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芒
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すゝき
ふりがな文庫
“
芒
(
すゝき
)” の例文
窓の半分を明るくした、秋の夜の月明り、
芒
(
すゝき
)
の中にしよんぼり女の立つて居るのが、影繪のやうに
鮮
(
あざ
)
やかに障子に映つて居るのです。
銭形平次捕物控:308 秋祭りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
おなじく桂川のほとり、
虎溪橋
(
こけいけう
)
の袂。川邊には柳幾
本
(
もと
)
たちて、
芒
(
すゝき
)
と蘆とみだれ生ひたり。橋を隔てゝ修禪寺の山門みゆ。同じ日の宵。
修禅寺物語
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
雜木林
(
ざふきばやし
)
の
間
(
あひだ
)
には
又
(
また
)
芒
(
すゝき
)
の
硬直
(
かうちよく
)
な
葉
(
は
)
が
空
(
そら
)
を
刺
(
さ
)
さうとして
立
(
た
)
つ。
其
(
その
)
麥
(
むぎ
)
や
芒
(
すゝき
)
の
下
(
した
)
に
居
(
きよ
)
を
求
(
もと
)
める
雲雀
(
ひばり
)
が
時々
(
とき/″\
)
空
(
そら
)
を
占
(
し
)
めて
春
(
はる
)
が
深
(
ふ
)
けたと
喚
(
よ
)
びかける。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
新体詩は嘗て一たび秋の
芒
(
すゝき
)
の如く出でたり、而して今や即ち
寂々寞々
(
せき/\ばく/\
)
たり。独り湖処子の猶孤城を一隅に支ふるを見るのみ。
詩人論
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
所謂七種は
胡枝花
(
はぎ
)
、
芒
(
すゝき
)
、
葛
(
くず
)
、
敗醤花
(
をみなへし
)
、
蘭草
(
ふぢばかま
)
、
牽牛花
(
あさがほ
)
及
瞿麦
(
なでしこ
)
である。わたくしの嘗て引いた蘭の詩二首の一は此七種の詩中より取つたものである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
下
(
した
)
に
萩
(
はぎ
)
、
桔梗
(
ききやう
)
、
芒
(
すゝき
)
、
葛
(
くず
)
、
女郎花
(
をみなへし
)
を
隙間
(
すきま
)
なく
描
(
か
)
いた
上
(
うへ
)
に、
眞丸
(
まんまる
)
な
月
(
つき
)
を
銀
(
ぎん
)
で
出
(
だ
)
して、
其横
(
そのよこ
)
の
空
(
あ
)
いた
所
(
ところ
)
へ、
野路
(
のぢ
)
や
空月
(
そらつき
)
の
中
(
なか
)
なる
女郎花
(
をみなへし
)
、
其一
(
きいち
)
と
題
(
だい
)
してある。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
芒
(
すゝき
)
は今も
生
(
は
)
えてゐる。探せば
木瓜
(
ぼけ
)
の花もあらう。我は
足痿
(
あしな
)
へて二十二年、夢でなくては堤に遊ぶおもひ出も見ぬ。
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
植物園の
黄昏
(
たそがれ
)
に松や
芒
(
すゝき
)
を眺めてバンクに
憩
(
いこ
)
うた時は日本の晩秋のうら寒い淋しさを誰も感ぜずに居られなかつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
三度目に
芒
(
すゝき
)
の茂つた中に休んだ時には、笹の葉にそよぐ風の音が少しく耳立ち、日はもう低くなつてゐました。
畦道
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ところ/″\に水たまりだの空地だのが多くなり、
芒
(
すゝき
)
やその他の秋草が丈高く伸びていたりした。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
芒
(
すゝき
)
の原を
滑
(
す
)
べる。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
萩
(
はぎ
)
芒
(
すゝき
)
高
(
たか
)
なみ
動
(
うご
)
き
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
其
(
その
)
囀
(
さへづ
)
る
聲
(
こゑ
)
を
壓
(
あつ
)
し
去
(
さ
)
らうとして
互
(
たがひ
)
の
身體
(
からだ
)
を
飛
(
と
)
び
越
(
こ
)
え飛び越え
鳴
(
な
)
き
立
(
た
)
てるので
小勢
(
こぜい
)
な
雲雀
(
ひばり
)
はすつとおりて
麥
(
むぎ
)
や
芒
(
すゝき
)
の
根
(
ね
)
に
潜
(
ひそ
)
んで
畢
(
しま
)
ふ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
三度目に
芒
(
すゝき
)
の茂つた中に休んだ時には、笹の葉にそよぐ風の昔が少しく耳立ち、日はもう低くなつてゐました。
畦道
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
芒
(
すゝき
)
の白い花がゆう闇のなかに
仄
(
ほの
)
かに揺れていたのが、今でもわたくしの眼に残っております。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼
(
かれ
)
は
何程
(
なにほど
)
節約
(
せつやく
)
しても
遂
(
つひ
)
にじり/\と
減
(
へつ
)
て
行
(
ゆ
)
くのみである
財布
(
さいふ
)
に
縋
(
すが
)
つて、
芒
(
すゝき
)
で
裂
(
さ
)
いた
樣
(
やう
)
に
閉
(
と
)
ぢた
其
(
そ
)
の
口
(
くち
)
に
何
(
なん
)
でも
噛
(
か
)
み
殺
(
ころ
)
して
居
(
ゐ
)
るのだといふ
容子
(
やうす
)
をして
其
(
その
)
日
(
ひ
)
々々と
刻
(
きざ
)
んで
過
(
すご
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
“芒”の解説
芒(のぎ)は、コメ、ムギなどイネ科の植物の小穂を構成する鱗片(穎)の先端にある棘状の突起のこと。のげ、ぼう、はしかとも言う。ススキのことを芒とも書くが、これに似たイネ科の植物にオギ(荻)がある。ススキには芒があるが、オギには芒がない。二十四節気のうち芒種(ぼうしゅ)は、芒を持つ植物の種を蒔く時期のことである。また、陶器などの表面に現れる芒状の細長い斑紋を芒になぞらえて芒目(のぎめ)と呼ぶ。
(出典:Wikipedia)
芒
漢検1級
部首:⾋
6画
“芒”を含む語句
光芒
青芒
枯芒
鋒芒
芒刺
芒尾花
芒鞋
花芒
芒原
穂芒
芒叢
萩芒
芒野
芒蘭
芒鞋布韈
芒屨
金芒
芒蕩山
芒草
芒花
...