トップ
>
垢抜
>
あかぬ
ふりがな文庫
“
垢抜
(
あかぬ
)” の例文
旧字:
垢拔
一組は、六十くらいの白髪の
老爺
(
ろうや
)
と、どこか
垢抜
(
あかぬ
)
けした五十くらいの老婆である。品のいい老夫婦である。この
在
(
ざい
)
の小金持であろう。
美少女
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
着こなしが肌につきすぎて、粋というのもおかしいが、
垢抜
(
あかぬ
)
けがしている。もうひとりは、こってりと、日本髪で、あどけない。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その頃にしては少し
薹
(
とう
)
の立ちかけた
二十歳
(
はたち
)
、さして美しくはありませんが、育ちのせいか
垢抜
(
あかぬ
)
けがして、娘らしい魅力に申分はありません。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もう二幕ぐらいで閉場になるという頃に、背の高い、四十以上の
垢抜
(
あかぬ
)
けのした人が我々のところへ廻って来て、二十五銭ずつを集めていた。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼女は日本で言うとそれ者上りのように
垢抜
(
あかぬ
)
けのした、白ちゃけた感じのする面長の美人で白髪交りの褐色の頭髪を後で手際よくまるめて居る。
ガルスワーシーの家
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
桃水和尚は凡夫に如同する事に於て可成り
垢抜
(
あかぬ
)
けしたところまで行つたがそれでも臨終に鷹峯風清月白とか何とかいふ遺偈を遺し片鱗を露してる。
非凡人と凡人の遺書
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
金之助は色気のない
噯
(
おくび
)
をし、
垢抜
(
あかぬ
)
けのした目のふちに色を染め、
呼吸
(
いき
)
をフッと向うへ吹いて、両手で額を支えたが
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その娘は二、三年前から函館に出て松川の家に奉公していたのだ。父に似て
細面
(
ほそおもて
)
の彼女は函館の生活に磨きをかけられて、この辺では際立って
垢抜
(
あかぬ
)
けがしていた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
奥坐舗の長手の
火鉢
(
ひばち
)
の
傍
(
かたわら
)
に年配四十
恰好
(
がっこう
)
の
年増
(
としま
)
、些し
痩肉
(
やせぎす
)
で色が浅黒いが、
小股
(
こまた
)
の
切上
(
きりあが
)
ッた、
垢抜
(
あかぬ
)
けのした、何処ともでんぼう
肌
(
はだ
)
の、
萎
(
すが
)
れてもまだ見所のある花。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
何にしても大して
顔馴染
(
かおなじみ
)
ではないのであるが、その頃から見るとすっかり
垢抜
(
あかぬ
)
けがしているので、先方から名のってくれなかったら、ちょっと分りそうもなかった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
普通選挙だの労働問題だの、いわゆる時事に関する論議は、田舎
訛
(
なまり
)
がないとどうも釣合がわるい。
垢抜
(
あかぬ
)
けのした東京の言葉じゃ内閣
弾劾
(
だんがい
)
の演説も出来まいじゃないか。
十日の菊
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
いつも
垢抜
(
あかぬ
)
けのした服装をしているうえに、年もまだかなり若いほうで、少し顔色は青いけれど、非常に愛嬌のある
女
(
ひと
)
で、ほとんどまっ黒な眼がひどく生き生きしている。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
編輯から印刷から体裁から全部に渡って紅葉好みの
贅沢
(
ぜいたく
)
な元禄趣味が現われ、内容も一と
粒選
(
つぶえり
)
で少しも
算盤気
(
そろばんけ
)
がなく、頗る
垢抜
(
あかぬ
)
けがして気持が
宜
(
よ
)
かったが、余り算盤気がなさ過ぎて
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
この町人の一行はかなり
贅沢
(
ぜいたく
)
な身なりをして、
垢抜
(
あかぬ
)
けのしたところ、どうもこの辺の
小商人
(
こあきんど
)
とは見えない。そうかといって、しかるべき
大店
(
おおだな
)
の旦那とか、素封家とかいうものとも見えない。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あるいは平々淡々のうちに人を引き着ける
垢抜
(
あかぬ
)
けのした著述を
推
(
お
)
すもいい。
作物の批評
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何かゴタゴタして
垢抜
(
あかぬ
)
けのしないものを
指
(
さ
)
してもっさりしているという。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
浅草
中田圃
(
なかたんぼ
)
の、妹とふたり侘び住んでゐる浪人宝生栄之丞宅の格子戸の前へ、烈しい日の光りを浴びながら案内を乞ふてゐる、四十がらみの、スーツと背の高い、
垢抜
(
あかぬ
)
けのした男は、吉原名題の幇間
