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やまかげ
ふりがな文庫
“
山陰
(
やまかげ
)” の例文
三間幅の大道路は、
山陰
(
やまかげ
)
の
狭地
(
きょうち
)
も、渓流に荒された所も、駅々の町屋のなかも、また湖畔に沿うても、一路京都まで通じていた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
山陰
(
やまかげ
)
の佐藤清君、市原正君。自分の村の名と自分の名とを呼ばれた少年たちは云われたとおり列をはなれて前へ出た。
三月の第四日曜
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
血
夥
(
おびただ
)
しく流れたるが、
只
(
と
)
見れば
遙
(
はるか
)
の
山陰
(
やまかげ
)
に、一匹の大虎が、嘴に咬へて持て行くものこそ、
正
(
まさ
)
しく月丸が
死骸
(
なきがら
)
なれば
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
其
(
そ
)
の
雲
(
くも
)
が
時雨
(
しぐ
)
れ/\て、
終日
(
ひねもす
)
終夜
(
よもすがら
)
降
(
ふ
)
り
續
(
つゞ
)
くこと
二日
(
ふつか
)
三日
(
みつか
)
、
山陰
(
やまかげ
)
に
小
(
ちひ
)
さな
青
(
あを
)
い
月
(
つき
)
の
影
(
かげ
)
を
見
(
み
)
る
曉方
(
あけがた
)
、ぱら/\と
初霰
(
はつあられ
)
。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
甲府からバスに乗って
御坂峠
(
みさかとうげ
)
を越え、河口湖の岸を通り、船津を過ぎると、下吉田町という細長い
山陰
(
やまかげ
)
の町に着く。この町はずれに、どっしりした古い
旅籠
(
はたご
)
がある。
律子と貞子
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
が、
苦
(
くる
)
しみは
少
(
すこ
)
しもない。
唯
(
ただ
)
胸
(
むね
)
が
冷
(
つめ
)
たくなると、一
層
(
そう
)
あたりがしんとしてしまつた。ああ、
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
靜
(
しづ
)
かさだらう。この
山陰
(
やまかげ
)
の
藪
(
やぶ
)
の
空
(
そら
)
には、
小鳥
(
ことり
)
一
羽
(
は
)
囀
(
さえづ
)
りに
來
(
こ
)
ない。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
文治元年
九月
(
ながつき
)
の末に、かの寂光院へ入らせおはします。道すがらも
四方
(
よも
)
の
梢
(
こずゑ
)
の色々なるを、御覧じ過ごさせ給ふ程に、
山陰
(
やまかげ
)
なればにや、日もやうやう暮れかかりぬ。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
死したる人と物いうとは思われずして、悲しく情なくなりたれば
足元
(
あしもと
)
を見てありし間に、男女は再び足早にそこを立ち
退
(
の
)
きて、
小浦
(
おうら
)
へ行く道の
山陰
(
やまかげ
)
を
廻
(
めぐ
)
り見えずなりたり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
春
(
はる
)
されば
樹
(
き
)
の
木
(
こ
)
の
暗
(
くれ
)
の
夕月夜
(
ゆふづくよ
)
おぼつかなしも
山陰
(
やまかげ
)
にして 〔巻十・一八七五〕 作者不詳
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
こうした
山陰
(
やまかげ
)
に永久に朽ちさせてしまうのがあまりに心苦しゅうございましてね、なにも私と同じ道を取らずともよいはずであるとも考えられまして、ほかのほうのことも空想いたしますが
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
山陰
(
やまかげ
)
のせいか、直ぐ夕暮になった。どこで打つ鐘か、入相の鐘の音さえも、ひとしお淋しさをつのらせる。風が出てきて、木の葉がさやさやと音をたてて鹿の音ずれさえも聞えてくる山の中である。
現代語訳 平家物語:13 灌頂の巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
山陰
(
やまかげ
)
にカインはいねず、夢おぼろ
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
畑打や鳥さへ鳴かぬ
山陰
(
やまかげ
)
に
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
妻の
登子
(
とうこ
)
、そう三名の分骨がおさまっている
山陰
(
やまかげ
)
の位牌堂へ行く——一
見
(
けん
)
、健吉さんが「
書斎
(
しょさい
)
にいいなあ」と感嘆したほど、閑素で清潔な小堂だった。
