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嘲罵
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ちょうば
ふりがな文庫
“
嘲罵
(
ちょうば
)” の例文
従って私の腕も相当進歩はしましたが、私の動作は依然として緩慢でしたから、教諭の
嘲罵
(
ちょうば
)
はます/\その度を増して行きました。
痴人の復讐
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
大人か
小児
(
こども
)
に物を言うような
口吻
(
こうふん
)
である。美しい目は軽侮、
憐憫
(
れんみん
)
、
嘲罵
(
ちょうば
)
、
翻弄
(
ほんろう
)
と云うような、あらゆる感情を
湛
(
たた
)
えて、異様に
赫
(
かがや
)
いている。
余興
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そしてやはり黙ったまま
陰鬱
(
いんうつ
)
に規則的にそこを歩き回って、
笞刑
(
たいけい
)
を受ける兵士のように五分間ごとに男の
嘲罵
(
ちょうば
)
の的となっていた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
こんな話は、幾つもあるので、異とするには足りないが、スガ目の忠盛にふくむ宿意は、唱歌の
嘲罵
(
ちょうば
)
ぐらいでは、すまなかった。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ありとあらゆる天才的に直感され仕組まれた
嘲罵
(
ちょうば
)
が、私を窒息させるのだつた。私は無念の涙をのんで歯をくひ縛つてゐた。
母たち
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
▼ もっと見る
私はその中に
閉籠
(
とじこも
)
り、世の中との交渉を絶つ事によって、ようやく
嘲罵
(
ちょうば
)
の声を耳にしず、石をぶつけられ、
横面
(
よこつら
)
を張飛ばされる事を免かれました。
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
また一枚一枚あけ行くに蛇口仏心と題して余に関せる一文あり。読む。前号に余が受けたる
嘲罵
(
ちょうば
)
は全く取り消されたり。
明治卅三年十月十五日記事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「こんな若い時のいたずらごと誰でもある事だ。いまさら年にもはじないでなんだばかばかしい。」と急にわれと自分をしいて
嘲罵
(
ちょうば
)
してみたけれども
落穂
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
一線、やぶれて、決河の勢、私は、生れ落ちるとからの極悪人よ、と指摘された。弱い貧しい人の子の
怨嗟
(
えんさ
)
、
嘲罵
(
ちょうば
)
の
焔
(
ほのお
)
は、かつての罪の兄貴の
耳朶
(
みみたぶ
)
を焼いた。
懶惰の歌留多
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「
麺麭
(
パン
)
の上に沢山のバタも下さいましって、お祈りした小さい娘の話。」「
嘲罵
(
ちょうば
)
の口笛で舞台を逐われた不幸な俳優の話。」「何処に美の
薔薇
(
ばら
)
が咲くかという話。」
聖アンデルセン
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
しかし彼は
喧騒
(
けんそう
)
に巻き込まれて、精神では彼女を認め得なかった。(彼女のことはもう久しい前から彼の念頭になかった。)彼は
嘲罵
(
ちょうば
)
のさなかに姿を隠してしまった。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
笑いの一番に下品なものは
放恣
(
ほうし
)
、いわゆるしもがかりの秘密や欲情の満足に伴なうものであり、その最も有害なものは
嘲罵
(
ちょうば
)
であろうが、この二つのものは支那の方でも
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そして一度そこにはにぶい爆音のような
嘲罵
(
ちょうば
)
があった、そしてそれはわからない言葉であった。
金の十字架の呪い
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
俗衆の
嘲罵
(
ちょうば
)
や父母の悲嘆をよそに彼は此の生き方を、少年時代から死の瞬間に至るまで続けた。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そうしてそれを望んだ。それだけが世間の
嘲罵
(
ちょうば
)
の彼の償いだと思っていた。恋愛に陥りさえしなかったら、ある程度彼の力で彼女を生かすこともできたはずだとも思えた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
もはや事ここにいたりては恐るる所なしと度胸を据えし千々岩は、再び態度を
嘲罵
(
ちょうば
)
にかえつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
頑愚
(
がんぐ
)
などと云う
嘲罵
(
ちょうば
)
は、
掌
(
てのひら
)
へ
載
(
の
)
せて、夏の日の
南軒
(
なんけん
)
に、
虫眼鏡
(
むしめがね
)
で検査しても了解が出来ん。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
どこまでも、おれは文学をやる、ほかのことはどうでもいい、日光と酒の
香
(
か
)
に酔いながら、律義者の渋面と
嘲罵
(
ちょうば
)
をよそに、ぶどう酒桶の中で跳ね踊るぶどう作りのように……。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
彼より
享
(
う
)
くる所の静と、美と、高の感化は、世の毒舌、妄断(もうだん)、
嘲罵
(
ちょうば
)
、軽蔑をしてわれらを犯さしめず、われらの楽しき信仰を擾(みだ)るなからしむるを知ればなり。
小春
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「
淡
(
あわ
)
き物あに塩なくして食われんや、卵の
蛋白
(
しろみ
)
あに味あらんや」というは、いわゆる乾燥無味砂を噛むが如しという類の語であって、エリパズの言に対する思いきった
嘲罵
(
ちょうば
)
である。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
嘲罵
(
ちょうば
)
に、
唆
(
そそ
)
り立てられたのでもあるまいが、その刹那、平馬の振りかざしている烈剣が、闇の中で、キラリと一閃したと思うと、二闘士のからだがからみ合って、大刀と、短剣とが
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