吉原百人斬り
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
とお蔦は昨今は
相応
(
そうおう
)
垢抜
(
あかぬ
)
けたから、ナカナカもって任じている。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
運転の
手際
(
てぎわ
)
まで何となく
垢抜
(
あかぬ
)
けがして見えるのだ。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ずいぶん
垢抜
(
あかぬ
)
けのした遊戯で、それは鉄道のサーヴィスの中でも、最も気のきいたサーヴィスの一つだと思っていたのですが
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
かの子 ただ何となく
垢抜
(
あかぬ
)
けした感じがします。あれは
散々
(
さんざん
)
今の新しさが使用し
尽
(
つく
)
された後のレベルから今
一
(
いち
)
だん洗練を
経
(
へ
)
た後に
生
(
うま
)
れた女です。
新時代女性問答
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
おれも昔の関屋じゃねえ、お十夜孫兵衛とかっていう、妙な通り名をつけられて、少し
垢抜
(
あかぬ
)
けをしかけている人間だ。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
万次郎は先に立って、狭いが
確
(
しっか
)
りした
梯子
(
はしご
)
を二階へ案内しました。こんな商売によくある、
垢抜
(
あかぬ
)
けのした五十がらみ、
月代
(
さかやき
)
も、手足もいやにツルツルした中老人です。
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その時分にはいくら
淫奔
(
いんぽん
)
だといってもまだ肩や腰のあたりのどこやらに
生娘
(
きむすめ
)
らしい様子が残っていたのが、今では
頬
(
ほお
)
から
頤
(
おとがい
)
へかけて
面長
(
おもなが
)
の横顔がすっかり
垢抜
(
あかぬ
)
けして
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「骨のあるがんもどきかい、ほほほほほほ、」と笑った、
垢抜
(
あかぬ
)
けのした顔に
鉄漿
(
かね
)
を含んで美しい。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
郊外
(
こうがい
)
に移し
令嬢
(
れいじょう
)
たちもまたスポーツに親しんで野外の空気や日光に
触
(
ふ
)
れるから以前のような深窓の
佳人
(
かじん
)
式箱入娘はいなくなってしまったが現在でも市中に住んでいる子供たちは一般に体格が
繊弱
(
せんじゃく
)
で顔の色なども
概
(
がい
)
して青白い
田舎
(
いなか
)
育ちの少年少女とは
皮膚
(
ひふ
)
の
冴
(
さ
)
え方が違う良く云えば
垢抜
(
あかぬ
)
けがしているが悪く云えば病的である。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
社交に
長
(
た
)
け、日常生活にも
垢抜
(
あかぬ
)
けしていて——いわゆる文化人肌をもって誇っていた堺町人も、にわかに、この大変に遭遇して、日頃の顔いろもなく
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
十五年間、私は故郷から離れていたが、故郷も変らないし、また、私も一向に都会人らしく
垢抜
(
あかぬ
)
けていないし、いや、いよいよ田舎臭く
野暮
(
やぼ
)
ったくなるばかりである。
十五年間
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
花色の
暖簾
(
のれん
)
の奥から、ノソリと出て来たのは、二十五六の青白い男、眼鼻立もよくて、芸人らしい感じのする
垢抜
(
あかぬ
)
けのした顔ですが、身体を見ると太った腹に、節高な二本の手と
銭形平次捕物控:013 美女を洗い出す
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
目色
(
めつき
)
に
凛
(
りん
)
と位はあるが、眉のかかり
婀娜
(
あだ
)
めいて、くっきり
垢抜
(
あかぬ
)
けのした
顔備
(
かおぞなえ
)
。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
家は
馬道
(
うまみち
)
辺で二階を人に貸して家賃の足しにしていた。おかみさんはまだ婆さんというほどではなく、案外
垢抜
(
あかぬ
)
けのした小柄の女で、上野
広小路
(
ひろこうじ
)
にあった映画館の案内人をしているとの事であった。
草紅葉
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それと何といっても
屡〻
(
しばしば
)
、京都へ出て、中央の事情や知識と接しているので、この田舎にその風貌を見れば、どこか
垢抜
(
あかぬ
)
けもしているし、武骨な顔にも知性の働きがある。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
垢抜
(
あかぬ
)
けてるぜ」
野槌の百
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
垢
漢検準1級
部首:⼟
9画
抜
常用漢字
中学
部首:⼿
7画
“垢”で始まる語句
垢
垢染
垢離
垢離場
垢拔
垢脱
垢光
垢穢
垢膩
垢附