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足袋跣足
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たびはだし
ふりがな文庫
“
足袋跣足
(
たびはだし
)” の例文
日光の
渇
(
かわき
)
……楽しい朝露……思わず嬉しさのあまりに、白い
足袋跣足
(
たびはだし
)
で草の中を飛び廻った。三吉がくれた
巻煙草
(
まきたばこ
)
も一息に吸い尽した。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
酔ったのも酔わないのも、一団になって飛出した様子、綾麿は観音様を抱いたまま、
足袋跣足
(
たびはだし
)
になって、隅田川の方へ飛んで居りました。
奇談クラブ〔戦後版〕:07 観音様の頬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ひとりごとのようにうめきつつ、静かに
雪駄
(
せった
)
をぬいで、
足袋跣足
(
たびはだし
)
になった大之進は、トントンと二、三度足踏みをして、歩固めをしながら
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
先方
(
さき
)
は
足袋跣足
(
たびはだし
)
で、
或家
(
あるいへ
)
を
出
(
で
)
て、——
些
(
ちつ
)
と
遠
(
とほ
)
いが、これから
行
(
ゆ
)
く
所
(
ところ
)
に、
森
(
もり
)
のある
中
(
なか
)
に
隱
(
かく
)
れて
待
(
ま
)
つた
切
(
きり
)
、
一人
(
ひとり
)
で
身動
(
みうご
)
きも
出來
(
でき
)
ないで
居
(
ゐ
)
るんです。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
五十本の吹き針を右の手に握って左の手では
褄
(
つま
)
を引き上げ、はきものもはかない
足袋跣足
(
たびはだし
)
で、こう駒雄へ声を掛けた時には、鈴江は門外へ走り出していた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
息子
(
むすこ
)
は夜きっと遅く帰る。玄関で靴を脱いで
足袋跣足
(
たびはだし
)
になって、
爺
(
おやじ
)
に知れないように廊下を通って、自分の部屋へ這入って寝てしまう。母はよほど前に
失
(
な
)
くなった。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女
(
かれ
)
は
裳
(
すそ
)
を高く
褰
(
かか
)
げて、
足袋跣足
(
たびはだし
)
で歩いた。何を云うにも
暗黒
(
くらがり
)
で
足下
(
あしもと
)
も判らぬ。
剣
(
つるぎ
)
なす岩に踏み懸けては滑り
墜
(
お
)
ち、
攀上
(
よじのぼ
)
っては
転
(
まろ
)
び落ちて、手を
傷
(
きずつ
)
け、
脛
(
はぎ
)
を痛めた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
早口にそういって自分は
足袋跣足
(
たびはだし
)
で片足つま先立って下駄を出している。実枝も立ち上っていっしょに慌て、ほれ、ほれ、と台所の
上
(
あが
)
り
框
(
かまち
)
に置いてあった弁当包みを渡した。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
着物の前ははだけ、裾からは真黒な
足袋跣足
(
たびはだし
)
。通りがかりの少年が、「やあ、女のお化け」といったのをムキになって怒り、「この野郎」と絶叫しながら追いかけていった。
野狐
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
自分のところの店番の若者と小僧の
足袋跣足
(
たびはだし
)
の足が手持無沙汰に同じ処を右往左往する。
とと屋禅譚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
虎松は
雪駄
(
せった
)
を帯の間に挿むと、
足袋跣足
(
たびはだし
)
のまま、下町の方へドンドン駈け下りていった。
くろがね天狗
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あの
人
(
ひと
)
が
一
(
ひ
)
と
足先
(
あしさ
)
きへお
風呂
(
ふろ
)
に
行
(
い
)
つた
隙
(
すき
)
を
見
(
み
)
て、
足袋跣足
(
たびはだし
)
で
飛出
(
とびだ
)
したんださうでございますの。それで
駈出
(
かけだ
)
して、
車
(
くるま
)
でステーションまで
来
(
き
)
て、
私
(
わたくし
)
のところへ
逃
(
に
)
げこんでまゐりました。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
足袋跣足
(
たびはだし
)
で、頭からづぶ濡れになつて、顔から雫を垂らしながらはん台を
披
(
ひろ
)
げるのを、おくみは水口の敷板の上に下りて、戸口にかゝるしぶきをよけながら、見つくろひをしてお皿を出した。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
貞之助はさっきもそう云う泥沼に
篏
(
は
)
まり込んで片一方の
靴
(
くつ
)
を取られてしまっていたので、残る一方の靴も脱ぎ捨て、靴下だけの
足袋跣足
(
たびはだし
)
になって行ったが、いつもなら一二分のところを行くのに
