいとうおしょう
)
は年来
入懇
(
じっこん
)
に致しおり候えば、この遺書
国許
(
くにもと
)
へ
御遣
(
おんつか
)
わし下され
候
(
そろ
)
前に、御見せ下されたく、
近郷
(
きんごう
)
の
方々
(
かたがた
)
へ頼入り候。
興津弥五右衛門の遺書(初稿)
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
近郷
(
きんごう
)
近在より多数の見物人集まり来り、その
賑
(
にぎや
)
かさ十六日の送盆に次ぐとある(横手郷土史)。すなわちこの土地では盆の後先に、両度の燈籠送りをしているのである。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
市
(
いち
)
が立つ日であった。近在
近郷
(
きんごう
)
の百姓は四方からゴーデルヴィルの町へと集まって来た。
糸くず
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
忽
(
たちま
)
ち
近郷
(
きんごう
)
にまで伝えられ、入学の者日に増して、間もなく一家は尊敬の
焼点
(
しょうてん
)
となりぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
大名高家の奥向きから
近郷
(
きんごう
)
近在のものまで語り伝えてわざわざ馬喰町まで買いに来た。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
尚
(
な
)
ほ
恁
(
か
)
くの通りの
旱魃
(
かんばつ
)
、市内は
素
(
もと
)
より
近郷
(
きんごう
)
隣国
(
りんごく
)
、
唯
(
ただ
)
炎の中に
悶
(
もだ
)
えまする時、
希有
(
けう
)
の
大魚
(
たいぎょ
)
の
躍
(
おど
)
りましたは、
甘露
(
かんろ
)
、
法雨
(
ほうう
)
やがて、
禽獣
(
きんじゅう
)
草木
(
そうもく
)
に到るまでも、雨に
蘇生
(
よみがえ
)
りまする
前表
(
ぜんぴょう
)
かとも存じまする。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それでも
猶
(
なお
)
近郷
(
きんごう
)
では屈指の
分限者
(
ぶげんじゃ
)
に相違ないと云う事、初子の父の栗原は彼の母の
異腹
(
はらちがい
)
の弟で、政治家として今日の位置に
漕
(
こぎ
)
つけるまでには、
一方
(
ひとかた
)
ならず野村の父の世話になっていると云う事
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
種畜場
(
しゅちくじょう
)
近郷
(
きんごう
)
の農家から、牛がすこしわるいからきてくれの、
碁会
(
ごかい
)
をやるからきてくれのとしきりにいうてきたけれど、いっさい
村落
(
そんらく
)
へでなかった。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
近郷
(
きんごう
)
近在の爺さん婆さん若い者女子供が、
股引
(
ももひき
)
草鞋
(
わらじ
)
で大風呂敷を持ったり、荷車を
挽
(
ひ
)
いたり、
目籠
(
めかご
)
を背負ったりして、早い者は夜半から出かける。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そうした上は、武士の面目も立つ、
近郷
(
きんごう
)
への評判もようなる、まず、
吉野郷
(
よしのごう
)
で
負
(
ひ
)
け
目
(
め
)
をとる
家統
(
いえすじ
)
は
他
(
ほか
)
にはあるまいてな
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
門前にて馬車
雇
(
やと
)
ひて走らするに、ほどなく停車場に来ぬ。けふは日曜なれど、天気
悪
(
あ
)
しければにや、
近郷
(
きんごう
)
よりかへる人も多からで、ここはいと
静
(
しずか
)
なり。新聞の号外売る婦人あり。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
それから間もなく、環が、養子先の長岡家から、飛出してしまったという噂が、大石村から、
近郷
(
きんごう
)
に伝わった。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
地形の
波面
(
なみづら
)
、
木立
(
こだち
)
、
田舎家
(
いなかや
)
などを
巧
(
たくみ
)
に
楯
(
たて
)
に取りて、
四方
(
よも
)
より
攻寄
(
せめよ
)
するさま、めづらしき
壮観
(
みもの
)
なりければ、
近郷
(
きんごう
)
の民ここにかしこに
群
(
むれ
)
をなし、中に
雑
(
まじ
)
りたる
少女
(
おとめ
)
らが黒
天鵝絨
(
ビロード
)
の
胸当
(
ミーデル
)
晴れがましう
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
人望
(
じんぼう
)
のあった糟谷の話であるから、
近郷
(
きんごう
)
の農民はきそうて
家畜
(
かちく
)
を
飼
(
こ
)
うた。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
毎日が
賽日
(
さいじつ
)
のように、泉岳寺の門前はあれ以来
雑閙
(
ざっとう
)
した。武家町人ばかりでなく、
近郷
(
きんごう
)
の百姓だの、東海道から入って来る旅客までが、駕や馬をそこに止める。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そちはこの
近郷
(
きんごう
)
の者らしいが、何処からか、この渓谷へ降りて行く道はないだろうか」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
麓
(
ふもと
)
のすこし手まえにある
御岳
(
みたけ
)
の
宿
(
しゅく
)
の
町中
(
まちなか
)
も、あしたから三日にわたる
山上
(
さんじょう
)
の
盛観
(
せいかん
)
をみようとする
諸国
(
しょこく
)
近郷
(
きんごう
)
の人々が、おびただしく
入
(
い
)
りこんできていて、どこの
旅籠
(
はたご
)
も人であふれ
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なるほど、
背
(
せ
)
なかにお
諏訪
(
すわ
)
さまの灸のあとがあれば、なんとか、いまに見つかるでしょう、あの
灸点
(
きゅうてん
)
は
甲府
(
こうふ
)
の
近郷
(
きんごう
)
でやっているほか、あまり
他
(
ほか
)
の国にはあんな大きな
灸
(
きゅう
)
は見ないからの」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
近郷
(
きんごう
)
へ避難してゆく、病人や年よりや女子どもの、続いて行ったのは、もう三日も前の京都で、今は、そんな光景すらなく、刻々と、気味わるい
静寂
(
しじま
)
のうちに、ここの死相は迫りかけていた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
折れる折れるといわれる刀は、おおかた、
近郷
(
きんごう
)
の名も無い雑鍛冶の
拵
(
こしら
)
え
刀
(
もの
)
に違いない。左様ないかさま
刀
(
もの
)
と混同されては心外である。
禄
(
ろく
)
を頂戴しておる藩公に対しても、
闡明
(
せんめい
)
にする義務がある。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この
天嶮
(
てんけん
)
をかく短時間に落城させた原因の一つだが、もっと大きな理由はもともとこの犬山はそれ以前に、池田勝入が城主となっていたことがあり、町の人々や
近郷
(
きんごう
)
の
長
(
おさ
)
、百姓にいたるまでが、今も
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“近郷”の意味
《名詞》
近くの里や村。
(出典:Wiktionary)
近
常用漢字
小2
部首:⾡
7画
郷
常用漢字
小6
部首:⾢
11画
“近郷”で始まる語句
近郷近在
近郷近国