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呆氣
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あつけ
ふりがな文庫
“
呆氣
(
あつけ
)” の例文
新字:
呆気
飛び越して逃げてしまひました。——
呆氣
(
あつけ
)
に取られて格子の外から覗くと、兄貴は首筋を短刀で刺されて、もう息が絶えた樣子——
銭形平次捕物控:072 買つた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
而かも私の訪問がだしぬけであつたので、
呆氣
(
あつけ
)
にとられながら小躍りして喜んだ。然し、いつもながら聲はろくに出なかつた。
梅雨紀行
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
(伴作は先に立ち、捕方は無理に勘太郎を引立てて下のかたに去る。一同は
呆氣
(
あつけ
)
に取られたやうにあとを見送る。)
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
繰り返し/\彼は私に
接吻
(
キツス
)
した。彼の腕から離れるとき、私が目をあげると、未亡人は
眞青
(
まつさを
)
になつて、眞面目な顏をして、
呆氣
(
あつけ
)
にとられて突立つてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
助手や學生は
呆氣
(
あつけ
)
に取られて、互に顏を見合はせながら、多分腦貧血でも起したのであらうと謂合ツてゐた。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
▼ もっと見る
私は
呆氣
(
あつけ
)
に取られて、其の後姿を見送つた。先生も同じく其の方を見送つて居たが、暫くして突然
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
良秀は机の向うで半ば體を起した儘、流石に
呆氣
(
あつけ
)
にとられたやうな顏をして、何やら人にはわからない事を、ぶつ/\呟いて居りました。——それも無理ではございません。
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私が
呆氣
(
あつけ
)
に取られてゐる中に、M氏はさつさと一圓五十錢で其のバスケットを買上げて了ふ。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
「さうです、さうです……」みんなは
咽喉
(
のど
)
に詰つたやうな聲で、雷同した。先生は、若々しい血の思慮もなく劇しい語調で喋舌る私を、
呆氣
(
あつけ
)
に取られたやうな
面持
(
おももち
)
で見てゐた。
猫又先生
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
やがて板に掛けられた所を見ると、喜び、泣き、
嬌態
(
しな
)
を作るべき筈の
女形
(
をんながた
)
が、男の樣な聲で物を言ひ、男の樣に歩き、男も難しとする樣な事を平氣で
爲
(
し
)
た。觀客は全く
呆氣
(
あつけ
)
に取られて了つた。
所謂今度の事:林中の鳥
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ミハイル、アウエリヤヌヰチとハヾトフとは
呆氣
(
あつけ
)
に
取
(
と
)
られて
瞶
(
みつ
)
めてゐた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
呆氣
(
あつけ
)
にとられて
暫
(
しばら
)
く
凝
(
ぢツ
)
と
默
(
だま
)
つて
居
(
ゐ
)
ました、そこで
鳩
(
はと
)
が
又
(
また
)
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
あたらしく起つたものと入れ代はり、きのふの現像だけが、次へ起るもののために、その日まで存在するだけの
呆氣
(
あつけ
)
なさであつた。それは後に見た物がきつと前の物より美しい傾きがあるからである。
帆の世界
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
呆氣
(
あつけ
)
に取られて見送つて出た妹に返事もしないで馬越は外へ出た。
仮面
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
呆氣
(
あつけ
)
に
取
(
と
)
られた
彼
(
かれ
)
を
一人
(
ひとり
)
室内
(
しつない
)
に
殘
(
のこ
)
して、
悠然
(
いうぜん
)
と
扉
(
とびら
)
を
出
(
で
)
たのである。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
極
(
きはめ
)
し
譯
(
わけ
)
か
聞
(
きか
)
ま
欲
(
ほし
)
と腹の立まゝ
藪
(
やぶ
)
から
棒
(
ぼう
)
にまくり
立
(
たて
)
つゝ
云
(
いひ
)
ければ忠兵衞
呆氣
(
あつけ
)
に
取
(
とら
)
るゝ
耳
(
のみ
)
少も
合點
(
がてん
)
行ざれどもお光の事とは大方に
推
(
すゐ
)
せばいよ/\
分
(
わか
)
り
兼
(
かね
)
猶
(
なほ
)
押返
(
おしかへ
)
して問けるに
主個
(
あるじ
)
は今方店へ來し醫師が
述
(
のべ
)
たるテレメンテーナの藥の事より大藤の
女兒
(
むすめ
)
は
斯
(
かう
)
と話したるが和郎は大事な主人の
嫁
(
よめ
)
が
途中
(
とちう
)
なんどで
轉倒
(
ひつくりかへ
)
り
天窓
(
あたま
)
へ
汚
(
むさ
)
き
草履
(
ざうり
)
草鞋
(
わらぢ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
平次も
呆氣
(
あつけ
)
にとられました。折角お樂の口から兇賊の
住所
(
ありか
)
を聞出さうとして居る矢先に、こんなのに飛込まれては、全くやり切れません。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
呆氣
(
あつけ
)
にとられた船頭は漸く飛びかゝつて彼を背後から抑へた。隣室からは臺長夫妻が飛んで來た。
樹木とその葉:03 島三題
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
「パンを
一片
(
ひときれ
)
下さいませんか。私、大變お
腹
(
なか
)
が空いてゐるのです。」彼は
呆氣
(
あつけ
)
にとられて、私を見たが、返答もせずにパンの
塊
(
かたまり
)
を
分厚
(
ぶあつ
)
に切つて、私に呉れたのであつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
分隊
(
ぶんたい
)
の
兵士達
(
へいしたち
)
はすべての
事
(
こと
)
の
意外
(
いぐわい
)
さに
呆氣
(
あつけ
)
に
取
(
と
)
られて、
氣
(
き
)
の
拔
(
ぬ
)
けたやうに
立
(
た
)
つてゐた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
人々は
呆氣
(
あつけ
)
に取られたやうに眺めてゐると、與助は猿の死骸をかゝへて泣き出す。
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
由三の姿を見ると、
呆氣
(
あつけ
