梅林ばいりん)” の例文
どの茶屋も軒には新しい花暖簾はなのれんをかけて、さるやとか菊岡きくおかとか梅林ばいりんとかいう家号を筆太ふでぶとにしるした提灯がかけつらねてある。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
広々ひろびろとしたはらっぱには、一かく屋敷跡やしきあとのようなところがあって、青々あおあおとした梅林ばいりんには、がたくさんっていました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこンとこ梅林ばいりんうへやまさくら名所めいしよで、そのした桃谷もゝたにといふのがあつて、谷間たにあひ小流こながれには、菖浦あやめ燕子花かきつばた一杯いつぱいく。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
今日やうやく一月のなかばを過ぎぬるに、梅林ばいりんの花は二千本のこずゑに咲乱れて、日にうつろへる光は玲瓏れいろうとして人のおもてを照し、みちうづむる幾斗いくと清香せいこうりてむすぶにへたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
こういう人たちは、中村座が閉場あけば中村座の何屋へ、新富座ならば何処どこと、三、四軒の芝居茶屋を助けもするが、歌舞伎の梅林ばいりんとか三洲屋とか、一、二の茶屋で顔のうれている男衆たちだった。
どの茶屋も軒にはあたらし花暖簾はなのれんをかけて、さるやとか菊岡とか梅林ばいりんとかいう家号を筆太に記るした提灯ちょうちんがかけつらねてある。
島原の夢 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
今年ことしは、ゆきすくなく、あたたかながつづいたので、へだてた、あちらのおか梅林ばいりんには、ちらほらとしろきかけたはなが、きよらかなかんじをあたえました。うぐいすがいています。
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)
あきふゆ遊山ゆさんる、桜山さくらやまも、桃谷もゝたにも、あの梅林ばいりんも、菖蒲あやめいけみんな父様とつちやんので、頬白ほゝじろだの、目白めじろだの、山雀やまがらだのが、このまどから堤防どてきしや、やなぎもとや、蛇籠じやかごうへるのがえる
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
相州さうしう小田原をだはらまち電車鐵道でんしやてつだう待合まちあひの、茶店ちやみせ亭主ていしゆことばれば、土地とち鹽辛しほから蒲鉾かまぼこ外郎うゐらうおよ萬年町まんねんちやう竹屋たけやふぢ金格子きんがうし東海棲とうかいろう料理店れうりてん天利てんりしろ石垣いしがきおよ外廓そとぐるわ梅林ばいりんは、およ日本一につぽんいちなり
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
今朝けさ梅林ばいりん金色夜叉こんじきやしやうめる、富山唯繼とやまたゞつぐ一輩いつぱい人物じんぶつあるのみ。
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それからわたし、あの、梅林ばいりんのあるところまゐりました。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)