朝食あさめし)” の例文
顔を洗って、朝食あさめしをやっていると、台所で下女が泥棒の足痕あしあとを見つけたとか、見つけないとか騒いでいる。面倒めんどうだから書斎へ引き取った。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お浪は呆れ且つ案ずるに、のつそり少しも頓着せず朝食あさめし終ふて立上り、突然いきなり衣物を脱ぎ捨てゝ股引腹掛つけにかゝるを、飛んでも無い事何処へ行かるゝ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
明方あけがたにはまたぽつ/\降って居たが、朝食あさめしを食うと止んだ。小舟でつりに出かける。汽車の通うセバットの鉄橋のあたりに来ると、また一しきりざあと雨が来た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
自分は朝起きて、日曜日のことゆえ朝食あさめしも急がず、小児こどもを抱て庭にで、其処そこらをぶらぶら散歩しながら考えた、帯の事を自分から言い出してめようかと。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
吾等こちとらいやしい生涯くちすぎでは、農事しごと多忙いそがしくなると朝も暗いうちに起きて、燈火あかりけて朝食あさめしを済ます。東の空が白々となれば田野のらへ出て、一日働くと女の身体は綿のようです。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
これは亜米利加風あめりかふう朝食あさめしで、オートミルとは西洋の燕麦からすむぎ挽割ひきわりにしたようなもの。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
また握飯にぎりめしはオジャンとなったので朝食あさめしの世話もないが、今日の行程は七里以上、何も食わずでは堪らぬと、昨夜ゆうべのどを渇かしたにも懲りず、またしても塩からいコーンビーフにいささか腹を作り
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
色々詮議の末が、門番の黒人くろんぼに嫌疑がかゝつて、黒人くろんぼは自分の部屋で朝食あさめしを食つてゐるところを押へられた。(忘れても用心しなければならないのは、すべての訪問客はうもんかくは大抵朝早く来るといふ事だ。)
かくのごとく働きのない食い方をもって、無事に朝食あさめしを済ましたる主人は、やがて洋服を着て、車へ乗って、日本堤分署へ出頭に及んだ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
朝食あさめしを終るや直ぐ机に向って改築事務をっていると、升屋の老人、生垣いけがきの外から声をかけた。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
別段悩める容態ようすもなく平日ふだんのごとく振舞えば、お浪はあきれかつ案ずるに、のっそり少しも頓着とんじゃくせず朝食あさめししもうて立ち上り、いきなり衣物を脱ぎ捨てて股引ももひき腹掛け着けにかかるを
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
オートミルのマッシ 春 第七十四 色々の朝食あさめし
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
朝食あさめし前には
翌日、代助が朝食あさめしの膳に向って、例のごとく紅茶を呑んでいると、門野が、洗い立ての顔を光らして茶の間へ這入はいって来た。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
さて目※まどろむ間も無く朝早く目がめると、平生いつもの通り朝食あさめしの仕度にと掛ったが、その間々ひまひまにそろりそろりと雁坂越の準備よういをはじめて、重たいほどにれた我が顔の心地しさをも苦にぜず
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
玉子たまご牛乳ぎゅうにゅう淡雪あわゆき 春 第七十四 色々の朝食あさめし
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
翌日よくじつ、代助が朝食あさめしぜんむかつて、例の如く紅茶をんでゐると、門野かどのが、あらてのかほひからして茶のへ這入つてた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
麺麭ぱん餡掛あんかけ 春 第七十四 色々の朝食あさめし
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
朝食あさめしの時、門野は今朝の新聞に出ていた蛇とわしの戦の事を話し掛けたが、代助は応じなかった。門野は又始まったなと思って、茶の間を出た。勝手の方で
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
第七十四 色々の朝食あさめし
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
看護婦の手がかなかったためか、いつまでも兄の枕元に取り散らかされている朝食あさめし残骸なきがらは、掃除の行き届いた自分のうちを今出かけて来たばかりの彼女にとって
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「遅くなりました」とぜんえる。朝食あさめしの言訳も何にも言わぬ。焼肴やきざかなに青いものをあしらって、わんふたをとれば早蕨さわらびの中に、紅白に染め抜かれた、海老えびを沈ませてある。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
兄は大抵不在がちである。ことに忙がしい時になると、うちで食うのは朝食あさめし位なもので、あとは、どうして暮しているのか、二人の子供には全く分らない。同程度に於て代助にも分らない。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あには大抵不在がちである。ことにいそがしい時になると、うちふのは朝食あさめし位なもので、あとは、うしてくらしてゐるのか、二人ふたりの子供には全くわからない。同程度に於て代助にも分らない。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
勇気をして食卓に着いて見たが、朝食あさめしは少しもうまくなかった。いつもは規定として三膳食べるところを、その日は一膳で済ましたあと、梅干を熱い茶の中に入れてふうふう吹いてんだ。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
とこうへがつて、彼は又あたまつた。朝食あさめしの時、門野かどの今朝けさの新聞に出てゐたへびわしたゝかひの事をはなし掛けたが、代助は応じなかつた。門野は又はじまつたなと思つて、茶のた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ある日朝早く行くと、先生は丁度朝食あさめししたためている最中であった。
へやに帰って朝食あさめしの膳に着いた時、彼は給仕の下女と話した。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)