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色沢
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いろつや
ふりがな文庫
“
色沢
(
いろつや
)” の例文
旧字:
色澤
両手の指を、少し長くなった髪の間に、
櫛
(
くし
)
の歯のように深く差し込んで下を向いていた。彼は大変
色沢
(
いろつや
)
の好い髪の所有者であった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見るからが人の好さ相な、丸顔に髯の赤い、デツプリと肥つた、
色沢
(
いろつや
)
の好い男で、襟の
塞
(
つま
)
つた背広の、腿の辺が張裂けさうだ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
全身の美しい
色沢
(
いろつや
)
、口を開いて、舌を少し出している様子、苦悩の色こそありますが、毒殺でないことは、素人の平次にもはっきり判ります。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
発育
盛
(
さかり
)
を
劇
(
はげ
)
しい労働に
苦使
(
こきつか
)
われて営養が不十分であったので、皮膚の
色沢
(
いろつや
)
が悪く、青春期に達しても、ばさばさしたような目に潤いがなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そして忽ち、ハチ切れる様に充実した、
色沢
(
いろつや
)
の生々した、大きなポム・ド・テエルをコロコロと掘り出した。
馬鈴薯からトマト迄
(新字旧仮名)
/
石川三四郎
(著)
▼ もっと見る
柔い
黒羅紗
(
くろらしゃ
)
の
外套
(
がいとう
)
の
色沢
(
いろつや
)
、聞き
惚
(
ほ
)
れるような
軟
(
しな
)
やかな編上げの靴の音なぞはいかに彼の好奇心をそそったろう。何時の間にか彼も良家の子弟の風俗を学んだ。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
色沢
(
いろつや
)
、飼育ぶり如何を審査するにあったから、手に入れた犬を秘し隠しておく必要は毛頭もなかったとはいえ、その翌る日からは早速この仔犬に銀の
頸環
(
くびわ
)
と銀の鎖とを付けて
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
……
真夜中
(
まよなか
)
に、
色沢
(
いろつや
)
のわるい、
頬
(
ほゝ
)
の
痩
(
や
)
せた
詩人
(
しじん
)
が
一人
(
ひとり
)
、
目
(
め
)
ばかり
輝
(
かゞや
)
かして
熟
(
じつ
)
と
視
(
み
)
る。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
安楽椅子に伸びちゃったまま、黄色い
死灰
(
しかい
)
のような
色沢
(
いろつや
)
になって、眼ばかりキラキラ光らしている光景は、ちょうど
木乃伊
(
ミイラ
)
の陳列会みたいで、気味の悪いとも物凄いとも形容が出来ないそうです。
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
わたしゃあふっくりした、
色沢
(
いろつや
)
の好い頬っぺたが一番
好
(
すき
)
だ。320
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
色沢
(
いろつや
)
のある寂しいリズムの閃めきが
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
酒の好きな
質
(
たち
)
で、今でも少しずつは晩酌をやるせいか、
色沢
(
いろつや
)
もよく、でっぷり
肥
(
ふと
)
っているから、年よりはよほど若く見える。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「どうしたって、女は十六、七から二十二、三までですね。
色沢
(
いろつや
)
がまるでちがいますわ。男はさほどでもないけれど、女は年とるとまったく駄目ね。」
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
何よりも
美味
(
うま
)
い物が
好
(
すき
)
で、
色沢
(
いろつや
)
がよいものだ。此忠志君も、美味い物を食ふと見えて平たい顔の血色がよい。
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
連
(
つれ
)
の男も、
身体
(
からだ
)
つきから様子、
言語
(
ものいい
)
、肩の
瘠
(
や
)
せた処、
色沢
(
いろつや
)
の悪いのなど、第一、屋財、家財、
身上
(
しんしょう
)
ありたけを
詰込
(
つめこ
)
んだ、と自ら
称
(
とな
)
える
古革鞄
(
ふるかばん
)
の、象を胴切りにしたような格外の
大
(
おおき
)
さで
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
時として顔の
色沢
(
いろつや
)
なぞを好く見せるのは
彼
(
あ
)
の病気の習ひ、あるひは
其故
(
そのせゐ
)
かとも思はれるが、まあ想像したと見たとは大違ひで、血を吐く程の
苦痛
(
くるしみ
)
をする重い病人のやうには受取れなかつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
まだ
御化粧
(
おつくり
)
をしていない。島田の根が
緩
(
ゆる
)
んで、何だか頭に
締
(
しま
)
りがない。顔も寝ぼけている。
色沢
(
いろつや
)
が気の毒なほど悪い。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
叔父は海辺から帰って、また家にぶらぶらしていた。病気が快くなったとも思えなかったが、いくらか肉づきもよくなっていたし、
色沢
(
いろつや
)
も出て元気づいていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その夏休暇で帰つた信吾は、さらでだに内気の妹が、病後の如く
