旧字:胡亂
女は胡乱な目付をして駄夫を見下してゐたが、何となく面白さうにニヤついたりしてゐる駄夫の様子に不愉快を感じたやうであつた。
追い捕えてどうするという考えもなかったが、自分を見て慌てて逃げようとする彼女の挙動が、いかにも胡乱に思われたからであった。
おまけに犬が、それを胡乱な武器と感ちがいして、さかんに吠えたてるかも知れぬのだから、一つとして、いいところが無い。
ダブダブの印度服に、無恰好なゴム長靴を穿いて一瞬間私を胡乱臭そうな眼付で見たが、やがて頭をピョコリと下げて見せた。
「こんな具合であの支那人は胡乱な人間だと思いますので、いっそ思い切ってオムスク辺で解雇いたしたらいかがでしょう?」