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岸破
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がば
ふりがな文庫
“
岸破
(
がば
)” の例文
子爵は心に喜びつつ写真機の前に進み出で、今や
鏡面
(
レンズ
)
を開かんと構ふる時、貴婦人の頬杖は
忽
(
たちま
)
ち
頽
(
くづ
)
れて、その身は燈籠の笠の上に折重なりて
岸破
(
がば
)
と伏しぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ずるずる
黒繻子
(
くろじゅす
)
の解くるを取って棄て、
引据
(
ひきす
)
え、お沢の両手をもて
犇
(
ひし
)
と
蔽
(
おお
)
う乱れたる胸に、
岸破
(
がば
)
と手を
差入
(
さしいれ
)
る
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蹴られて金眸
岸破
(
がば
)
と
跳起
(
はねお
)
き、一声
嘷
(
ほ
)
えて立上らんとするを、起しもあへず鷲郎が、
襟頭
(
えりがみ
)
咬
(
く
)
はへて引据ゆれば。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
其やうに仰せ下さりましても私にはお返事の致しやうが御座りませぬと言ひ出るに、何をと母が顏を出せば、あ、植村さん、植村さん、何處へお出遊ばすのと
岸破
(
がば
)
と起きて
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
維盛卿は至極の道理に面目なげに差し
俯
(
うつぶ
)
き、狩衣の御袖を絞りかねしが、言葉もなく、ツと次の室に立入り給ふ。跡見送りて瀧口は、其儘
岸破
(
がば
)
と伏して男泣きに泣き沈みぬ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
▼ もっと見る
夜の二時頃、
枕辺
(
まくらべ
)
近く
撞
(
どす
)
と云った
物音
(
ものおと
)
に、余は
岸破
(
がば
)
と
刎
(
は
)
ね起きた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
岸破
(
がば
)
と
跳
(
をど
)
りぬ。そはなれが
呻吟
(
うめき
)
の聲か
接吻
(
くちづけ
)
か。
母
(旧字旧仮名)
/
アダ・ネグリ
(著)
と立派に言い放ち、お柳は
忽
(
たちま
)
ち
震
(
ふる
)
いつくように、
岸破
(
がば
)
と男の膝に
頬
(
ほお
)
をつけたが、
消入
(
きえい
)
りそうな
風采
(
とりなり
)
で
木精(三尺角拾遺)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのやうに
仰
(
おほ
)
せ下さりましても
私
(
わたし
)
にはお返事の致しやうが御座りませぬと言ひ
出
(
いづ
)
るに、何をと母が顔を出せば、あ、植村さん、植村さん、何処へお
出
(
いで
)
遊ばすのと
岸破
(
がば
)
と起きて
うつせみ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
声震はせて
縋
(
すが
)
ると見れば、宮は男の
膝
(
ひざ
)
の上なる
鋩
(
きつさき
)
目掛けて
岸破
(
がば
)
と伏したり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
蕾の
唇
(
くちびる
)
惜氣
(
をしげ
)
もなく喰ひしばりて、噛み碎く息の切れ/″\に全身の哀れを忍ばせ、はては耐へ得で、體を
岸破
(
がば
)
とうつ伏して、人には見えぬ
幻
(
まぼろし
)
に我身ばかりの
現
(
うつゝ
)
を寄せて、よゝとばかりに泣き
轉
(
まろ
)
びつ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
と
立派
(
りつぱ
)
に
言
(
い
)
ひ
放
(
はな
)
ち、お
柳
(
りう
)
は
忽
(
たちま
)
ち
震
(
ふる
)
ひつくやうに、
岸破
(
がば
)
と
男
(
をとこ
)
の
膝
(
ひざ
)
に
頬
(
ほゝ
)
をつけたが、
消入
(
きえい
)
りさうな
風采
(
とりなり
)
で
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
その
)
やうに
仰
(
あふ
)
せ
下
(
くだ
)
さりましても
私
(
わたし
)
にはお
返事
(
へんじ
)
の
致
(
いた
)
しやうが
御座
(
ござ
)
りませぬと
言
(
い
)
ひ
出
(
い
)
づるに、
何
(
なに
)
をと
母
(
はゝ
)
が
顏
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
せば、あ、
植村
(
うゑむら
)
さん、
植村
(
うゑむら
)
さん、
何處
(
どこ
)
へお
出遊
(
いであそ
)
ばすのと
岸破
(
がば
)
と
起
(
お
)
きて
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
言ひつゝ眼を閉ぢ、維盛卿の
御寢間
(
おんねま
)
に向ひ
岸破
(
がば
)
と打伏しぬ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
其時
(
そのとき
)
荒坊主
(
あらばうず
)
岸破
(
がば
)
と
起上
(
おきあが
)
り、
舳
(
へさき
)
に
突立
(
つゝた
)
ツて、はつたと
睨
(
ね
)
め
付
(
つ
)
け、「いかに
龍神
(
りうじん
)
不禮
(
ぶれい
)
をすな、
此
(
この
)
船
(
ふね
)
には
文覺
(
もんがく
)
と
云
(
い
)
ふ
法華
(
ほつけ
)
の
行者
(
ぎやうじや
)
が
乘
(
の
)
つて
居
(
ゐ
)
るぞ!」と
大音
(
だいおん
)
に
叱
(
しか
)
り
付
(
つ
)
けたと
謂
(
い
)
ふ。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お村殿には御用人何某と人目を忍ばれ
候
(
さふらふ
)
」と
欺
(
あざむ
)
きければ、短慮無謀の
平素
(
ひごろ
)
を、酒に
弥暴
(
いやあら
)
く、怒気烈火の
如
(
ごと
)
く心頭に発して、
岸破
(
がば
)
と
蹶起
(
はねお
)
き、
枕刀
(
まくらがたな
)
押取
(
おつと
)
りて、一文字に
馳出
(
はせい
)
で
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
女どもが云つた
呪詛
(
まじない
)
のやうな
言
(
ことば
)
も
凄
(
すご
)
し、
一足
(
ひとあし
)
棟
(
むね
)
を離れるが最後、
岸破
(
がば
)
と野が落ちて
地
(
じ
)
の底へ沈まうも知れずと、
爪立足
(
つまだてあし
)
で、びく/\しながら、それから一生懸命に、
野路
(
のみち
)
にかゝつて
遁
(
に
)
げ出した
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
此の声
柱
(
はしら
)
を動かして、
黒燻
(
くろくすぶり
)
の壁、其の
蓑
(
みの
)
の下、
袷
(
あわせ
)
をかけてあつた
処
(
ところ
)
、
件
(
くだん
)
の
巌形
(
いわおがた
)
の
破目
(
やれめ
)
より、
岸破
(
がば
)
と
摚倒
(
どうだお
)
しに
裡
(
うち
)
へ倒れて、炉の上へ
屏風
(
びょうぶ
)
ぐるみ崩れ込むと、黄に赤に煙が
交
(
まじ
)
つて
※
(
ぱっ
)
と
砂煙
(
すなけむり
)
が
上
(
あが
)
つた。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
岸
常用漢字
小3
部首:⼭
8画
破
常用漢字
小5
部首:⽯
10画
“岸破”で始まる語句
岸破々々