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瓶子
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へいし
ふりがな文庫
“
瓶子
(
へいし
)” の例文
しかし、酒だけはどうしても缺かすことが出來ないといふので、母が
瓶子
(
へいし
)
を抱いて、遠い山路を濁酒など求めに歩いたものであつた。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「わるいことをいうな。けだし国音
家令
(
かれい
)
は
鰈
(
かれい
)
に通ずればなりか。
瓶子
(
へいし
)
は
平氏
(
へいし
)
に通じ、
醋甕
(
すがめ
)
は
眇
(
すがめ
)
に通ず。おもしろい。ハッハハハハ」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
『——咲くや木の花、なにわ津の、入江の
葦
(
あし
)
は、伊勢の
浜荻
(
はまおぎ
)
、伊勢の
瓶子
(
へいし
)
は、
素甕
(
すがめ
)
にてこそ。——伊勢の平氏はスガ目にてこそあるなれ』
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
甕
(
かめ
)
でも
瓶子
(
へいし
)
でも、皆
赭
(
あか
)
ちゃけた
土器
(
かわらけ
)
の
肌
(
はだ
)
をのどかな春風に吹かせながら、百年も昔からそうしていたように、ひっそりかんと静まっている。
運
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
成親などは、顔面
蒼白
(
そうはく
)
になって立ち上り、浄憲につめ寄ろうとした拍子に、着物の袖がふれて前にあった
瓶子
(
へいし
)
が倒れた。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
それから、
此処
(
ここ
)
で発掘した小さい
瓶子
(
へいし
)
などを並べて売るのをのぞくが、値が相当に高いので買ふ気にならない。
ヴエスヴイオ山
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
康頼
西光殿
(
さいこうどの
)
が横合いから口を入れて言った。あまりに
瓶子
(
へいし
)
(平氏)が多いので
酔
(
よ
)
ってしまった。この目ざわりな瓶子(平氏)をどうしたものだろう、と。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
応化橋
(
おうげのはし
)
の下で山岡大夫に出逢った母親と子供二人とは、女中
姥竹
(
うばたけ
)
が欠け損じた
瓶子
(
へいし
)
に湯をもらって帰るのを待ち受けて、大夫に連れられて宿を借りに往った。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「
菜摘邨来由
(
なつみむららいゆ
)
」と題する巻物が一巻、義経公より拝領の
太刀
(
たち
)
脇差
(
わきざし
)
数口、
及
(
およ
)
びその目録、
鍔
(
つば
)
、
靱
(
うつぼ
)
、
陶器
(
とうき
)
の
瓶子
(
へいし
)
、それから静御前より
賜
(
たま
)
わった
初音
(
はつね
)
の
鼓
(
つづみ
)
等の品々。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
錦織
(
にしごり
)
の判官代が、
褊
(
すずし
)
一枚の若い白拍子を、横抱きにして躍り出したとたんに、
瓶子
(
へいし
)
が仆れて
土器
(
かわらけ
)
を割った。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼はもう一度庭へ出てみたくなったので、いい加減に座をはずして立とうとすると、あいにくにその鼻のさきへ一人の大男が
瓶子
(
へいし
)
と
土器
(
かわらけ
)
とを両手に持って来た。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
瓶子
(
へいし
)
と盃を二人の前に別々に置いてまず一杯飲み、そののち、たがいに酌をして、更に一杯飲み、喜太夫の飲んだ盃を外記に差させた。目下から目上に盃を差すのは礼儀ではない。
ひどい煙
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
御前へ
女二
(
にょに
)
の
宮
(
みや
)
のほうから
粉熟
(
ふずく
)
が奉られた。
沈
(
じん
)
の木の
折敷
(
おしき
)
が四つ、
紫檀
(
したん
)
の
高坏
(
たかつき
)
、藤色の
村濃
(
むらご
)
の
打敷
(
うちしき
)
には同じ花の折り枝が
刺繍
(
ぬい
)
で出してあった。銀の
陽器
(
ようき
)
、
瑠璃
(
るり
)
の
杯
(
さかずき
)
瓶子
(
へいし
)
は
紺瑠璃
(
こんるり
)
であった。
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
この奥の院近くに人の足音を聞きましたから、老人は坐ったまま居間の扉を押開いて、
傍
(
かたわ
)
らにあった
瓶子
(
へいし
)
を取って
逆
(
さか
)
しまにし、その水を外へこぼすと、その傍らを風のように通り抜けた人があります。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
瓶子
(
へいし
)
をささげた女が
辷
(
すべ
)
るように前に出た。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
手には酒盃、肩には
瓶子
(
へいし
)
ひとすじに
ルバイヤート
