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牽制
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けんせい
ふりがな文庫
“
牽制
(
けんせい
)” の例文
また、多くの偽装浮浪者に対して、法令もやかましくなったため、正しい目的をもって廻国する者までが、いろいろ
牽制
(
けんせい
)
されて来た。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の賞讃と注意とは彼の無關心以上に私を
牽制
(
けんせい
)
した。私はもう彼が傍にゐると自由に笑つたり喋べつたりすることが出來なくなつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
兄杉之助の
牽制
(
けんせい
)
も何んの甲斐もありません、激情に
煽
(
あふ
)
られたお鳥は、耻も外聞も振り捨てて、遂に言ふべきことを言つてしまつたのです。
銭形平次捕物控:167 毒酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ウーゴモンに対する攻撃は多少
佯撃
(
ようげき
)
であった。ウェリントンをそこに引きつけて左翼に
牽制
(
けんせい
)
せんとするのが、その計画であった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
かつての庸三夫婦もお互いに
牽制
(
けんせい
)
され合っているにすぎなかったとは言え、口を利かないものの力も、まるきり無いわけには行かなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
又いわば単なる私生活の報告のようなものに果してどういう意味があり得るかという疑問も強く心を
牽制
(
けんせい
)
していたのである。
智恵子の半生
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
多分非常に驚いた彼は、急いでロープを
捲取機
(
ローラー
)
の何処かへ引っ掛けて、バルーンの上昇を
牽制
(
けんせい
)
しようとあせった事でしょう。
デパートの絞刑吏
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「ほんとにそういう物質的のもので、精神的のものが
牽制
(
けんせい
)
できるものならば、私の関り合いにも一人飲ませたい人間があるんでございますわ」
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
他の一隊五十人は、一人で四本の
松火
(
たいまつ
)
を持ち、峰伝いに南へ行き、大軍南方へ移るがような威風堂々たる気勢を見せ、敵をその方へ
牽制
(
けんせい
)
する。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼はとっさに一、二
間
(
けん
)
とびのくと同時に、ピタリ乾雲を正面に構えながら、一方栄三郎を
牽制
(
けんせい
)
しつつ、大声に呼ばわった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
『末は博士か大臣か、よしな書生にゃ金が無い』とかいうのを歌ったりして、とにかく、さかんに固パンを
牽制
(
けんせい
)
しようとあせっている様子であった。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
だが会えなかったらどうするか、このまま安芸が意地をとおし、老中評定にもってゆくとしたら、なにか幕府を
牽制
(
けんせい
)
する法を講じなければならない。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その他あるいは保護税を盛んにし、利息制限法を再興し、日曜日の労作を
牽制
(
けんせい
)
し、あるいは郵便法を拡充して銀行の事務をも奪わんと欲するがごとき
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
そうして、彼は伊太利を征服し、西班牙を
牽制
(
けんせい
)
し、エジプトへ突入し、オーストリアとデンマルクとスエーデンを侵略してフランスの皇帝の位についた。
ナポレオンと田虫
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
見方次第では
痩我慢
(
やせがまん
)
とも虚栄心とも解釈のできるこの気位が、叔母に対する彼女を、この一点で強く
牽制
(
けんせい
)
した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
たとえば親方が弟子や職人を使うのに都合よいこと、つまり後進者を
牽制
(
けんせい
)
する向きの箇条が
甚
(
はなは
)
だ多い。
幕末維新懐古談:47 彫工会の成り立ちについて
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
一般に七月
盆
(
ぼん
)
の
魂祭
(
たままつり
)
の風習を採用させたが、是には一種政治上の動機、すなわち今まであまりにも強烈であった島民の信仰を、やや
牽制
(
けんせい
)
しようという意図もあって
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
(一)
王水険博士
(
おうすいけんはかせ
)
を
擁立
(
ようりつ
)
し、金博士を
牽制
(
けんせい
)
するとともに、必要に応じて、金博士をおびき出すこと。
