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抛
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はふ
ふりがな文庫
“
抛
(
はふ
)” の例文
書く人間がゐちや
抛
(
はふ
)
つては置けません。一度はイヤな思ひをなさるつもりで、この書き手を搜し出し、
後腐
(
あとくさ
)
れのないやうになさいませ
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし決して「二二が四」から始まつてゐるとは限らないのである。僕は必ずしも科学的精神を
抛
(
はふ
)
つてしまへと云ふのではない。
続文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「今まで我慢をしてゐたですけれど、もう
抛
(
はふ
)
つて置かれんから、私は赤樫さんに会つて、貴方の事をすつかり話して了ひます」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そこで、とかく
弱蟲
(
よわむし
)
の
女子
(
をなご
)
ばかりが
玩弄
(
かま
)
はれまするとけつかる。いや、
俺
(
おれ
)
は、
野郎
(
やらう
)
をば
抛
(
はふ
)
り
出
(
だ
)
し、
女郎
(
めらう
)
をば
制裁
(
かま
)
はう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
蓋
(
ふた
)
をしない
硯箱
(
すずりばこ
)
には、黒と赤とのインク壺が割り込んでゐて、毛筆もペンも鉛筆もごつちやに
抛
(
はふ
)
り込んである。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
彼女は彼女でその傍に少し膝を崩して坐り、当のない憂欝に引き込まれながら、先刻道助が
癇癪
(
かんしやく
)
を起して物置きの中へ
抛
(
はふ
)
り込んだ小鳥の鳴き声を追つてゐた。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
おたあちやんは、急に悪い気になつて、その三又土筆を掴むなり小川の中へ
抛
(
はふ
)
り投げて了ひました。
虹の橋
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
圭一郎は濟まない氣持で手紙をくしや/\に丸め、火鉢の中に
抛
(
はふ
)
り込んだ。燒け殘りはマッチを摺つて痕形もなく燃やしてしまつた。彼の心は冷たく
痲痺
(
しび
)
れ石のやうになつた。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
一葉女史なんざ草双紙を読んだ時、
此
(
この
)
人は僕と違つて土蔵があつたさうで、土蔵の二階に本があるので、
故
(
わざ
)
と
悪戯
(
いたづら
)
をして、
剣突
(
けんつく
)
を食つて、叱られては土蔵へ
抛
(
はふ
)
り込まれるのです。
いろ扱ひ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
『休暇で歸るのに見送りなんか
爲
(
し
)
て貰はなくつても可いと言つたのに、態々俥でやつて來てね。
麥酒
(
ビール
)
や水菓子なんか
車窓
(
まど
)
ン中へ
抛
(
はふ
)
り込んでくれた。皆樣に
宜敷
(
よろしく
)
つて言つてたよ。』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
海の中へ天の羽衣を
抛
(
はふ
)
り込んで、さつさと
家
(
うち
)
へ帰り、床に入つて、寝てしまひました。
竜宮の犬
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
俺はやけに風呂敷包を
抛
(
はふ
)
り出して机の前に坐つて見た。火鉢の炭までが乱雑にくべられてある。「俺をこんな不愉快な目に遇はせて…………」と、俺は
躍気
(
やくき
)
となつて妻と姉を呪つた。
公判
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
おきみはその
咽喉元
(
のどもと
)
を絞められて、この闇のどん底へ叩きのめされてしまつたとしても、周三だけはむしろ餘計者として他界へ
抛
(
はふ
)
り出されるのかと思ひの外、同じやうに、その首と足とに
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
しやぶり終つてから骨を遠くへ
抛
(
はふ
)
ると、水音がし、骨は湖に沈んで行つた。
狐憑
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
「それなら、あんたはん
抛
(
はふ
)
つといて
私
(
うち
)
ら行つて来ますえ。」
悲しめる顔
(新字旧仮名)
/
横光利一
(著)
抛
(
はふ
)
りつぱなしで貸つぱなしな
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
月に向つてそれは
抛
(
はふ
)
れず
在りし日の歌:亡き児文也の霊に捧ぐ
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
「一と晩のうちに撒き切れなかつたと見えて、撒いた殘りの千兩は、帳面を添へて
成瀬
(
