からう)” の例文
からうじて猶ほ上り行けば、讀經の聲、振鈴の響、漸く繁くなりて、老松古杉の木立こだちを漏れてほのかに見ゆる諸坊のともしび、早や行先も遠からじと勇み勵みて行く程に
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
もし人のなだれにうたれ死したるにやとからうじて谷に下り、これれば稀有けうの大熊雪頽なだれ打殺うちころされたるなりけり。
ほとんど闇黒やみ全體ぜんたいつゝまれてつたが、わたくし一念いちねんとゞいて幾分いくぶ神經しんけいするどくなつたためか、それともひとみやうや闇黒あんこくれたためか、わたくしからうじてその燈光ひかり主體ぬしみと途端とたん
母はその身もともに責めらるる想して、あるひ可慚はづかしく、或は可忌いまはしく、このくるしき位置に在るにへかねつつ、言解かんすべさへ無けれど、とにもかくにも言はでむべき折ならねば、からうじて打出うちいだしつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
吾助は聞て我等事御存ごぞんじの通り岡山にて主取は致したれども高が若黨わかたう奉公なり何時までつとめたりともせんなしと奉公の中種々さま/″\なる内職致しからうじて漸々やう/\五十兩の金子をためたれば何卒大坂か江戸へ出此金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もし人のなだれにうたれ死したるにやとからうじて谷に下り、これれば稀有けうの大熊雪頽なだれ打殺うちころされたるなりけり。
手鎗てやりまわしたりして、からうじてその危害きがいふせいでるが、それも何時いつまでつゞことか、けるにしたがつて、猛獸まうじういきほひ益々ます/\激烈げきれつになつてた、かゝるときにはさかんにくにかぎると
佛蘭西フランス豫備海軍士官よびかいぐんしくわんとかへるすさまじくはやをとこだいちやく勤務きんむのためわが日本につぽんむかはんとてこのふね乘組のりくんだ伊太利イタリー公使館こうしくわんづき武官ぶくわん海軍士官かいぐんしくわんわたくしからうじてだいちやく、あまり面白おもしろくないので
二人はかじきに雪をこぎつゝ(雪にあゆむを里言にこぐといふ)たがひこゑをかけてたすけあひからうじてたふげこえけるに、商人あきひと農夫のうふにいふやう、今日の晴天に柏崎かしはざきまでは何ともおもはざりしゆゑ弁当べんたうをもたず
二人はかじきに雪をこぎつゝ(雪にあゆむを里言にこぐといふ)たがひこゑをかけてたすけあひからうじてたふげこえけるに、商人あきひと農夫のうふにいふやう、今日の晴天に柏崎かしはざきまでは何ともおもはざりしゆゑ弁当べんたうをもたず