戦時旅行鞄:――金博士シリーズ・6――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
無論お春に何も打ち明けるのではないが、妙子の側にお春がいてくれたら、板倉の来訪を防止することは出来ない迄も、二人の接近を
牽制
(
けんせい
)
するぐらいの効能はあろうか。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
途中索敵の関係と、市街地入城の独逸海軍の鉄の規律とが、我々の行動を
牽制
(
けんせい
)
してはいたが、心の中では歓喜が高鳴って、まったく山を
雪崩
(
なだれ
)
降りたといった方が適切だったかも知れぬ。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
臣が辺境に養うところの兵は皆
荊楚
(
けいそ
)
の一騎当千の勇士なれば、願わくは彼らの一隊を率いて討って
出
(
い
)
で、側面から匈奴の軍を
牽制
(
けんせい
)
したいという陵の嘆願には、武帝も
頷
(
うなず
)
くところがあった。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
主力を
牽制
(
けんせい
)
しているあいだに、
海蛇
(
うみへび
)
、ブラント、ブルークの三人は、
浅瀬
(
あさせ
)
づたいに川をわたって岩壁によじのぼり、川に面せる物置きの洞口の下におりてとつぜん洞を
襲撃
(
しゅうげき
)
したのであった。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
こんなことを思って夫人は
煩悶
(
はんもん
)
しているが、たいしたことでないことはあまり感情を害しない程度の夫人の恨み言にもなって、それで源氏の恋愛行為が
牽制
(
けんせい
)
されることにもなるのであったが
源氏物語:20 朝顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
最大緊張の
弛緩
(
しかん
)
から来る涙の中から、もうすぐに現在の悲境に処する対策の分別が頭をもたげて来るから、せっかく出かけた涙とそれに伴なう快感とはすぐに
牽制
(
けんせい
)
されてしまわなければならない。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
本能の生活は一元的であってそれを
牽制
(
けんせい
)
すべき何等の対象もない。それはそれ自身の必然な意志によって、必然の道を踏み進んで行く。意志の自由とは結局意志そのものの必然性をいうのではないか。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
また沿岸には、さきごろ、海賊岩松の
唐梅紋
(
からうめもん
)
の旗が出没していたこともあるので、それの
牽制
(
けんせい
)
が大いにものをいっていたのかもしれない。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
楊弓の矢はその大枝を越すと、凧絲に
牽制
(
けんせい
)
されて、枝の向うへスル/\と落ち、窓の下に居る八五郎の頭の上へ下がるのです。
銭形平次捕物控:257 凧糸の謎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
又いはば単なる私生活の報告のやうなものに果してどういふ意味があり得るかといふ疑問も強く心を
牽制
(
けんせい
)
してゐたのである。
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
「六波羅勢わずか五百騎というか! ……
牽制
(
けんせい
)
する手間暇はいらぬ! ……機会は来た、さあ右衛門、
退
(
ひ
)
き
鉦
(
がね
)
をお打ち、さあ退き鉦を! ……」
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
純粋に二人きりの、のんきな交友など、この世に存在をゆるされないものかも知れない。必ず第三者の
牽制
(
けんせい
)
やら
猜疑
(
さいぎ
)
やら
嘲笑
(
ちょうしょう
)
やらが介入するもののようである。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
寿々廼家のお神も少し薬が利きすぎたような感じで、いくらか銀子を
牽制
(
けんせい
)
気味の態度を取るのであった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかも彼はついぞ今まで自分の行動について
他
(
ひと
)
から
牽制
(
けんせい
)
を受けた
覚
(
おぼえ
)
がなかった。する事はみんな自分の力でし、言う事はことごとく自分の力で言ったに相違なかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼らは引きかえすとまた進み、
退
(
しりぞ
)
いては再び
喊声
(
かんせい
)
を張り上げた。そうして、時刻を
隔
(
お
)
いてこの数度の
牽制
(
けんせい
)
を繰り返している
中
(
うち
)
に、最早対岸からは矢が飛ばなくなって来た。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
その城の中から外側の自分を
牽制
(
けんせい
)
し、操り、たとえ自分の身に済まぬことでも、その秘密の城を守ることの為めなら、その秘密の城の中で
計画
(
たくら
)
まれたことの
遂行
(
すいこう
)
の為めなら