なるせ
)
横町の自身番に
抛
(
はふ
)
り込んであつたさうだ」
銭形平次捕物控:302 三軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は一切がくだらなくなつて、読みかけた夕刊を
抛
(
はふ
)
り出すと、又窓枠に頭を
靠
(
もた
)
せながら、死んだやうに眼をつぶつて、うつらうつらし始めた。
蜜柑
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その様子を見ると道助は少し堪へられなくなつて
密
(
そ
)
つと椅子を離れた。そして先刻彼女が
抛
(
はふ
)
り出した花束を拾ひ上げて、殆ど無意識にその
花片
(
はなびら
)
を一つ/\むしり初めた。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
下村は巧みに
巻揚機
(
ウインチ
)
にはずみをつけて、ざんぶと魚雷を水へ
抛
(
はふ
)
り込んだ。
怪艦ウルフ号
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
今までは
行方
(
ゆきがた
)
が知れなかつたから為方がないけれど、聞合せれば
直
(
ぢき
)
に分るのだから、それを
抛
(
はふ
)
つて
措
(
お
)
いちや
此方
(
こつち
)
が悪いから、阿父さんにでも会つて
貰
(
もら
)
つて、何とか話を付けるやうにして下さいな。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
私
(
わたくし
)
は一
切
(
さい
)
がくだらなくなつて、
讀
(
よ
)
みかけた
夕刊
(
ゆふかん
)
を
抛
(
はふ
)
り
出
(
だ
)
すと、
又
(
また
)
窓枠
(
まどわく
)
に
頭
(
あたま
)
を
靠
(
もた
)
せながら、
死
(
し
)
んだやうに
眼
(
め
)
をつぶつて、うつらうつらし
始
(
はじ
)
めた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
平次はたうとう錢を
抛
(
はふ
)
りました。女を相手に大人氣ないやうですが、さうでもしなければ、怪我人を拵へたかも知れません。
銭形平次捕物控:319 真珠太夫
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
次の日、ふと道助は昨日腹立ち
紛
(
まぎ
)
れに物置の中へ
抛
(
はふ
)
り込んでそのまゝになつてゐる小鳥のことを思ひ出した。もう昼近くのことで
磨
(
す
)
り
餌
(
ゑ
)
をやる時刻はとつくに過ぎてゐたのだ。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
保吉は吸ひかけた煙草と一しよに、乗り移つた悪魔を
抛
(
はふ
)
り出した。不意を
食
(
くら
)
つた悪魔はとんぼ返る拍子に小僧の鼻の穴へ飛びこんだのであらう。
あばばばば
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「ちやんは苦しさうに、石、石、——つて言つたよ。石を拾つて、惡者へ
抛
(
はふ
)
れといふ事かと思つたが、眞つ暗でもう何んにも見えなかつたんだ」
銭形平次捕物控:149 遺言状
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼女は熱のある眼つきをして、「私も小説を書き出さうかしら。」と云つた。すると従兄は返事をする代りに、グウルモンの警句を
抛
(
はふ
)
りつけた。
秋
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その
眞田紐
(
さなだひも
)
を、覗けば見えるやうな隣の部屋へ
抛
(
はふ
)
り込んで、燈芯のやうに弱い赤い紐なんかを卷いて置くのも細工が過ぎて本當らしくありません
銭形平次捕物控:020 朱塗りの筐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
前夜にそこへ
転
(
ころ
)
げ落ちたか、
抛
(
はふ
)
りこまれたかしたものである。すると同じ仲間の農夫が一人、彼の友だちに殺人犯人は彼自身であると公言した。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
替へ鍵で開けて入ると、平常使つてゐる鍵は、藏の中に
抛
(
はふ
)
り出してあつて、中の樣子が大分變つてるぢやありませんか。
銭形平次捕物控:127 彌惣の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「旦那樣、何とか遊ばして下さいまし。このまゝ
抛
(
はふ
)
つてお置きになると、相手は増長して、何をやり出すか判りません」
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
五分、十分、——トウルゲネフはとうとうたまり兼ねたやうに、新聞を其処へ
抛
(
はふ
)
り出すと、
蹌踉
(
さうらう
)
と椅子から立ち上つた。
山鴫
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
併し焔の壁は思ひの外薄く、一瞬の後には、夜の冷々とした大地の上に、二人は
抛
(
はふ
)
り出されたやうに倒れてをりました。
