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くわいわ
これは
吾人が
日々の
會話や
新聞などにも
無數に
發見するが、
例へば、
近ごろ何々日といふ
代はりに何々デーといふ
惡習が一
部に
行はれてゐる。
御米もつまりは
夫が
歸宅後の
會話の
材料として、
伊藤公を
引合に
出す
位の
所だから、
宗助が
進まない
方向へは、たつて
話を
引張たくはなかつた。
平凡な
會話じやアないか。
平常なら
當然の
挨拶だ。
併し
自分は
友と
別れて
電車に
乘つた
後でも
氣持がすが/\して
清涼劑を
飮んだやうな
氣がした。
(
美津、
下駄を
買うてやるか。)と
言つて
見たが、
默つて
返事をしなかつた。
貞淑なる
細君は、
其の
品位を
保つこと、
恰も
大籬の
遊女の
如く、
廊下で
會話を
交へるのは、
仂ないと
思つたのであらう。
「
安さんが
例の
發明や、
金儲けの
話をするとき、
其聞き
賃に
奢るのかも
知れない」と
云つて
宗助は
笑つてゐた。
會話はそれなりでつい
發展せずに
仕舞つた。
インドにおいては、
地理歴史の
關係から、
北部と
南部とでは
根本から
言語がちがふので、インド
人同士で
英語を
以て
會話を
試みてゐるのを
見てインドが
到底獨立し
得ざるゆゑんを
悟つた。
こんな
會話が
老夫婦の
間に
取り
換はされたのは、
宗助が
出京して
以來一
度や二
度ではなかつた。
實際彼は
叔父の
所へ
來ると、
老人の
眼に
映る
通りの
人間に
見えた。