海賊かいぞく)” の例文
おれは海賊かいぞくの仲間にはいっているんだ。船が難破なんぱして、沈んでしまった時、海賊に救われてから、その仲間にはいってしまったんだ。
街の少年 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
けば、海賊かいぞくが、あのがけうえに、なにかたからかくしているということであるが、だれも、そこへりにゆかれないというのでした。
サーカスの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして勝家は、ちかごろひんぴんと領海をあらす海賊かいぞく討手うってを向けたが、すでに、紅帆呉服船こうはんごふくぶね行方ゆくえはまったく知れなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ほかでもありません、私たちは海賊かいぞくにあったのです。そして、船はとられるし、殺されなかった者は、みんなどれいに売られてしまいました。
いま無上むじやう愉快ゆくわいときだぞ、いま一層いつそうのぞみには、あらたきたへたこの速射砲そくしやほうで、彼奴等きやつらつくき海賊かいぞくども鏖殺みなごろしにしてれんに。
海豚いるか』『くじら』『竜巻たつまき』『黒潮くろしお』『海賊かいぞく』『コロンブス』——この六隻はA国海軍が自慢する大潜水艦で、『八島』や『千代田』に負けぬほど強いやつだ。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
ヨーロッパの北の方からおびただしい海賊かいぞくがやって来て、フランスのどここことなくあばれまわり、手あたりしだいに金銀財宝をうばって行ってしまうので
かたわ者 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
奪ひ取しより面白く思ひ追々かうつむしたがひ同類を集め四國西國邊迄も海賊かいぞくかせぎ十餘年を消光おくりけるが其働そのはたらき飛鳥の如く船より船へ飛移とびうつり目にも見えざるほどゆゑ艘飛そうとびの與市と渾名あだな
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この赤と白のぶちは私はいつでもむかし海賊かいぞくのチョッキのような気がするんですよ。ね。
チュウリップの幻術 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
海賊かいぞくの基地であって、そんな島は、ないという捕鯨船の船長もあるし、いや、あるという船長もあって、めったに船の行かないところであるが、この方面の海に注目している人々の間には
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
「おお、海賊かいぞくの腕が強いか、山賊の智恵ちえがたしかか、ここでいちばん腕くらべをしてもいい。それともすなおに頭領かしら龍巻たつまきをよんできてびをするか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一度海賊かいぞくの仲間にはいると、それからぬけ出すことは、一同を裏切ることになるもんだから……。ああ、おれはどうしたらいいか。どうしたらいいか……
街の少年 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
すでに一せき右舷うげんより左舷さげんに、の一せき左舷さげんより右舷うげんに、甲板かんぱんかたむき、なみ打上うちあげて、おどろくる海賊かいぞくどもは、大砲たいほう小銃せうじう諸共もろともに、雪崩なだれごとうみつ。
もう、海賊かいぞく島の探検たんけんどころではない。日本へ帰ろうとすれば、この大西風にさからって、千カイリ以上も、大風と大波とをあいてに、折れた帆柱、ゆるんだ索具の小帆船が、戦わなければならない。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
それで私は、海賊かいぞくの話と、象の話とを、お聞かせしました。
怪敷あやしく思はれし故なりとぞ其頃そのころ海賊かいぞく二人召捕れ詮議せんぎありしに是等は八艘飛さうとび與市よいちと云ふ者の子分にて海賊となりし由申ける故其與市は何方いづかた住居すまひ致すやとたゞされしに海賊共七八年以前泉州せんしうさかひ又は安藝あき宮島みやじま阿州あしう尼子あまこうら相住あひすみ海中にて西國大名の荷物船へ飛乘とびのり賊を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
して歐米をうべい海員かいゐん仲間なかまでは、此事このことらぬでもないが、如何いかにせん、この海賊かいぞく團體だんたい狡猾かうくわつなること言語げんごえて、そのきたるやかぜごとく、そのるもかぜごとく。
野武士のぶしだろうが海賊かいぞくだろうが、人見知りをせず味方にする秀吉だから、おれが上手じょうずに売りこんで、龍巻壱岐守たつまきいきのかみぐらいにはしてやるよ。まあそれを楽しみにしているがいい」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さあ、何だろうなあ……盗賊とうぞくか、海賊かいぞくか、密輸入者みつゆにゅうしゃか、むほん人か……」
街の少年 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)