治療ちりょう)” の例文
むすめは、いい指輪ゆびわれたので、たいそうよろこんで、これもおかあさんのおかげだとおもって、はやくおとうと治療ちりょうをするためにりました。
トム吉と宝石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
安藤はもちろん見込みこみがありさえすれば、すぐにも自分がって治療ちりょうをこころみんとの決心けっしんを語り、つづいて花前の不幸ふこうなりし十年まえの経歴けいれきかたった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
現今げんこんでは精神病者せいしんびょうしゃ治療ちりょう冷水れいすいそそがぬ、蒸暑むしあつきシャツをせぬ、そうして人間的にんげんてき彼等かれら取扱とりあつかう、すなわ新聞しんぶん記載きさいするとおり、彼等かれらために、演劇えんげき舞蹈ぶとうもよおす。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それが欧州大戦おうしゅうたいせん以後、特に外科医げかいの方で注意され問題にされ研究けんきゅうされて、今日こんにちでは一つの新療法しんりょうほうとして、特殊とくしゅな外科的結核症けっかくしょう真珠工病オステオミエリチスなどというものの治療ちりょうに使う人が出てきた。
蛆の効用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
さてロセツが何故なにゆえに浅田を指名して診察しんさつもとめたるやというに、診察とは口実こうじつのみ、公使はかねて浅田が小栗に信用あるを探知たんちし、治療ちりょうに託してこれにしたしみ、浅田をかいして小栗との間に
「人工眼か? 君の発明したものだね。まあ、それはずっと後のことにしてくれ。君はぼくの病院の患者なんだから、よけいな気をつかわないで、ぼくたちに治療ちりょうをまかしておいてくれるといい」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と柳田さんは治療ちりょうにとりかかった。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
上等兵じょうとうへい小野清作おのせいさくは、陸軍病院りくぐんびょういん手厚てあつ治療ちりょうで、うで傷口きずぐちもすっかりなおれば、このごろは義手ぎしゅもちいてなに不自由ふじゆうなく仕事しごとができるようになりました。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
主人もことばのかぎりをつくして同情どうじょうした。しんせつな安藤はともかくも治療ちりょう見込みこみがすこしでもあるならば、一日も見てはいられぬといってった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
その満足まんぞくかおひと見下みさげるような様子ようすかれんで同僚どうりょうことばふか長靴ながぐつ此等これらみな気障きざでならなかったが、ことしゃくさわるのは、かれ治療ちりょうすることを自分じぶんつとめとして
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
たとえ、そのように、いい温泉おんせんがあったにしても、すこしのかねをもたない少年しょうねんには、その温泉おんせんへいって治療ちりょうをすることは、容易よういなことではなかったのであります。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
統計年度とうけいねんどにおいて、一万二千にん患者かんじゃけたとすれば、すなわち一万二千にんあざむかれたのである。おも患者かんじゃ病院びょういん入院にゅういんさせて、それを学問がくもん規則きそくしたがって治療ちりょうすることは出来できぬ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
このむらには、専門せんもん医者いしゃがありませんでした。内科ないか外科げかねたたよりげないものしかなかったので、治療ちりょうにも無理むりがあったか、正吉しょうきちれた右脚みぎあしは、ついにもとのごとく、びずにしまいました。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)