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの
死骸
(
しがい
)
を
見
(
み
)
つけたのは、わたしに
違
(
ちが
)
ひございません。わたしは
今朝
(
けさ
)
何時
(
いつ
)
もの
通
(
とほ
)
り、
裏山
(
うらやま
)
の
杉
(
すぎ
)
を
伐
(
き
)
りに
參
(
まゐ
)
りました。すると
山陰
(
やまかげ
)
の
藪
(
やぶ
)
の
中
(
なか
)
に、あの
死骸
(
しがい
)
があつたのでございます。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
山陰
(
やまかげ
)
のしづかなる野に
二人
(
ふたり
)
ゐて細く萌えたる蕨をぞ
摘
(
つ
)
む
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
山陰
(
やまかげ
)
にカインはいねず、夢おぼろ
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
山陰
(
やまかげ
)
に湖暗し
五月雨
(
さつきあめ
)
吟江
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
『
山陰
(
やまかげ
)
の
雪
(
ゆき
)
だ。』
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一朶
(
いちだ
)
の白雲が漂うかのような法然の眉、のどかな
陽溜
(
ひだま
)
りを抱いている
山陰
(
やまかげ
)
のように、
寛
(
ひろ
)
くて風のないそのふところ。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの
死骸
(
しがい
)
を見つけたのは、わたしに違いございません。わたしは
今朝
(
けさ
)
いつもの通り、裏山の杉を
伐
(
き
)
りに参りました。すると
山陰
(
やまかげ
)
の
藪
(
やぶ
)
の中に、あの死骸があったのでございます。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
山陰
(
やまかげ
)
の道を出たとたんである。人々は
愕然
(
がくぜん
)
とさけんで騒ぎ立った。これから帰ろうとする
砦
(
とりで
)
のあたり、
夕星
(
ゆうずつ
)
の空をそめて、赤い火気がたちのぼっているではないか。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ胸が冷たくなると、一層あたりがしんとしてしまった。ああ、何と云う静かさだろう。この
山陰
(
やまかげ
)
の藪の空には、小鳥一羽
囀
(
さえず
)
りに来ない。ただ杉や竹の
杪
(
うら
)
に、寂しい日影が
漂
(
ただよ
)
っている。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
赤松の
梢
(
こずえ
)
に、山藤の花が垂れていた。道はひくい
山陰
(
やまかげ
)
をめぐってゆく。ふと、官兵衛は馬をとめて
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しばらく行進を続けた
後
(
のち
)
、隊は石の多い
山陰
(
やまかげ
)
から、風当りの強い
河原
(
かわら
)
へ出た。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
浅野又右衛門の弓隊は、そこの本陣からやや離れた
山陰
(
やまかげ
)
の腹にかたまっていた。
弓之衆
(
ゆみのしゅう
)
の一隊ではあるが、今日の合戦に、
矢交
(
やま
)
ぜの戦いなどはないと見越して、みな槍を持っていた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
路
(
みち
)
は
山陰
(
やまかげ
)
に沿うていたから、隊形も今日は特別に、四列側面の行進だった。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
はッと、みんな大きな息をつくと、ほとんど誰もが一緒に、尻もちつくように
山陰
(
やまかげ
)
の草の中へ、腰を落した。藤吉郎は、湯気の立つ顔を、
雑巾
(
ぞうきん
)
のような手拭で、ぐるぐるこすっていた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
間もなく、盆地の
山陰
(
やまかげ
)
を、遥かのほうから軍馬の気はいがして来た。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“山陰”の意味
《固有名詞》
山 陰(さんいん)
中国地方(と兵庫県・京都府)の日本海側のこと。山陰地方。
《名詞》
山 陰(やまかげ)
山の陰になっている部分や場所。
(出典:Wiktionary)
“山陰(山陰地方)”の解説
山陰地方(さんいんちほう)は、日本の地域の一つであり、本州西部のうち日本海に面する地方である。名称は五畿七道の山陰道に因む。
(出典:Wikipedia)
山
常用漢字
小1
部首:⼭
3画
陰
常用漢字
中学
部首:⾩
11画
“山陰”で始まる語句
山陰道
山陰泛雪図