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
自分は
足袋跣足
(
たびはだし
)
で、庭へ飛び下りていました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
取乱してはおりますが、十八九の美しい娘が、
足袋跣足
(
たびはだし
)
のままで、入谷から神田まで駆けつけたということは、容易のことではありません。
銭形平次捕物控:072 買った遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
足袋跣足
(
たびはだし
)
で
出
(
で
)
たと
云
(
い
)
ふ、
今夜
(
こんや
)
は、もしや、あの
友染
(
いうぜん
)
に……あの
裾模樣
(
すそもやう
)
、と
思
(
おも
)
ふけれども、
不斷
(
ふだん
)
見馴
(
みな
)
れて
氣
(
き
)
に
染
(
し
)
みついた、
其
(
そ
)
の
黒繻子
(
くろじゆす
)
に、
小辨慶
(
こべんけい
)
。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
細い縞の袷を着、紺の帯を腰で結び、股引きを穿いた
足袋跣足
(
たびはだし
)
、小造りの体に鋭敏の顔付き。——
商人
(
あきんど
)
にやつした目明しという仁態。それがカラカラと笑っている。
三甚内
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
提灯に蝋燭の火が映る頃から、二人とも
足袋跣足
(
たびはだし
)
にまで成つて、
萬燈
(
まんどう
)
を振つて騷ぎ𢌞りました。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
入口に真新しい
雪駄
(
せった
)
があったが、裏金を剥がして、表には泥足の跡が付いていた。
足袋跣足
(
たびはだし
)
になって履いた証拠だ、女や中気病みの仕業じゃねえ。
銭形平次捕物控:036 八人芸の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
またも鈴江は褄を取り、
足袋跣足
(
たびはだし
)
の足で裾を蹴り、吹き針を握った右の手を、乳のあたりへしっかりと当てて、頸足をのばして前こごみにこごんで往来を一散に走り出した。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
火事の最中、雑所先生、
袴
(
はかま
)
の
股立
(
ももだち
)
を、高く取ったは
効々
(
かいがい
)
しいが、羽織も着ず……布子の片袖
引断
(
ひっちぎ
)
れたなりで、
足袋跣足
(
たびはだし
)
で、
据眼
(
すえまなこ
)
の
面
(
おもて
)
藍
(
あい
)
のごとく、火と烟の走る大道を、
蹌踉
(
ひょろひょろ
)
と
歩行
(
ある
)
いていた。
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、もう一人の世話人、
足袋跣足
(
たびはだし
)
のまま飛降りると、平次の袖へゾロリと、一と包の小判を握らせます。
銭形平次捕物控:018 富籤政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
秋草を銀で
刺繍
(
ぬいとり
)
して、ちらちらと
黄金
(
きん
)
の露を置いた、薄いお太鼓をがっくりとゆるくして、
羅
(
うすもの
)
の裾を敷いて、
乱次
(
しどけ
)
なさったら無い風で、美しい
足袋跣足
(
たびはだし
)
で、そのままスッと、あの別荘の縁を下りて
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
若主人、又次郎は、
足袋跣足
(
たびはだし
)
のまゝで、店口から飛出し、庭木戸を開けて、奧へ案内してくれます。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
若主人、又次郎は、
足袋跣足
(
たびはだし
)
のままで、店口から飛出し、庭木戸を開けて、奥へ案内してくれます。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
唐桟
(
とうざん
)
の
素袷
(
すあわせ
)
、
足袋跣足
(
たびはだし
)
のまま、
雪駄
(
せった
)
を片っぽだけそこに放り出して、少し
天眼
(
てんがん
)
に歯を喰いしばった死顔の不気味さ、男が
好
(
い
)
いだけに凄味がきいて、赤い扱帯に、蒼い顔の反映も
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
十七年前に
毮
(
むし
)
り取られた、たつた一人の娘戀しさに、三味線堀に獨り住居して居る、大ヒステリーの四十女は、もう十手も捕繩も眼中になく、大泣きに泣き濡れて
足袋跣足
(
たびはだし
)
のまゝ
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と兵庫、縁側から庭へ、
足袋跣足
(
たびはだし
)
で飛降ります。
銭形平次捕物控:040 大村兵庫の眼玉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
袋
常用漢字
中学
部首:⾐
11画
跣
漢検1級
部首:⾜
13画
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
“足袋跣”で始まる語句
足袋跣