眞珠しんじゆ)” の例文
新字:真珠
錢形平次は、縁側に寢そべつたまゝ、火の消えた煙管を頬に當てて、眞珠しんじゆ色の早春の空を眺め乍ら、うつら/\として居たのです。
弦月丸げんげつまるには、めづらしく澤山たくさん黄金わうごん眞珠しんじゆとが搭載とうさいされてます、眞珠しんじゆ黄金わうごんとがおびたゞしく海上かいじやう集合あつまる屹度きつとおそたゝりがあります。
紅玉こうぎよく入亂いりみだれて、小草をぐさつた眞珠しんじゆかずは、次等々々しだい/\照増てりまさる、つき田毎たごとかげであつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
三つぞ、ああ、白きは眞珠しんじゆ——
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
お幽は伊之吉にたすけられて、精一杯の氣持で言ふのです。冷たく、底光りがして、あらゆる情熱を眞珠しんじゆに押し包んだやうな、不思議な娘です。
みどりいよ/\こまやかにして、夏木立なつこだちふかところやまいうさとしづかに、しかいまさかりをんな白百合しらゆりはなはだへみつあらへば、清水しみづかみたけながく、眞珠しんじゆながれしづくして、小鮎こあゆかんざし宵月よひづきかげはしる。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其頃そのころ弦月丸げんげつまるが、今迄いままでほど澤山たくさんの、黄金わうごん眞珠しんじゆとを搭載たふさいして、ネープルスかう出發しゆつぱつして、東洋とうやうむかふといふのは評判ひやうばんでしたが、たれおそ海蛇丸かいだまるが、ひそかにその舷側そば停泊ていはくして
眞珠しんじゆ小百合さゆりの唇に
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
少し青白い、品の良い顏が、絞木しめきに掛けられたやうに引釣つて、眞珠しんじゆ色の涙が、ポロポロと頬を洗ひます。
其上そのうへわたくし懇意こんい船乘せんどうさんにいてますと、今度こんど航海かうかいには、弦月丸げんげつまる澤山たくさん黄金わうごん眞珠しんじゆとが積入つみいれてありますさうな、黄金わうごん眞珠しんじゆとがなみあら海上かいじやうあつまると、屹度きつとおそろしいたゝりいたします。
やかたおくなる夫人ふじんの、つねさへ白鼈甲しろべつかふ眞珠しんじゆちりばめたる毛留ブローチして、つるはだに、孔雀くじやくよそほひにのみれたるが、このたまはるを、けて、とおもふに、いかに、端近はしぢかちや居迎ゐむかふる姿すがたれば、櫛卷くしまき薄化粧うすげしやう
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
若い雌鹿めじかのやうに均勢の取れた四肢てあし、骨細のくせによく、あぶらの乘つた皮膚の光澤つやなどは、桃色眞珠しんじゆを見るやうで、側へ寄つただけで、一種異樣な香氣を發散して
「そんなわけぢやありませんがね。何しろあの眞珠しんじゆ太夫の人氣には驚きましたよ」
ガラツ八はその間にも、横の方から首を伸べ加減かげんに、お關の美しさを滿喫して居ります。巨大な眞珠しんじゆに美人像をきざんで、その中に靈の焔を點じたら、或はこんな見事なものが出來るかも知れません。
眞珠しんじゆ太夫と名乘らせて、一枚看板かんばんになつてしまつたのです。
眞珠しんじゆ太夫とはよく言ひましたね。身體がき通つて、うぶ毛が銀色に光つて、本當に桃色眞珠で拵へたやうな娘ですよ。あんまり肌が綺麗だから、他の者の附けて居る白粉も紅も小汚なく見えるくらゐ。その踊りと來たひにや」