銭形平次捕物控:135 火の呪ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
労働者がどうとかしたら、気が違つて、ダイナマイトを
抛
(
はふ
)
りつけて、しまひにその女までどうとかしたとあつた。
寒山拾得
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「母家の床下に、
抛
(
はふ
)
り込んで土をかぶせてあつたが、下男の釜七に訊くと、富士見の塔の梯子に違ひないといふんだ」
銭形平次捕物控:249 富士見の塔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「見やあがれ。
己
(
おれ
)
だつて出たらめばかりは云やしねえ。」——
南瓜
(
かぼちや
)
はさう云つて、脇差を
抛
(
はふ
)
り出したさうだがね。
南瓜
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「前の日お六どんが洗つて、井戸端の
盥
(
たらひ
)
の中に絞つたまゝ
抛
(
はふ
)
り込んであつた、肌着類でした。お六どんは、ヒドく怖がつて、直ぐ洗ひ直しましたが」
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
僕は壁にかけた外套に僕自身の立ち姿を感じ、急いでそれを部屋の隅の衣裳戸棚の中へ
抛
(
はふ
)
りこんだ。それから鏡台の前へ行き、ぢつと鏡に僕の顔を映した。
歯車
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「だから、萬吉を抱き上げて、井戸へ
抛
(
はふ
)
り込んだのは金次郎ぢやないのさ。人見知りをする子で、容易に誰の手へも行かなかつたといふぢやないか」
銭形平次捕物控:108 がらツ八手柄話
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこで彼は手拭と垢すりとを流しへ
抛
(
はふ
)
り出すと半ば身を起しながら、苦い顔をして、こんな
気焔
(
きえん
)
をあげた。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
こいつは聟入の恰好には無くてならぬ道具ですが、
先刻
(
さつき
)
此處へ
抛
(
はふ
)
り出して、嫁の部屋へ驅付けたのを、曲者は早速利用して、縁側から
抛
(
はふ
)
つたのでせう。
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
みんな
日比谷
(
ひびや
)
公園の池へ
抛
(
はふ
)
りこんで、
生埋
(
いきう
)
めにしちまつたらう。それで金どんもやつぱり生埋めにされちまつたもんだから、それであんなにお母さんが泣いてゐるのさ。
饒舌
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
兇器は總兵衞自身が寢室の床の間に置いた用心の脇差で、それは曲者が逃げる時、
面喰
(
めんくら
)
つて持出したものか、裏口の外、溝の中に
抛
(
はふ
)
り込んでありました。
銭形平次捕物控:142 権八の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
良平は
少時
(
しばらく
)
無我夢中に線路の側を走り続けた。その内に
懐
(
ふところ
)
の菓子包みが、邪魔になる事に気がついたから、それを路側へ
抛
(
はふ
)
り出す
次手
(
ついで
)
に、
板草履
(
いたざうり
)
も其処へ脱ぎ捨ててしまつた。
トロツコ
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「死骸は羽織を着て居るが、羽織の紐が取れて居るだらう、——この通り飛んでもない方に
抛
(
はふ
)
り出してあるが」
銭形平次捕物控:275 五月人形
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
これは銘仙だか大島だか判然しない着物を着た、やはり年少の豪傑が
抛
(
はふ
)
りつけた評語である。が、豪傑自身の着物も、余程長い間着てゐると見えて、
襟垢
(
えりあか
)
がべつとり食附いてゐる。
着物
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大地に
抛
(
はふ
)
り出されて、起き上がらぬうちに、狂ひに狂つた馬は、二三十尺もあらうと思ふ崖の下へ、一
塊
(
くわい
)
の土の如く落ちて、水音高く沈んで了つたのです。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
云ひ
畢
(
をは
)
ると共に、利仁は、一ふり振つて狐を、遠くの
叢
(
くさむら
)
の中へ、
抛
(
はふ
)
り出した。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
場所は日本橋近かつたので、幸之進は死骸を
晒
(
さら
)
し場に
抛
(
はふ
)
り込んだ。萬人に見せて怨みを晴すつもりだつたらう。
銭形平次捕物控:221 晒し場は招く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
抛
漢検1級
部首:⼿
7画
“抛”を含む語句
抛棄
抛物線
抛擲
抛出
放抛
打抛
抛込
抛下
追抛
執抛
独鈷抛山
槌抛
捨閉擱抛
抛放
抛捨
抛打
抛射物
抛合
抛却
抛入
...