ぴろ)” の例文
新字:
これがむかし本陣ほんぢんだと叔父をぢつただゞつぴろ中土間なかどまおくけた小座敷こざしきで、おひらについた長芋ながいも厚切あつぎりも、大鮪おほまぐろ刺身さしみあたらしさもおぼえてる。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
京都を歩いて居ると無用のものが多く、だだぴろくてきに可厭いやになるが、大阪に至つては街區のどの一角を仕切り取つても活溌な生活ラ・ヰイの斷片を掴む事が出來るやうに感ぜられる。
京阪聞見録 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
その日、冷たい氷雨ひさめが石狩のだゞツぴろい平原に横なぐりに降つてゐた。
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
此處に、此のだだぴろい市民の部落に
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
それが、うへの、ずんどに、だゞつぴろむかし大手前おほてまへつたとほりへ、くわツあたつて、うやつてかげもない。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
座敷ざしき二階にかいで、だゞつぴろい、人氣にんきすくないさみしいいへで、夕餉ゆふげもさびしうございました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
もしびれたか、きゆつときしむ……水口みづくちけると、ちやも、かまちも、だゞつぴろおほきなあな四角しかくならべて陰氣いんきである。引窓ひきまどす、なんかげか、うすあかりに一目ひとめると、くちびるがひツつツた。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ぴつたりめたふすままい……臺所だいどころつゞくだゞつぴろ板敷いたじきとのへだてる……出入口ではひりぐちひらきがあつて、むしや/\といはらんゑがいたが、年數ねんすうさんするにへず、で深山みやまいろくすぼつた、引手ひきてわき
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
主人あるじますと、格子戸かうしどそとに、くろで、まんじをおいた薄暗うすぐら提灯ちやうちんひとつ……もつと一方いつぱうには、しゆなにかかいてあつたさうですけれど、それえずに、まんじて……黄色黒きいろぐろい、あだよごれた、だゞつぴろ
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)