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妬
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や
ふりがな文庫
“
妬
(
や
)” の例文
「お前が来てから、お静の調子がすっかり変ったのさ。気の毒だが、御用聞の平次に、
妬
(
や
)
く女房があっちゃお上の御用が勤まらねえ」
銭形平次捕物控:024 平次女難
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
男女陰陽
(
なんにょおんよう
)
の道にもとづいてたわむれするはこうするものぞよ。どうじゃ、
妬
(
や
)
き加減は? アッハハハ。では、罷りかえるかのう。……
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
というのは……というのは、あの女が馬鹿だからです……あの女はアヴドーチャ・ロマーノヴナのことで、僕を
妬
(
や
)
くに決まってます。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
お神さんは三つも年上で、夜通し寝ないで待っているという
妬
(
や
)
き方で、その人の手と来たら、紫色のあざが絶えないという始末なんです。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
しなすったね。が、まアいいじゃありませんか。そんな
別嬪
(
べっぴん
)
を女房に持ちゃあ一生の得だ。ちっとやそっと世間に
妬
(
や
)
かれたって仕方がねえや
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
妬
(
や
)
くわけではないが、一週間前からここに泊まっているあの水沢という青年紳士に対して、お島さんがいやにちやほやするのが少し気になった。
探偵夜話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
白髯
(
しらひげ
)
の
土手
(
どて
)
へ
上
(
あが
)
るが
疾
(
はや
)
いか、さあ
助
(
たす
)
からぬぞ。
二人乘
(
ににんのり
)
、
小官員
(
こくわんゐん
)
と
見
(
み
)
えた
御夫婦
(
ごふうふ
)
が
合乘
(
あひのり
)
也
(
なり
)
。ソレを
猜
(
そね
)
みは
仕
(
つかまつ
)
らじ。
妬
(
や
)
きはいたさじ、
何
(
なん
)
とも
申
(
まを
)
さじ。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「おたけさんのクレオパトラの眼がトロンコになったよ。もう帰りたまえ。星野のいない留守に伴れてきたりすると、帰ってから
妬
(
や
)
かれるから」
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
榮へる家を
妬
(
や
)
くやうに話し、衰へる家を小氣味よささうに語るやうな種類の女で、年中人の家のあらばかり搜してゐる。
四十余日
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
「そうよ。あの犬、近ごろ少し気が変になって、まるであたしのところに入りびたりなのよ。そうしてむこうはむこうであなたに
妬
(
や
)
いてるのよ。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
(ニーナにキスする)でも、あんまり
褒
(
ほ
)
め立てちゃいけないわ、鬼が
妬
(
や
)
きますからね。トリゴーリンさんはどこ?
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
わたしは、もう前々から彼女のことで
妬
(
や
)
いていたのだが、じっさい彼女が誰かに恋しているという考えは、やっとこの瞬間、わたしの頭にひらめいたのである。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
えらく蒸し暑い晩だつた……おめえ、今更、
妬
(
や
)
くこたあねえだらう。あんな、マント猅々みてえな女……
緑の星
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
そう言って茶いろの帽子をわたすだけで特に
妬
(
や
)
くような素振りも言葉づかいもしなかったのである。
香爐を盗む
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
その理髪屋はかつて気が狂ったことのある男で、
愛嬌者
(
あいきょうもの
)
のきれいな
上
(
かみ
)
さんである自分の女房のことについてジルノルマン氏を
妬
(
や
)
いていたので、従って彼をきらっていた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
主人公はここは日本だと云い云い女を食堂に案内する。給仕が附きっきりである。女がメロンが旨いのなんのという。そして、「あなたは
妬
(
や
)
いては下さらないのですね」
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
其の
互
(
たがい
)
に笑うのを師匠が見ると
外面
(
うわべ
)
へは
顕
(
あら
)
わさないが、何か訳が有るかと思って心では
妬
(
や
)
きます。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それが奥畑は何となく
癪
(
しゃく
)
に触って、
妬
(
や
)
けてならないので、子供じみた
忿懣
(
ふんまん
)
を
洩
(
も
)
らすのだと思って、軽く聞き流していたのであったが、水害以来急に云い方があくどくなり
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そのまま下へ行って、僕のおこっていることを言い、湯屋で見たことを
妬
(
や
)
いているのだということがもしも下のものらに分ったら、僕一生の男を下げるのだと心配したから
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
なるほど、彼が
風邪
(
かぜ
)
を引くと、ルピック夫人は、彼の顔へ
蝋燭
(
ろうそく
)
の
脂
(
あぶら
)
を塗り、姉のエルネスチイヌや兄貴のフェリックスが、しまいに
妬
(
や
)
けるほど、べたべたな顔にしてしまう。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
小室君はひどい目に合わされても辛抱が出来る
所以
(
ゆえん
)
だ。雪子さんは小室君より二つ年下だ。女学校時代は兄として愛し、昨今は良人として愛しているが、愛するの余りに
妬
(
や
)
く。
秀才養子鑑
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「男は何方も好いの。」と、
普通
(
あたりまえ
)
に言った。私は、それを開いて、腹では一寸
妬
(
や
)
けた。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「敬二郎の野郎は正勝さんに一緒に馬車に乗られたんで、
妬
(
や
)
いているに相違ねえべぞ」
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
誰がシンから、あんたなんかに
妬
(
や
)