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
額
(
ひたい
)
ごしの左眼は、不動金縛りの力で、強く門之丞を
牽制
(
けんせい
)
しながら、左膳、口をひらいた。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
初めの二三年の間は右大臣に菅原
道真
(
みちざね
)
が控えていたゝめに多少
牽制
(
けんせい
)
もされたけれども、昌泰四年の正月にその政敵を
陥
(
おとしい
)
れることに成功してからは、名実共に天下の
一
(
いち
)
の
人
(
ひと
)
であった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかし本当は警官隊は猛射をしていたことに違いないけれど、天井ばかり撃っていたのであった。それは突入した青竜王に怪我をさせることなく、しかも痣蟹を
牽制
(
けんせい
)
するためだった。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
謙信の統率する本隊は、翌る日のまだ陽の高いうちに、高井郡をよぎって、敵の海津城を
牽制
(
けんせい
)
しつつ、
候可峠
(
そろべくとうげ
)
から東条方面へ
蜿
(
うね
)
って行った。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ムツとする土の匂ひも、無氣味な暗さも、もう平次を
牽制
(
けんせい
)
しませんでした。長崎屋の方へ——五六間も入つて行くと、何やら行手に
蠢
(
うごめ
)
くもの——。
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
当然二人は敵のいない露路へ走り込まざるを得ないだろう。
牽制
(
けんせい
)
されて、牽制されて、最後に逃げ込んだ露路というのが、今、二人のいる露路なのであった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
何とかして君を
牽制
(
けんせい
)
しようとたくらんだ、というのが、これまでのいきさつの、あわれな実相だ。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
突き詰めて行くこころを程よく
牽制
(
けんせい
)
してなめらかに流して
呉
(
く
)
れる伴奏であるやうに思へた。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
庸三は別に策動したわけでもなく、積極的に彼女を
牽制
(
けんせい
)
しようとしたのでもなかったが、少年詩人も双方を往来し、一旦下宿へ出ることに、いつとはなし話が決まりそうになった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
或いはまた三角
暗礁
(
あんしょう
)
に赴き、或いは魚雷型潜水艇を
駆
(
か
)
って東西の大洋を
疾駆
(
しっく
)
し、そのあいだ、巧みに金星超人X大使を
牽制
(
けんせい
)
し、X大使の注意を建設進行中わが日本要塞の方に向けしめざりし殊勲は
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
勝家の本軍をふくむ一万二千の主力は、
牽制
(
けんせい
)
的な略を計って、まったく道を変え、北国街道に沿うて、徐々、東南下していた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ムッとする土の匂いも、不気味な暗さも、もう平次を
牽制
(
けんせい
)
しませんでした。長崎屋の方へ——五六間も入って行くと、何やら行手に
蠢
(
うごめ
)
くもの——。
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
弓鉄砲で打ちすくめろ! むやみと
喊声
(
かんせい
)
を上げるのだ!
牽制
(
けんせい
)
するのだ、敵勢をな! それから槍だ! 突き崩すがいい! 手に余ったら火をかけろ!
分捕
(
ぶんど
)
り功名勝手次第。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
もちろん庸三はそうした恋愛のトリックなどにも
疎
(
うと
)
いので、小夜子との交遊を、葉子
牽制
(
けんせい
)
のカモフラジュに役立てるようなこともなかったが、別に秘密にしておくほどのことでもなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
肘
(
ひじ
)
と肘とをぶっつけ合い、互いに隣りの客を
牽制
(
けんせい
)
し、負けず劣らず大声を挙げて、おういビイルを早く、おういビエルなどと東北
訛
(
なま
)
りの者もあり、
喧々囂々
(
けんけんごうごう
)
、やっと一ぱいのビイルにありつき
禁酒の心
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「対岸の赤松勢を
牽制
(
けんせい
)
しているのだろう。もし赤松勢が京へ進むなら、こなたは河を渡って、後ろを突くぞという姿勢だ」
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“牽制”の解説
牽制(けんせい、en: Diversion)とは、一般に相手の戦術的な意図と戦力の集中を別の方面へと誘うための軍事行動である。
(出典:Wikipedia)
牽
漢検準1級
部首:⽜
11画
制
常用漢字
小5
部首:⼑
8画
“牽”で始まる語句
牽
牽引
牽引力
牽強附会
牽付
牽強
牽牛花
牽引車
牽牛星
牽強付会