探索たんさく)” の例文
「四、五日前に白魚河岸しらうおがしのおじさんが御年始にきた時に、お母さまに話したので……。八丁堀でも内々探索たんさくしているのだそうです」
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
たづね出さんと又々諸國しよこくへ手をまはされけれ共靱負の在家ありか少しも知ず其中そのうち西國へ差出さしいだされたる探索たんさくの者より靱負は泉州せんしうさかひにて入水じゆすゐせしと云事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
平次がやつたと同じやうな探索たんさくをして、一度門口へ出ましたが、思ひ直したやうに取つて返すと、支配人の民五郎に繩を打つて引立てます。
同時に探索たんさくの結果、ダリアの両眼の視力異常についても聞きこむことが出来た。よし、それなれば、何としてもけの皮をいでみせるぞ。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
孫右衛門実母お定の探索たんさくの要で藤吉も今まで二、三度会ったことはあるが、こうしてつくづく顔を見るのはこれが初めて。
もっともその子がかどわかされたころ、ちょうどミリガン夫人ふじんはじゅうぶんの探索たんさくをすることのできない境遇きょうぐうであった。
星占ほしうらない羊肝卜ようかんぼくむなしく探索たんさくした後、これはどうしても書物共あるいは文字共の話し声と考えるより外はなくなった。
文字禍 (新字新仮名) / 中島敦(著)
おじいさん、どこへゆけば、わたしたちは幸福こうふくらされるというのですか。このいけへおちつくまで、わたしたちはどんなに方々ほうぼうぬまや、かた探索たんさくしたかしれません。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
いわんやの西洋諸大家の理論書をうかがい、有形の物理より無形の人事に至るまで、逐一ちくいちこれを比較分解して、事々物々の原因と結果とを探索たんさくするにおいてをや。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
秀吉の御感ぎょかんにいって、出世しゅっせの階段をとびあがるつもりでいた勝頼かつより探索たんさくの結果が、あの通りマズイはめとなったうえに、命令以上なでしゃばりをやッたので、ついに
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その家庭教師の行方ゆくへ探索たんさくする必要が出來たときにはもう、彼女は其處にはゐないと分つたのです——何時、何處へ、どうして行つてしまつたか誰も知りませんでした。
そこでイバンスは、富士男、ゴルドン、バクスター、イルコックの四人とともに、フハンをつれて探索たんさくにでかけた。するとかれらは、だちょうの森のなかにふたりの屍体したいを発見した。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
元來がんらい日本につぽん古墳こふん研究けんきゆうは、かの高山彦九郎たかやまひこくろう林子平はやししへいなどゝとも寛政かんせい三奇士さんきしといはれた蒲生君平がまうくんぺいが、御歴代ごれきだい御陵ごりようこはれたり、わからなくなつてゐるのをなげいて、自分じぶん各地かくち御陵ごりよう探索たんさく
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
いろ/\探索たんさくしてましたが、だれ行衞ゆくゑつてひとはありません。
耳に挾んだこともある。ぜひそいつはもっと立ち入って探索たんさくしろ
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
ああ、当分、君の抒情的世界の探索たんさくにぎやかなことだろうよ。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「物を探索たんさくするには、潮時がございます。誰が、何んの目的で隱したか、それが解らなくては、搜しやうはございません」
長八は更に我が子にむかって、探索たんさくの心あたり四、五カ所を云い聞かせると、長三郎は委細いさいこころえて、父の前を退いた。
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
わたしたちはそれからまた白鳥号探索たんさくの旅をつづけた。ただ夜とまって、ときどきすこしの金を取るだけに足を止めた。
この場面があって、椋島技師は、国際殺人団の探索たんさくに当るために、剣山陸軍大臣直属のスパイを任命された。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
じっさい一時、左官屋の職人にでも化け込んで、そのきびしい探索たんさくの眼を逃れようと思って、さてこそその獅子ししの口へ、みずからはいり込んで来たのである。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
奉行所へ呼出され昌次郎夫婦ふうふの者古郷を出でて何所なにどころしのび居んと内々探索たんさくのため昌次郎梅二人の年齡ねんれいより風俗を大岡殿ちく問糺とひたゞされしに就き一同は昌次郎梅が風俗ふうぞく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかし、日が経つほど、世間はうわさを忘れても、その筋の探索たんさくはきびしくなるばかりである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平次の探索たんさくは、大變な大きな網になりました。が、殺されたり怪我をさせられたもの、全部を調べるとなると、かうするほかはなかつたのです。
今回省線しょうせん電車内に起りたる殺人事件は、本職を始め警視庁を愚弄ぐろうすることのはなはだしきものにして、爾来じらい極力きょくりょく探索たんさくの結果、此程このほどようやく犯人の目星めぼしつかむことを得たるを以て
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ひさしくおかみにおいて御探索たんさく中であったかの逆袈裟ぎゃくけさがけ辻斬りの下手人が当屋敷に潜伏せんぷくいたしおるとのことであるが、お前ら屋敷内にさよう胡乱うろんな者をみとめはしなかったか
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「そうとわかれば、汝を手いたい目にあわすのではなかった。なにをかくそう、拙者せっしゃはわけがあって、秀吉公ひでよしこうめいをうけ、この裾野すそののようすを探索たんさくにきた、可児才蔵かにさいぞうという者だ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
立下總國古河町穀屋儀左衞門方に逗留いたし七月四日朝五ツ時出立右の通り泊り/\探索たんさく仕つり候處相違無之さうゐこれなく別紙べつし廿七日泊りの場所栃木中町徳右衞門を上町かみまち名主方へ呼寄よびよせなほちく一吟味仕つり書付を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此處まで來ると、平次の探索たんさくもハタと行詰ります。この上はガラツ八が午吉を見付けるのを待つ外はないでせう。
じつあ、きょうも、それを探索たんさくするために、蚕婆かいこばばあとふたりで、加茂川かもがわの岸をブラブラ歩いていると、ごしょうちでがしょう、あの鞍馬くらま竹童ちくどうのやつがボンヤリどてに腰かけていたんです。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
徳藏稻荷の堂守だうもり殺しは、それつきり下手人げしゆにんが判りませんでした。錢形平次は身一つに引受けて、いろ/\探索たんさくの手をつひやしましたが、何としても解りません。
だが、いくら焦躁あせっても、進み得ない一線が前に云った探索たんさくの問題である。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『金づくで濟むことなら』とあらゆる探索たんさくをしましたが、不思議なことに三人の行方が一向判らないばかりでなく、その行方不明になつた足取りも、まるで見當が付かないのです。
平次はいろ/\探索たんさくをした樣子だから、大方の見當は付くだらう。駒込の旗本八千五百石、永井和泉守樣の御跡取、たつた一粒種の鐵三郎樣は三年前十八歳で行方不知になられた。
平次は其の部屋を中心に、店へ、奧へ、お勝手へと探索たんさくの手を伸ばして行きました。
おびたゞしい人數は直ぐ樣市ヶ谷田町にり出され、遠卷に寶屋を取卷くやうにして、念入りな調べが始まりましたが、數十人の手で一日がかりの探索たんさくむなしく、寶屋の店にある商賣の資本の外には
たつた一日の探索たんさくでは、それ以上の事は見當も付きません。
フト探索たんさく盲點まうてんのあつたことに氣が付いたのです。