萬燈まんどう)” の例文
新字:万灯
れといふとやつ中間なかまがばらばらと飛出とびだしやあがつて、どうだらうちいさなもの萬燈まんどううちこわしちまつて、胴揚どうあげにしやがつて、やがれ横町よこてうのざまをと一にんがいふと
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
また、大通おほどほりの絹張きぬばり繪行燈ゑあんどう横町々々よこちやう/\あか軒提灯のきぢやうちんも、祭禮まつりやみはう相應ふさはしい。つき紅提灯べにぢやうちん納涼すゞみる。それから、そらえた萬燈まんどうは、しものお會式ゑしきおもはせる。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
提灯に蝋燭の火が映る頃から、二人とも足袋跣足たびはだしにまで成つて、萬燈まんどうを振つて騷ぎ𢌞りました。
餘所よそに見るとは何云心の人なるぞ殊には自分の身勝手みがつてのみ云散いひちらすは鬼かじやか思へば/\なさけなやと愚痴の出るも道理なり偖裏口より入んと思ふにあかり萬燈まんどうの如く大勢なる他人の居る中へかく窶然みすぼらしき姿にて這入はひらん事此家の手前も有ば如何いかゞせんと少間しばしたゝずみ居たりしにかたへに寢て居し一疋の犬あやしく思ひてや齒を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
れならばれがんでる、萬燈まんどう此處こゝへあづけてけばれも蝋燭ろうそくぬすむまい、正太しようたさんばんをたのむとあるに、吝嗇けちやつめ、其手間そのてまはやけととししたにかられて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
けると、くれなゐほしながるゝやうに、町々まち/\行燈あんどんつじ萬燈まんどう横町よこちやう提灯ちやうちんが、ひとえ、ふたえ、次第しだいくらくるまゝに、やゝちかまちとほつじに、ちかきはひくく、とほきはたかく、もりあればもりわた
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
去年も己れが處の末弟すゑの奴と正太郎組の短小野郎ちびやらう萬燈まんどうのたゝき合ひから始まつて、夫れといふと奴の中間がばらばらと飛出しやあがつて、どうだらう小さな者の萬燈をぶちこわしちまつて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なに女郎めらうの一ひきぐらゐ相手あひてにして三五らうなぐりたいことかつたけれど、萬燈まんどう振込ふりこんでりやあたゞかへれない、ほんの附景氣つけけいきつまらないことをしてのけた、りやあれが何處どこまでもるいさ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)