時時ときどき)” の例文
じつもうすとわたしうたがっているのです。しかしもっとも、わたくし或時あるときなんもののようなかんじもするですがな。それは時時ときどきこうおもうことがあるです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
白樺のちさい林などを時時ときどき見るやうになつた。三日みつか目の朝にまた国境の駅で旅行券や手荷物を調べられた。午後に私の室へ一人の相客がはひつて来た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
僕は実は平仮名ひらがなには時時ときどき形にこだはることがある。たとへば「て」の字は出来るだけ避けたい。殊に「何何して何何」と次に続けるのは禁物きんもつである。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
仕舞しまひには、そのどつちがほんとの自分じぶん區別くべつ出來できなくなつた。そして、時時ときどき我知わたしらずぐらぐらとひよろけ自分じぶんからだをどうすることも出來できなかつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
母も時時ときどきふるさとのことを言ひ
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
さうして無口な子が時時ときどきこと交りに一つより知らぬ讃美歌の「夕日は隠れてみちは遥けし。我主わがしゆよ、今宵こよいも共にいまして、寂しきこの身をはぐくみ給へ。」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
そとのぞくと、うすぐらいプラットフォオムにも、今日けふめづらしく見送みおくりの人影ひとかげさへあとつて、ただをりれられた小犬こいぬが一ぴき時時ときどきかなしさうに、ててゐた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その翌日の、忘れもしない十四日の朝、それは時時ときどきうすれ日の射す何となく陰鬱いんうつな曇り日だつたが、私は疲れてゐる妹を宿やどのこして一人當別村たうべつむらのトラピスト修道院へ向つた。
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
はら行手ゆくてはまだとほかつた。わたしれしよびれた中根なかね姿すがた想像さうぞうして時時ときどき可笑をかしくなつたり、どくになつたりした。が、何時いつわたしおそつてくる睡魔すゐまこらへきれなくなつてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
真直まつすぐ突当つきあたつてと云はれた道が何処どこ迄も果ての無い様に続いて居る様なので、自分は男達におくれない様にして歩きながら時時ときどき立留たちとまつて汗を拭いては吐息といきさへもつかれるのであつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
が、おも硝子戸ガラスど中中なかなかおもふやうにあがらないらしい。あのひびだらけのほほいよいよあかくなつて、時時ときどき鼻洟はなをすすりこむおとが、ちひさないきれるこゑと一しよに、せはしなくみみへはひつてる。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「みんなねむつちやいかん‥‥」と、時時ときどき我我われわれ分隊長ぶんたいちやう高岡軍曹たかをかぐんそう無理作むりづくりのドラごゑげた。が、中根なかねばかりではない、どの兵士達へいしたちももうそれにみみすだけの氣力きりよくはなかつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)