瑪瑙めなう)” の例文
十人は翡翠ひすゐの蓮の花を、十人は瑪瑙めなうの牡丹の花を、いづれも髪に飾りながら、笛や琴を節面白く奏してゐるといふ景色なのです。
杜子春 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
気がついて見るとそのうすくらい赤い瑪瑙めなうの野原のはづれがぼうっと黄金きんいろになってその中を立派な大きな人がまっすぐにこっちへ歩いて来るのでした。
ひかりの素足 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
仕方がないから、珊瑚珠さんごじゆ瑪瑙めなう、水晶なんぞ、玉ばかりを多く貰つて、お金はほんの少しばかり。これでは足りないであらうと思ひながら、油屋へ戻つて來た。
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
黄金や珊瑚さんご瑪瑙めなうよりも尊いものが、この世の中にあるといふ話は聽いてをりますが、梅干の種ほどの夜光の珠が、何千兩何萬兩とは、全く想像も及ばぬことです。
瑠璃るり瑪瑙めなうの寶物を求めて鬼ヶ島へ冒險の旅に出る日本の桃太郎の昔話を、平和な心の世界の探檢の、それも子供たちの夢で見るお話にしたやうなものだともいはれませう。
車室しやしつからりたのは自分じぶん一人ひとりだつたかれに、海拔かいばつ二千じやくみねけるプラツトフオームは、あたかくもうへしつらへたしろ瑪瑙めなう棧敷さじきであるがごとおもはれたから、驛員えきゐんたいする挨拶あいさつ
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いもが間は床の瑪瑙めなうの水盤にべにばす咲きぬ七月七日しちにち
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
沈むは瑪瑙めなうの、瑠璃の戀の小壺
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
けれどもその柔らかなすあしは鋭い鋭い瑪瑙めなうのかけらをふみ燃えあがる赤い火をふんで少しも傷つかず又けませんでした。地面のとげさへ又折れませんでした。
ひかりの素足 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
宗室そうしつくわいして、長夜ちやうやえんるにあたりては、金瓶きんべい銀榼ぎんかふ百餘ひやくよつらね、瑪瑙めなう酒盞しゆさん水晶すゐしやうはち瑠璃るりわん琥珀こはくさら、いづれもこうなる中國ちうごくいまかつてこれあらず、みな西域せいゐきよりもたらところ
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
石のひたへは物うげの瑪瑙めなうのおもひ
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
まったく野原のその辺は小さな瑪瑙めなうのかけらのやうなものでできてゐて行くものの足を切るのでした。
ひかりの素足 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
たきのそのあるものは、くもにすぼめた瑪瑙めなう大蛇目おほじやのめからかさに、激流げきりうしぼつてちた。またあるものは、玉川たまがはぬのつないで、中空なかぞらほそかつた。そのあるものは、黒檀こくたんやぐらに、ほしあわみなぎらせた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
瑪瑙めなう甘寢うまい、「にるばな」よ
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
そろつて浮足うきあしつて、瑪瑙めなうはしわたると、おくはうまた一堂いちだう其處そこはひると伽藍がらん高天井たかてんじやう素通すどほりにすゝんで、前庭ぜんていけると、ふたゝ其處そこ別亭べつていあり。噴水ふんすゐあり。突當つきあたりは、數寄すきこらしてたきまでかゝる。
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
瑪瑙めなううみゆく孔雀船くじやくぶね
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)