いたりするもんか。ヘ、金さえありゃ、どんなことでもできるかと思って、ペッ! ポッ! 私のことにしたって、金で——さんざん金で釣って——
胎内
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
「なあに、次郎ちゃんがこちらで可愛がられていると思うと、妙に
妬
(
や
)
けるんだよ。」
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「嫉妬さ。
妬
(
や
)
けているんだよ、君は。」少年は下唇をちろと
舐
(
な
)
めて口早に応じた。
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
あの晩の酒だって、泣いていたのだって、みんな
儘
(
まま
)
ならぬからこそ
憤
(
いきどお
)
ろしくなったのです。私はそういう例を沢山に知っている。自分の方が愛されていると知っていながら
妬
(
や
)
くのです。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
女を捨てる事を草履を
穿
(
は
)
き換へる位にしか思つてない人でも、その草履を
独身者
(
ひとりもの
)
の哲学者が、つい足に突つ掛けるのを見ると、急にまた惜しくなつて、
嫉
(
や
)
けて
妬
(
や
)
けて溜らなくなるらしい。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
最初から
妬
(
や
)
け気味で聞いていた福松が、だんだん釣り込まれて、お雪ちゃんのために同情を表すると共に、兵馬にとって好意を持ち——はじめから悪意なんぞは持っていなかったのですが
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あたしは
寡婦
(
やもめ
)
ですからね。正直に白状すればとてもやきもちが
妬
(
や
)
けますの。あなたのところへ奥さんの手紙が来た翌日からあなたの御様子が変ったように見えて。御免なさいな、病的でしょうか。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
貴方、浅草の
寿座
(
ことぶきざ
)
に掛って居る芝居見た事ある? 其の人は一座の
女形
(
おやま
)
なんですって、今夜も
既
(
も
)
う今頃はお娯しみの最中よ、そりゃ仲が良くって、妾達
妬
(
や
)
ける位だわ、と野放図も無く喋り立てます。
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
順番を待っていた子供の中から、
妬
(
や
)
っかんだ声が洩れてきた。
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「
妬
(
や
)
いてるんだわ」と、云って居る女給の眼であった。
乗合自動車
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
「おほほ——、
妬
(
や
)
けるんだよ」と、吉里は笑い出した。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
お徳は
妬
(
や
)
けたんだ。それも写真にじゃないか。
片恋
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
妬
(
や
)
けるですよ」と、すかさず誰かが言った。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
カピ長
妬
(
や
)
きをるわい、
妬
(
や
)
きをるわい!……
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「ロボットなら、女房も、
妬
(
や
)
くまい。」
ロボットとベッドの重量
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「まあ可愛い! もう
妬
(
や
)
いてるの?」
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「おい、
妬
(
や
)
くな、大変な
品物
(
しろもの
)
だぞ」
偶人物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
この男も
妬
(
や
)
いているのだ。
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
かしいなあ。あの細君が
妬
(
や
)
くつてことは。つい此程もうちの家内と話して居たんだ。『松村さんの奥さんこそは呑気なものだ』つて。何しろあの調子の人だらう。男が交際上から妾ができる位は当り前だと思つてるんぢやないか。それが実にを
瘢痕
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
「お前が來てから、お靜の調子がすつかり變つたのさ。氣の毒だが、御用聞の平次に、
妬
(
や
)
く女房があつちやお
上
(
かみ
)
の御用が勤まらねえ」
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あい、お手紙。ほら、さっき来たんだけれどね、ね、花嫁が
妬
(
や
)
くと悪いから預っといたのよ、えらいでしょう。……女の人の手紙なんですもの。」
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
商売にする
人
(
ふと
)
が暇さえあれば山さ突っぱしるだから
怪体
(
けたい
)
だあてばさ。いい人でもいるだんべさ。は、は、は、‥‥。うんすら
妬
(
や
)
いてこすに、一押し手を貸すもんだよ
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
なるほど、これでは兄の武大が世間から
妬
(
や
)
かれたり騒がれたりして、故郷にいたたまれなくなったというのも無理はない。
突嗟
(
とっさ
)
、武松でさえも変に
眩
(
まばゆ
)
いここちがした。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
はつきり云ふと、僕は
妬
(
や
)
けるんだ。君はなんと云つても英雄崇拝だからな。ほら、泣いてるぢやありませんか。その涙は、だれにそそぐ涙なのか、僕はそれが知りたいんだ。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
また、僕がドミトリイを
妬
(
や
)
いてるのだの、三か月のあいだ兄貴の美しい
許嫁
(
いいなずけ
)
を横取りしようとしていただのとは、まさかおまえも考えてやしなかったろうな。ええ、まっぴら御免だぜ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
おまけに金廻りもいいと来ているので、お国の方では
妬
(
や
)
けて妬けてたまらない。
半七捕物帳:21 蝶合戦
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
アルカージナ ほらまた褒め立てて、鬼に
妬
(
や
)
かせようとなさる、相変らずねえ!
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
妬
常用漢字
中学
部首:⼥
8画
“妬”を含む語句
嫉妬
嫉妬深
嫉妬心
嫉妬家
妬情
妬心
妬婦
大嫉妬
嫉妬焼
嫉妬男
嫉妬喧嘩
妬忌
嫉妬陣
嫉妬野郎
嫉妬腹
嫉妬紛
嫉妬的
岡妬
物妬
猜疑嫉妬
...