見出みだ)” の例文
秋「わしは決して云わん、首尾好しゅびよく悪人を見出みだして御当家安堵の想いを為すような事になれば、何うか願って手前に五人扶持もりたいの」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
をとこすそ見出みだししかば、ものをもはず一嘴ひとくちばし引咬ひつくはへてばせば、美少年びせうねんはもんどりつて、天上てんじやう舞上まひあがり、雲雀ひばり姿すがたもなかりしとぞ。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
どこからも慰藉いしゃは来ない。自分の悲痛の内にも、それを見出みだす事が出来ない。そして男の涙の頬を伝わって流れるのを見て、その涙をうらやましく思った。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
そして、翌日よくじつのその新聞しんぶんには、おおきな見出みだしで、孝行こうこう少年しょうねん記事きじが、写真しゃしんとともにせられていました。
街の幸福 (新字新仮名) / 小川未明(著)
れいかつたのを今回こんくわい見出みだしたのだ。俵形ひやうけい土器どきから植物しよくぶつさがしたのは、じつである。あやう人夫にんぷてやうとしたのを、引取ひきとつて調しらべたからである。
小橋氏は鞄をひつさげた儘はたと立ち停つた。自分が訪ねてかうとする町の方角が立たなくなつたのだ。で、道通りの人の中から、精々せい/″\親切さうな、信神しんじん家らしい男を見出みだして呼びかけた。
せにしものはここ見出みだされ、求むるものはここに備はり、家兵燹へいせんに焼かるる憂なく、愛するつまを戦場に死せしめず、和楽の和雅音わげおん大空に棚引いたり。如何に人々、今こそ波羅葦増雲近づけり。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
ひきかへてたづねぬならねどづればれとははれぬおしゆうのもとへまた見出みだされて二おんあるがなかにも取分とりわけてじやうさまの御慈愛おいつくしみやまうちみねたかきがうへたかうみうち沖深おきふかきがうへふかしお可愛かあいびと
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこで哲学書を読む事にして、マリイに言い付けて、本箱からショペンハウエルとニイチェとを出させた。しばらく読んでいる内は、その説いている道理から平和を見出みだす事も出来た。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
東京理科大学の標本室には、加賀の白山はくさんで取ったのと、信州のこまヶ嶽たけ御嶽おんたけと、もう一色ひといろ、北海道の札幌で見出みだしたのと、四通り黒百合があるそうだが、私はまだ見たことはなかった。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
またもひともと見出みだしては
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
貴下あなたをおおくまをしますのに、町中まちぢう新地組合しんちくみあひ看板かんばんでは、御外聞おぐわいぶんかゝはらうとふ、……其處そこ橋向はしむかうを、あぶれてぶらついてります、てまへが、お見出みだしにあづかりましたものとえます、へい
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)