)
に取られた體で、「まあ、由さん、何うなすツたの。」
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
呆氣
(
あつけ
)
に
取
(
と
)
られて
瞻
(
みまも
)
るのを、
優
(
やさ
)
しい
洋傘
(
かうもり
)
の
影
(
かげ
)
から、
打傾
(
うちかたむ
)
いて
流眄
(
ながしめ
)
で
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
主人の六兵衞は
呆氣
(
あつけ
)
に取られました。一人娘のお美代を殺したのは、一番忠實らしい顏をして居た
優男
(
やさをとこ
)
の谷五郎とは思ひも寄らなかつたのです。
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
呆氣
(
あつけ
)
に取られたのは私ばかりではない。みんなきよとんとした眼で互に顏を見合せて、にやりと笑つた。私達は所屬の教室に退いて、今度こそは——と思ひながら、先生の到着を待つてゐた。
猫又先生
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
「暫らくは
呆氣
(
あつけ
)
に取られて居りましたが、念の爲に私の部屋へ歸つて見ると、其處に置いた筈の繪圖面がございません」
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次も少し
呆氣
(
あつけ
)
に取られました。先刻までは、そんな事を
氣振
(
けぶ
)
りにも見せず、平次に縋り付かぬばかりに、敵を討つてくれと泣いた安右衞門です。
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次も
呆氣
(
あつけ
)
に取られて、腹を立てる張合ひもありません。それほど、ガラツ八の調子は、ヌケヌケとして居りました。
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ガラツ八は只
呆氣
(
あつけ
)
に取られるばかりでした。その頃はまだ一般人は火藥といふものさへ見る機會が少なかつたのです。
銭形平次捕物控:155 仏像の膝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次の説明の微妙さに、主人の彦七は默りこくつてしまひましたが、聽いて居る八五郎は、
呆氣
(
あつけ
)
に取られて鼻の穴をふくらませて聽き入つて居ります。
銭形平次捕物控:182 尼が紅
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
見せたつきり、スーと引つ込んでしまつたので、馬鹿息子は
呆氣
(
あつけ
)
に取られて、もつとよく見るつもりで又千兩出したら、二度目もチラリと顏を見せただけ
銭形平次捕物控:213 一と目千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
自分達の密談が洩れたためとはもとより知る由もなく、唯
呆氣
(
あつけ
)
に取られて、ことの成行を見るばかり——。それよりも驚いたのはガラツ八の八五郎でした。
銭形平次捕物控:135 火の呪ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は
呆氣
(
あつけ
)
に取られて居る下女を尻目に二階へ上りましたが、屋根は眞新しく、格子は嚴重な釘付けで、梯子より外には外へ出る道があらうとも思はれません。
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎は
呆氣
(
あつけ
)
に取られました。
堅氣
(
かたぎ
)
の家の下女にしては、年齡にも柄にも似ぬ
媚態
(
コケテイツシユ
)
なところがあります。
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
飛躍する平次の天才、その推理の塔の積み重なるのを、八五郎は
呆氣
(
あつけ
)
に取られて聽き入るばかりです。
銭形平次捕物控:141 二枚の小判
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そんな事を言ひ乍ら、
呆氣
(
あつけ
)
に取られて見送るお勢には聲もかけず、あたふたと裏口から飛出しました。
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は
諄々
(
じゆん/\
)
として説くのでした。三輪の萬七と八五郎のガラツ八は、
唯
(
ただ
)
呆氣
(
あつけ
)
に取られるばかり。
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次が人殺しの現場で、いきなり朝顏の話を初めたのでガラツ八も
呆氣
(
あつけ
)
に取られて居ります。
銭形平次捕物控:030 くるひ咲
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次の態度の物々しさに驚いて、用人松坂彦六は
呆氣
(
あつけ
)
に取られて居りますが、平次は委細構はず、四方の壁を叩いたり、縁側の板の隙間を一枚々々調べたり、全く氣狂ひ沙汰の探索です。
銭形平次捕物控:216 邪恋の償ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次も
呆氣
(
あつけ
)
に取られて、此處の樣子を見るだけ。後には續く言葉もありません。
銭形平次捕物控:317 女辻斬
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ヂツとそれを見詰ある平次、お舟も
呆氣
(
あつけ
)
に取られて默つてしまひました。
銭形平次捕物控:097 許婚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は靜かに立上がり樣、
呆氣
(
あつけ
)
に取られて居る八五郎を
顧
(
かへり
)
みました。
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
穴倉の隅の箱は空つぽ、八五郎は
呆氣
(
あつけ
)
にとられて居るばかり
銭形平次捕物控:124 唖娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其處へ立ち
竦
(
すく
)
んだまゝ、暫らくは
呆氣
(
あつけ
)
に取られるばかりです。
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次の豫想外の答へに、みんな
呆氣
(
あつけ
)
に取られて了ひました。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は
呆氣
(
あつけ
)
に取られてゐる弟子を
顧
(
かへり
)
みます。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平山平助は
呆氣
(
あつけ
)
に取られて居ります。
銭形平次捕物控:186 御宰籠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は少し
呆氣
(
あつけ
)
に取られた樣子です。
銭形平次捕物控:166 花見の果て
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
呆
漢検準1級
部首:⼝
7画
氣
部首:⽓
10画
“呆”で始まる語句
呆
呆気
呆然
呆痴者
呆返
呆然自失
呆痴
呆乎
呆々
呆作