地勢ちせい)” の例文
慶州けいしゆうには周圍しゆういひくやまがあつて、一方いつぽうだけすこひらけてゐる地勢ちせいは、ちょうど内地ないち奈良ならて、まことに景色けしきのよいところであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
柴田権六しばたごんろく召使めしつかわれていたころは、つねに、めようとする敵地てきちへ先へはいって、そこの地勢ちせい水理すいりをきわめておくのが自分の仕事であった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蒲原かんばら郡の新潟にひがたは北海第一のみなとなれば福地たることろんまたず。此余このよ豊境はうきやうしばらくりやくす。此地皆十月より雪る、そのふかきあさきとは地勢ちせいによる。なほすゑろんぜり。
大櫛今又大串と改稱かいせうして東茨城郡に屬せり。地勢ちせいに由つて考ふるも「其所食具、積聚成岡」と云ふ文に由つて考ふるも、此地に貝塚有りしは事疑ふべき理由りゆう無し。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
臺地だいちはたけ黄白くわうはくあひまじつて地勢ちせいまゝになだらかに起伏きふくして鬼怒川きぬがは土手どてちか向方むかうひくくこけてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
やますそひらいて、一二ちやうおくのぼやうてたてらだとえて、うしろはういろたかふさがつてゐた。みち左右さいう山續やまつゞき丘續をかつゞき地勢ちせいせいせられて、けつしてたひらではないやうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わたくし幾度いくたびくちひらきかけたが、此時このとき大佐たいさ顏色がんしよくは、わたくし突然にはか此事このことねたほど海圖かいづむかつて熱心ねつしんに、やが櫻木大佐さくらぎたいさと、その海底戰鬪艇かいていせんとうていのにあひふべきはづの、橄欖島かんらんたう附近ふきん地勢ちせい
これは地勢ちせいのしからしむるところで、かつ鉄道が通じているので、すなわち「東京」がこの線路によって武蔵野を貫いて直接に他の範囲と連接しているからである。僕はどうもそう感じる。
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
蒲原かんばら郡の新潟にひがたは北海第一のみなとなれば福地たることろんまたず。此余このよ豊境はうきやうしばらくりやくす。此地皆十月より雪る、そのふかきあさきとは地勢ちせいによる。なほすゑろんぜり。
山の地勢ちせいと日のてらすとによりてなだるゝところとなだれざる処あり、なだるゝはかならず二月にあり。里人さとひとはその時をしり、処をしり、きざしるゆゑに、なだれのために撃死うたれしするものまれ也。
唐土もろこしと日本とをおつからめて火井のさい第一といふべし、是を見たる事越遊の一奇観きくわんなり。唐土に火井のる所北の蜀地しよくちしよくす、日の本の火井も北の越後に在り、自然しぜん地勢ちせいによるやらん。
唐土もろこしと日本とをおつからめて火井のさい第一といふべし、是を見たる事越遊の一奇観きくわんなり。唐土に火井のる所北の蜀地しよくちしよくす、日の本の火井も北の越後に在り、自然しぜん地勢ちせいによるやらん。