……そしてしきりに郡の家の門へ、落首や
嘲罵
(
ちょうば
)
の文句を書いた紙が
貼
(
は
)
られた。
山だち問答
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかし、上野介に浴せかける
嘲罵
(
ちょうば
)
の声はもう村境までひたひたと迫っている。おくれて江戸から帰ってくる連中も、三州吉良の住民だというと、もう誰からも本気で相手にはされなかった。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
醜穢
(
しゅうえ
)
なる俗界の通弁となりてその
嘲罵
(
ちょうば
)
するところとなり、その冷遇するところとなり、終生涙を飲んで寝ての夢覚めての夢に郎を思い郎を恨んで、遂にその愁殺するところとなるぞうたてけれ。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
嘲罵
(
ちょうば
)
は嘲罵を誘う。メフィストもまたメフィストを誘い出すだろう。
転向
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
良人
(
おっと
)
に捨てられたのだと、世間から
嘲罵
(
ちょうば
)
されるわけのものではない。
源氏物語:36 柏木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
その
間
(
あいだ
)
に
嫉妬
(
しっと
)
、
嘲罵
(
ちょうば
)
の
絶
(
た
)
える
暇
(
ひま
)
もなかったのでありました。
明るき世界へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
四面
嘲罵
(
ちょうば
)
のまっただ中で、イエスは死んで往かれるのです。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
傍聴席にはまたしても
嘲罵
(
ちょうば
)
の口笛が起った。
墓
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
慚愧
(
ざんき
)
の眼からは、とめどなく、ぼろぼろと涙がつたわってくる。——周囲の
嘲罵
(
ちょうば
)
も、侮蔑の眼も、頭が
痺
(
しび
)
れて、聞えなかった。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わたくしは強いて静廬を回護するに意があるのではないが、これを読んで、トルストイの芸術論に詩的という語の
悪
(
あく
)
解釈を挙げて、口を極めて
嘲罵
(
ちょうば
)
しているのを想い起した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
狭い庭のことだから、間もなく彼らは遊びにあきて、塀の外で何かの工事をやつてゐる台湾人の電工たちを相手に、片言の台湾語をあやつりながら、たわいない
嘲罵
(
ちょうば
)
の交換をはじめた。
少年
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
この主張のために道也はまた
飄然
(
ひょうぜん
)
として任地を去った。去る時に土地のものは彼を
目
(
もく
)
して
頑愚
(
がんぐ
)
だと評し合うたそうである。頑愚と云われたる道也はこの
嘲罵
(
ちょうば
)
を背に受けながら飄然として去った。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この女はあれほど私の詩の仲間を
糞味噌
(
くそみそ
)
に悪く言い、
殊
(
こと
)
にも仲間で一番若い浅草のペラゴロの詩人、といってもまだ詩集の一つも出していないほんの少年でしたが、そいつに対する彼女の蔭の
嘲罵
(
ちょうば
)
は
男女同権
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
世の是々非々、あらゆる
嘲罵
(
ちょうば
)
にも、まるで耳のないような人——山中鹿之介は、その妻子や一族郎党と共に、
周防
(
すおう
)
の任地へ導かれて行った。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仮吟味の時も、その後一、二回の本白洲の折も、奉行の席に向かって、毒舌、
嘲罵
(
ちょうば
)
、
揶揄
(
やゆ
)
、あらゆる狂態と唾を以て、食ッて
懸
(
かか
)
ったものだった。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
偉大な彼の根気は、あらゆる
嘲罵
(
ちょうば
)
や、無智の者の無自覚に対しても、
叡山
(
えいざん
)
や南都の知識大衆と闘ったような、不屈さを示して、意力を曲げなかった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
路傍に立っては、
山師
(
やまし
)
と
罵
(
ののし
)
られ、門に立っては、水をかけられ、
嘲罵
(
ちょうば
)
、迫害、飢寒、あらゆる
行
(
ぎょう
)
を共にした。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
憤
(
む
)
っとしたに違いない、武蔵は足を止め、そして自分に
嘲罵
(
ちょうば
)
をあびせた堂衆をねめつけた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蔑
(
さげす
)
みの眼と——
嘲罵
(
ちょうば
)
の
唾
(
つば
)
とが、武蔵の身にあつまった。武蔵は、耐えられない恥辱を感じた。しかし、いかにも自分に
挑
(
いど
)
むような彼らの態度に、固く自分を、警戒して黙っていた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分が
叡山
(
えいざん
)
の大衆に威嚇され
嘲罵
(
ちょうば
)
されても、その学説は曲げ得られないように、もし僧正が、堂上たちの陰険な小策に
怯
(
お
)
じて、歌人としての態度を屈したら、詩に対する
冒涜
(
ぼうとく
)
であり
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、彼はもう、生れてから十八年、あらゆる人中の
嘲罵
(
ちょうば
)
に馴れている。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分をつつむ世の
嘲罵
(
ちょうば
)
悪声を、彼は、知らないではなかった。身をめぐってキチキチ飛ぶ
螽
(
ばった
)
のように聞いていた。——けれど、
涼風
(
すずかぜ
)
を
懐中
(
ふところ
)
に
容
(
い
)
れながら聞いていれば、それも気にはさわらない。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“嘲罵”の意味
《名詞》
嘲り、罵ること。
(出典:Wiktionary)
嘲
常用漢字
中学
部首:⼝
15画
罵
常用漢字
中学
部首:⽹
15画
“嘲”で始まる語句
嘲
嘲笑
嘲弄
嘲侮
嘲蔑
嘲殺
嘲笑的
嘲哢
嘲嗤
嘲声