もとゐ)” の例文
以後多少の波瀾はあつたが、平安のもとゐこゝに定まり、史上に殆んど蝦夷の名を止めないところを見ても、その武功を想見することが出来る。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
持ち長兵衞方へゆき五百兩かりて歸りけるがお常は此金このきんいりしより又々はなすがをしくなりし事まことに白子屋滅亡めつばうもとゐとこそは知られけれさて何をがな又七が落度おちど
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
このあかしもとゐなる眞理をわきまふる人の心、他の者にむかふ時にまさりて愛しつゝ進まざるをえじ 三四—三六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
必然さう云ふ風になるべき一般の國民性にもとゐしたものに相違ない………つい此樣こんな事を考へて自分は危く五番町の停留場を通過ぎやうとして急いで電車を下りた。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
有信はかくの如く志を遂げて、能く一家のもとゐを成したが、其「弟」に長左衛門と云ふものがあつた。遊惰にして財をし、しば/\謀書謀判のとがを犯し、兄有信をして賠償せしめた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
(突く眞似をする。しばしの沈默。)斯くしてやう/\馬を得たれば、無事に伊豆まで乘りつけて、おなじ月の十七日には八牧やまき屋形やかたを攻めほろぼし、源氏再興のもとゐをひらく。
佐々木高綱 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
天にいます父よ、願はくはわざはひを轉じてさいはひとなし給へと唱へつゝ、身を終ふるまでの安樂のもとゐを立てもしたらん如く、足は心と共に輕く、こゝの小都會を歩み過ぎて、田圃たんぼあひの街道に出でぬ。
じつにこの地震計ぢしんけい發明はつめいは、それまできはめて幼稚ようちであつた地震學ぢしんがく本當ほんとう學問がくもん進歩しんぽしたもとゐであるので、たんこの一點いつてんからみても、地震學ぢしんがく日本につぽんおいひらけたといつても差支さしつかへないくらゐである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
凡そ學を爲すのえうは、これよりしてもとゐおこす。故に曰ふ、誠は物の終始しゆうしと。
五九字を学びゐんを探る人のまどひをとるはしとなりて、弓矢とるますらも富貴は国のもとゐなるをわすれ、六〇あやしき計策たばかりをのみ調練たねらひて、ものをやぶり人をそこなひ、おのが徳をうしなひて子孫を絶つは
分別ふんべつをしてこのやまひたねば、一ぢゃういまはしい不祥ふしゃうもとゐ
農は百業のもとゐである。吾等は地を離れて生活できない。
法然此開基 法然ここにもとゐを開くと。
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
萬物其もとゐよりしてあらたまりぬ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
もとゐをたてし
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
「大日本は神国なり。天祖始めてもとゐを開き、日神ひのかみ長く統を伝へ給ふ。我が国のみこの事あり。異朝にはその類なし。この故に神国といふなり」
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
亡者なきものにせずんば此事行ひ難しと茲に惡心あくしんきざせしこそ嘉川家滅亡めつばうすべきもとゐと後に知られけるされば近頃藤五郎兄弟の事は何に依ず惡樣あしさまのゝしをりふれては三度の食を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかして下界もしその心を自然のうるもとゐにとめてこれに從はゞその民さかえむ 一四二—一四四
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
けれども難事は難事であるが故に、心あるものには却て一層の精力を奮起させるもとゐになるであらう。奇を猟り稀を求めんとする欲望は生命の力のあるかぎり人の心より消え尽すものではない。
冬日の窓 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
この氏族制度が今日の家族制度のもとゐをなすのであつて、皇室より皇族の御分出があり、更に皇室を総御本家として諸氏族が分れてきたところに
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
くふが如く五體の膏血かうけつしぼたくはへたる金が今思へば我が身の讐敵あだがたきとは云ものゝ親のつとめ村長役むらをさやくを勤なば親々が未來みらいの悦びと思込しが却て怨みを受るもとゐとなり無實の大なん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)