(新字新仮名)
/
オマル・ハイヤーム
(著)
あたゝめよ
瓶子
(
へいし
)
ながらの酒の君
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
緋桃
(
ひもも
)
を浮けつる
瓶子
(
へいし
)
とりて
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
太郎は、
瓶子
(
へいし
)
を投げすてて、さらに相手の左の手を、女の髪からひき離すと、足をあげて老人を、
遣戸
(
やりど
)
の上へ
蹴倒
(
けたお
)
した。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この
間
(
ま
)
に
狼藉
(
ろうぜき
)
として取りちらされてあるのは、盃盤であり
瓶子
(
へいし
)
であり、楽器であり筆墨であった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
康頼 成経殿がふと
狩衣
(
かりぎぬ
)
の
袖
(
そで
)
に引っかけて、法皇の前にあった
瓶子
(
へいし
)
を倒したのが初めだった。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
「あっ!」酒の
瓶子
(
へいし
)
を踏んで大納言がよろめくと、人々は、歌の調子をそのままつづけて
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
海老錠
(
えびぢやう
)
のおりた
本殿
(
ほんでん
)
の扉が向ふの方に見えて、薄暗い中から八寸ぐらゐの鏡が
外面
(
そと
)
の光線を反射してゐた。扉の
金具
(
かなぐ
)
も黄色く光つて、其の前の
八足
(
やつあし
)
には
瓶子
(
へいし
)
が二つ靜かに
載
(
の
)
つてゐた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
嘗
(
かつ
)
て
采女
(
うねめ
)
をつとめたことのある女が侍していて、左手に
杯
(
さかずき
)
を捧げ右手に水を盛った
瓶子
(
へいし
)
を持ち、王の
膝
(
ひざ
)
をたたいて此歌を吟誦したので、王の怒が解けて、楽飲すること終日であった
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
ここはまた、陶器の産地であって
瓶子
(
へいし
)
や
酢
(
す
)
がめが作られる。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
雛壇の
瓶子
(
へいし
)
を指さし
顎十郎捕物帳:03 都鳥
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
悲鳴を上げる——と、老人は、左手に女の髪をつかんで、右手に口の欠けた
瓶子
(
へいし
)
を、空ざまにさし上げながら、その中にすすけた液体を、しいて相手の口へつぎこもうとする。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
食机
(
おしき
)
の上に
盆鉢
(
わんばち
)
が並び、そこに馳走の数々が盛られ、首長の
瓶子
(
へいし
)
には酒が充たされ、大
盞
(
さかづき
)
が添えられてあり、それらの前に刺繍を施した
茵
(
しとね
)
が、
重々
(
あつあつ
)
と敷かれてあったからである。
弓道中祖伝
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ただ飾られているのは、そこに
把
(
と
)
る手を待っている
女
(
め
)
蝶
男
(
お
)
蝶の一対の
瓶子
(
へいし
)
だった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
太郎は、
草履
(
ぞうり
)
を脱ぐ
間
(
ま
)
ももどかしそうに、あわただしく
部屋
(
へや
)
の中へおどりこむと、とっさに老人の右の手をつかんで、苦もなく
瓶子
(
へいし
)
をもぎはなしながら、怒気を帯びて、
一喝
(
いっかつ
)
した。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして、
瓶子
(
へいし
)
を持って、信長へ神酒を
注
(
つ
)
ごうとすると
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところが、その日は、
小姓
(
こしょう
)
の手から
神酒
(
みき
)
を入れた
瓶子
(
へいし
)
を二つ、
三宝
(
さんぼう
)
へのせたまま受取って、それを神前へ備えようとすると、どうした拍子か瓶子は二つとも倒れて、神酒が外へこぼれてしまった。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
酒の
瓶子
(
へいし
)
も添えてある。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
瓶子
(
へいし
)
がわれた」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“瓶子”の意味
《名詞》
瓶子(へいじ、へいし)
(古用)酒を入れる容器。後代の徳利。
(出典:Wiktionary)
“瓶子”の解説
瓶子(へいし、へいじ)とは、壷の一種で、口縁部が細く窄まる比較的小型の器形のものをいい、主に酒器として用いられた。
(出典:Wikipedia)
瓶
常用漢字
中学
部首:⽡
11画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“瓶”で始まる語句
瓶
瓶詰
瓶破
瓶花
瓶中
瓶割
瓶掛
瓶口
瓶口黒須兵衛
瓶原