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かしやく
ふりがな文庫
“
呵責
(
かしやく
)” の例文
彼はそれを見る度見る度に針を呑むやうな
呵責
(
かしやく
)
の哀しみを繰返す許りであつた。身を切られるやうな思ひから、時には見ないで
反古
(
ほご
)
にした。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
従類
(
じうるゐ
)
眷属
(
けんぞく
)
寄
(
よ
)
りたかつて、
上
(
あ
)
げつ
下
(
お
)
ろしつ
為
(
し
)
て
責
(
せ
)
め
苛
(
さいな
)
む、
笞
(
しもと
)
の
呵責
(
かしやく
)
は
魔界
(
まかい
)
の
清涼剤
(
きつけ
)
ぢや、
静
(
しづか
)
に
差置
(
さしお
)
けば
人間
(
にんげん
)
は
気病
(
きやみ
)
で
死
(
し
)
ぬとな……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「その方はここをどこだと思ふ?
速
(
すみやか
)
に返答をすれば好し、さもなければ時を移さず、地獄の
呵責
(
かしやく
)
に
遇
(
あ
)
はせてくれるぞ。」と、
威丈高
(
ゐたけだか
)
に
罵
(
ののし
)
りました。
杜子春
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
佐分利は二年生たりしより既に高利の大火坑に
堕
(
お
)
ちて、今はしも連帯一判、
取交
(
とりま
)
ぜ
五口
(
いつくち
)
の債務六百四十何円の
呵責
(
かしやく
)
に
膏
(
あぶら
)
を
取
(
とら
)
るる身の上にぞありける。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
其証拠を又
眼
(
ま
)
のあたりに見た時、
彼
(
かれ
)
は
愛憐
(
あいれん
)
の情と気の毒の念に堪えなかつた。さうして自己を悪漢の如くに
呵責
(
かしやく
)
した。思ふ事は全く云ひそびれて仕舞つた。帰るとき
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
此不断の
呵責
(
かしやく
)
を免れることの出来るのは、唯、一策がある許りぢや。尤も非常に出た策だと云ふ嫌はあるが役には立つに相違ない。難病は劇薬を要すると云ふものぢや。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
地獄といふに
負
(
そむ
)
かざらん限の、安さ樂しさを與へたれど、そのこゝにあるは、
呵責
(
かしやく
)
ならぬ苦、希望なき恨にして、長く浮ぶ瀬なき罪人の陷いるなる、毒泡迸り、
瘴烟
(
しやうえん
)
立てる
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
放埒
(
はうらつ
)
であつた前日の非を
贖
(
あがな
)
へとばかり極端に自己を
呵責
(
かしやく
)
して、身に出来るだけの禁欲を続けて来たことは誤りであつた。肉体に加へた罰から精神までも哀れに萎縮してしまつた。
註釈与謝野寛全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
猶其上に道理無き
呵責
(
かしやく
)
を受くる
憫然
(
あはれさ
)
を君は何とか見そなはす、
棄恩
(
きおん
)
入無為
(
にふむゐ
)
の
偈
(
げ
)
を唱へて親無し子無しの
桑門
(
さうもん
)
に入りたる上は是非無けれども、知つては
魂魄
(
たましひ
)
を煎らるゝ思ひに夜毎の夢も安からず
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
以て
證據
(
しようこ
)
となし人殺しは九助と
牢問
(
らうどひ
)
に及びしならん依て九助は
呵責
(
かしやく
)
の
苦痛
(
くつう
)
に
堪
(
たへ
)
兼て其罪に
陷入
(
おとしいれ
)
しを其方は一途に人殺しは九助なりと心得しに
相違
(
さうゐ
)
有まじと申さるゝを理左衞門は
己
(
おのれ
)
が落度にならんを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
煉獄の苦熱の
呵責
(
かしやく
)
そのままに
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
偉
(
おほい
)
なる
呵責
(
かしやく
)
の力、——
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
本気
(
ほんき
)
の
沙汰
(
さた
)
ではない、
世
(
よ
)
にあるまじき
呵責
(
かしやく
)
の
苦痛
(
くつう
)
を
受
(
う
)
けて
居
(
ゐ
)
る、
女房
(
にようばう
)
の
音信
(
おとづれ
)
を
聞
(
き
)
いて、
赫
(
くわつ
)
と
成
(
な
)
つて
気
(
き
)
が
違
(
ちが
)
つたんです。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そして心の
呵責
(
かしやく
)
は渦を卷いてゐるのだから、そこの虚を
衝
(
つ
)
かれた日には良心的に實際
適
(
かな
)
はない感じのものだつた。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
彼は世を恨むる
余
(
あまり
)
その執念の
駆
(
か
)
るままに、人の生ける肉を
啖
(
くら
)
ひ、以つて
聊
(
いささ
)
か逆境に
暴
(
さら
)
されたりし
枯膓
(
こちよう
)
を
癒
(
いや
)
さんが為に、三悪道に捨身の大願を
発起
(
ほつき
)
せる心中には、百の
呵責
(
かしやく
)
も
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「私は
鉄
(
くろがね
)
の
鎖
(
くさり
)
に
縛
(
いましめ
)
られたものを見た事がございまする。怪鳥に悩まされるものゝ姿も、
具
(
つぶさ
)
に写しとりました。されば罪人の
呵責
(
かしやく
)
に苦しむ様も知らぬと申されませぬ。又獄卒は——」
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何處からともなく吹きまくつて來る一陣の
呵責
(
かしやく
)
の暴風に胴震ひを覺えるのも瞬間、自らの
折檻
(
せつかん
)
につゞくものは
穢惡
(
あいあく
)
な凡情に
走
(
は
)
せ使はれて安時ない無明の長夜だ。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
その外或は
鉄
(
くろがね
)
の
笞
(
しもと
)
に打たれるもの、或は
千曳
(
ちびき
)
の
磐石
(
ばんじやく
)
に押されるもの、或は
怪鳥
(
けてう
)
の
嘴
(
くちばし
)
にかけられるもの、或は又毒龍の
顎
(
あぎと
)
に噛まれるもの——、
呵責
(
かしやく
)
も亦罪人の数に応じて、幾通りあるかわかりません。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
佐伯も処分する
考
(
かん
)
げえであつたが、良心の
呵責
(
かしやく
)
を感ずて、今こゝで泣いだがら、と、と、特別に
赦
(
ゆる
)
す!
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
“呵責”の意味
《名詞》
呵責(かしゃく)
厳しく責めること。責め苛むこと。
(出典:Wiktionary)
呵
漢検1級
部首:⼝
8画
責
常用漢字
小5
部首:⾙
11画
“呵”で始まる語句
呵々
呵
呵成
呵々大笑
呵嘖
呵然
呵殿
呵呀
呵氣
呵梨勒果