色沢
(
いろつや
)
も失せて、力なく沈んでるのを見ては、心の底から同情せざるを得なかつた。そして慰めた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
年歯
(
とし
)
より早く老けた。年歯より早く
干乾
(
ひから
)
びた。そうして
色沢
(
いろつや
)
の悪い顔をしながら、死ににでも行く人のように働いた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
丈の高いのと、
面長
(
おもなが
)
な顔の道具の大きいのとで、押出しが立派であったが、
色沢
(
いろつや
)
がわるく淋しかった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
色沢
(
いろつや
)
の悪い顔を、
土埃
(
ほこり
)
と汗に汚なくして、小い竹行李
二箇
(
ふたつ
)
を
前後
(
まへうしろ
)
に肩に掛け、
紺絣
(
こんがすり
)
の
単衣
(
ひとへ
)
の裾を高々と端折り、重い物でも曳擦る様な
足調
(
あしどり
)
で、松太郎が初めて南の方からこの村に入つたのは
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
自分は腹の中で、あの夢のような大きな黒い眼の所有者であった精神病のお嬢さんと、自分の二三間前に今席を取った
色沢
(
いろつや
)
の好いお嬢さんとを比較した。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
雪の深い水の清い山国育ちということが、皮膚の
色沢
(
いろつや
)
の
優
(
すぐ
)
れて美しいのでも解る。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
明るい
灯火
(
ともしび
)
の下に三人が待設けた顔を合わした時、宗助は何よりもまず病人の
色沢
(
いろつや
)
の回復して来た事に気がついた。立つ前よりもかえって好いくらいに見えた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夏の頃から、山間の湯に行ってみたり、
市
(
まち
)
の方の医者へ通っていたりしていたおかなの体は、
涼気
(
すずけ
)
が経つに従って、いくらか肉づいて来たようであったが、やっぱり
色沢
(
いろつや
)
が出て来なかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
や、君の顔は妙だ。日の
射
(
さ
)
している右側の方は大変血色がいいが、影になってる方は非常に
色沢
(
いろつや
)
が悪い。奇妙だな。鼻を境に
矛盾
(
むじゅん
)
が
睨
(
にら
)
めこをしている。悲劇と喜劇の
仮面
(
めん
)
を
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
五十を少し出たかと思はれる、
色沢
(
いろつや
)
のいゝ人の好ささうな人物で、質素な鼠色の古ぼけた無地の背広に、ソフトカラを着けてゐたが、胡麻塩の頭の髪が、禿げない質とみえて、長く伸びてゐた。
フアイヤ・ガン
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
母はどこへ行ったのと聞いたが、
後
(
あと
)
から、
色沢
(
いろつや
)
が好くないよ、どうかおしかいと尋ねた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お芳の若やいで来た顔の
色沢
(
いろつや
)
が、お増にはうらやましいようであった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
嫂は「相変らずですわ」とただ一口答えただけであった。嫂はそれでも
淋
(
さみ
)
しい頬に
片靨
(
かたえくぼ
)
を寄せて見せた。彼女は淋しい
色沢
(
いろつや
)
の頬をもっていた。それからその真中に淋しい片靨をもっていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
荒木町の家では、
従姉
(
あね
)
が相変らず
色沢
(
いろつや
)
の悪い顔をして、ランプの薄暗い茶の間に坐っていた。いつも気が浮き浮きしたということもない
従姉
(
あね
)
の、髪一つ綺麗に結った姿をお庄は見たことがなかった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「だって、
色沢
(
いろつや
)
が悪いのよ」と梅子は眼を寄せて代助の顔を
覗
(
のぞ
)
き込んだ。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
三千代は心持が悪いといって先へ寐ていた。どんな具合かと聞いても、
判然
(
はっきり
)
した返事をしなかった。翌日朝起きて見ると三千代の
色沢
(
いろつや
)
が非常に
可
(
よ
)
くなかった。平岡は寧ろ驚ろいて医者を迎えた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「だつて、
色沢
(
いろつや
)
が
悪
(
わる
)
いのよ」と梅子は
眼
(
め
)
を
寄
(
よ
)
せて代助の
顔
(
かほ
)
を
覗
(
のぞ
)
き
込
(
こ
)
んだ。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
三千代は心持が
悪
(
わる
)
いといつて
先
(
さき
)
へ
寐
(
ね
)
てゐた。
何
(
ど
)
んな具合かと
聞
(
き
)
いても、
判然
(
はつきり
)
した返事をしなかつた。翌日朝起きて見ると三千代の
色沢
(
いろつや
)
が非常に
可
(
よ
)
くなかつた。平岡は寧ろ驚ろいて医者を迎へた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
色
常用漢字
小2
部首:⾊
6画
沢
常用漢字
中学
部首:⽔
7画
“色”で始まる語句
色
色彩
色々
色合
色紙
色艶
色褪
色気
色香
色白