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憤
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いきどほり
ふりがな文庫
“
憤
(
いきどほり
)” の例文
これがいつまでわが目の樂なりしやといふ事、大いなる
憤
(
いきどほり
)
の
眞
(
まこと
)
の
原因
(
もと
)
、またわが用ゐわが作れる言葉の事即ち是なり 一一二—一一四
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
自分は
憤
(
いきどほり
)
に堪へない心持で、その車力を憎み、同時に女の身の上を氣づかつたが、子供心にも女の身は無事だつたと認めて、多少は安心した。
貝殻追放:016 女人崇拝
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
その
面持
(
おもゝち
)
すこしも常に殊ならず。われは心の底に、言ふべからざる
羞
(
はぢ
)
と
憤
(
いきどほり
)
とを覺えて、口に一語をも出すこと能はざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
瑠璃子が、入つて来れば、此の押へ切れない
憤
(
いきどほり
)
を、彼女に対しても、洩さう。白痴の子を弄んでゐるやうな、彼女の不謹慎を思ひ切り責めてやらう。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
もし単に故郷に
容
(
い
)
れられぬといふばかりならば、根本の父のやうに、又は塩町の湯屋のやうに、
憤
(
いきどほり
)
を発して他郷に出て、それで名誉を
恢復
(
くわいふく
)
した
例
(
ためし
)
は
幾許
(
いくら
)
もある。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
吾はその悔の為にはかの
憤
(
いきどほり
)
を忘るべきか、
任他
(
さはれ
)
吾恋の
旧
(
むかし
)
に
復
(
かへ
)
りて再び
完
(
まつた
)
かるを得るにあらず、彼の悔は彼の悔のみ、吾が失意の恨は終に吾が失意の恨なるのみ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
臺所
(
だいどころ
)
の
豪傑儕
(
がうけつばら
)
、
座敷方
(
ざしきがた
)
の
僭上
(
せんじやう
)
、
榮耀榮華
(
えいえうえいぐわ
)
に
憤
(
いきどほり
)
を
發
(
はつ
)
し、しや
討
(
う
)
て、
緋縮緬小褄
(
ひぢりめんこづま
)
の
前
(
まへ
)
を
奪取
(
ばひと
)
れとて、
竈將軍
(
かまどしやうぐん
)
が
押取
(
おつと
)
つた
柄杓
(
ひしやく
)
の
采配
(
さいはい
)
、
火吹竹
(
ひふきだけ
)
の
貝
(
かひ
)
を
吹
(
ふ
)
いて、
鍋釜
(
なべかま
)
の
鎧武者
(
よろひむしや
)
が
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
或
(
あるひ
)
は
地
(
ち
)
を
擇
(
えら
)
んで
之
(
これ
)
を
蹈
(
ふ
)
み、
時
(
とき
)
にして
然
(
しか
)
る
後
(
のち
)
言
(
こと
)
を
出
(
いだ
)
し、
行
(
ゆ
)
くに
(五六)
徑
(
こみち
)
に
由
(
よ
)
らず、
(五七)
公正
(
こうせい
)
に
非
(
あら
)
ざれば
憤
(
いきどほり
)
を
發
(
はつ
)
せず、
而
(
しか
)
も
禍災
(
くわさい
)
に
遇
(
あ
)
ふ
者
(
もの
)
、
勝
(
あ
)
げて
數
(
かぞ
)
ふ
可
(
べ
)
からざる
也
(
なり
)
。
余
(
よ
)
甚
(
はなは
)
だ
惑
(
まど
)
ふ。
国訳史記列伝:01 伯夷列伝第一
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
男は殊更に鷹揚な態度を示して、かうは云ふものの、深い
憤
(
いきどほり
)
を包むに苦しさうな顔付をすることが常であつた。
一思
(
ひとおもひ
)
にこんなやくざ女を蹴とばしてしまはうといきりたつこともあつた。
瘢痕
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
今はそれをも諦めて、泥濘の道を歩くにも
憤
(
いきどほり
)
の起るやうなことはなくなつた。
接吻
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
〔譯〕
憤
(
いきどほり
)
を發して食を
忘
(
わす
)
る、
志氣
(
しき
)
是
(
かく
)
の如し。
樂
(
たのし
)
んで以て
憂
(
うれひ
)
を忘る、
心體
(
しんたい
)
是の如し。
老
(
らう
)
の將に至らんとするを知らず、
命
(
めい
)
を知り天を樂しむもの
是
(
かく
)
の如し。聖人は人と同じからず、又人と
異
(
こと
)
ならず。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
予はこの時に至つて、始めて本多子爵と明子とが、既に
許嫁
(
いひなづけ
)
の約ありしにも関らず、
彼
(
かの
)
、満村恭平が黄金の威に圧せられて、遂に破約の
已
(
や
)
む無きに至りしを知りぬ。予が心、
豈
(
あに
)
憤
(
いきどほり
)
を加へざらんや。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
失せよ、深慮の人々を分離せしむる
憤
(
いきどほり
)
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
すばらしい、
憤
(
いきどほり
)
に似た
新頌
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
さう云ひながら、荘田は得々として、瑠璃子の手紙を直也に突き付けたとき、彼の心は火のやうな
憤
(
いきどほり
)
と、恋人を奪はれた墨のやうな
恨
(
うらみ
)
とで、狂つてしまつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
されどもその一旦の
憤
(
いきどほり
)
は、これを斥けしが為に消ゆるにもあらずして、その必ず得べかりし物を失へるに似たる
怏々
(
おうおう
)
は、吾心を
食尽
(
はみつく
)
し、
終
(
つひ
)
に吾身を
斃
(
たふ
)
すにあらざれば
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
われは羅馬に往くことを願はねど、例の恩誼に口を塞がれて、僅かに、老公のおほん
憤
(
いきどほり
)
の氣遣はれてとのみ云ひしに、そはわれ等申し解くべしと答へて我に詞を繼がしめ給はず。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
それが朝夕出入をして居る儀平とこの
親父
(
とつさあ
)
の仕業であつたと聞いた時は、驚きも怪みも一つになつて心頭から
憤
(
いきどほり
)
が
炎
(
ほのほ
)
のやうにもえたつた。
先刻
(
さつき
)
もお巡査さんの前に散々本人をきめつけた。
夜烏
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
この上尾貞七と
謂
(
い
)
ふのは、根本三之助などと同じく、一時は非常に逆境に
沈淪
(
ちんりん
)
して、村には殆ど身を
措
(
お
)
く事が出来ぬ程に
為
(
な
)
つた事のある男で、それから
憤
(
いきどほり
)
を発して、江戸へ出て、廿年の間に
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
猛火の如く人間の胸に燃えたつ
憤
(
いきどほり
)
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
その時なほも
憤
(
いきどほり
)
解けもやらぬを
歌よ、ねがふは
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
夫人から、弄ばれた
恨
(
うらみ
)
と
憤
(
いきどほり
)
とに、燃えてゐた青年の心を、彼はいやが上に煽つた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
わが嚴命を畏まば棄てよ汝の
憤
(
いきどほり
)
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
遊佐は
憤
(
いきどほり
)
を忍べる
声音
(
こわね
)
にて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
憤
常用漢字
中学
部首:⼼
15画
“憤”を含む語句
憤々
憤怒
憤然
御憤
憤懣
鬱憤
憤激
欝憤
憤怨
義憤
憤恨
憤恚
発憤
憂憤
憤気
憤慨
悲憤
余憤
悲憤慷慨
大憤慨
...