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云散
申付博奕を
打夜盜などする者を大切に致さるゝ上は覺悟の前なりと今迄
惡樣に取扱はれたる
意趣晴しの心にて存分に
云散してぞ立歸りける勘兵衞は早々勘太郎へ右の
咄を
餘所に見るとは何云心の人なるぞ殊には自分の
身勝手のみ
云散すは鬼か
蛇か思へば/\
情なやと愚痴の出るも道理なり偖裏口より入んと思ふに
灯は
萬燈の如く大勢なる他人の居る中へ
斯窶然き姿にて
這入ん事此家の手前も有ば
如何せんと
少間彳み居たりしに
傍に寢て居し一疋の犬
怪しく思ひてや齒を