ござ)” の例文
「私は木下さん(主筆)と同国の者でございまして、」と云ふ挨拶を聞いた時、俺よりも確かな伝手つてがあると思つて、先づ不快を催した。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
先生少しも御承知ないから、么麼どうも此頃の小説は千篇一律で詰りませんナ、女郎文学でござる、心中文学で厶ると欺騙して引退るだけだ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
「諸君、最初に御覧に入れますのは、ハンケチの手品でございます。どなたでも宜敷う厶いますから、ハンケチを一つ拝借願います」
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「湯河原までぢや、十五円で参りませう。本当なれば、もう少し頂くのでございますけれども、此方こつちからお勧めするのですから。」
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
「いえあの、な、泣いたのではござりませぬ。不調法御免下さりませ。風気ふうきの気味が厶りますので、つい鼻が、鼻がつまったので厶ります……」
十万石の怪談 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
「手前手練の早業にてサッと切り込んだのでござるが……」と運よく腕一本を失って助かった被害者が病床で述懐した。
くろがね天狗 (新字新仮名) / 海野十三(著)
差入れて呼声『どなたも名物飴のご用はござんせんかい』『保命酒の小つさいものもありまつせ』『サー蒲鉾の出来たちも厶りまつせ』予は眼をつぶつて味つた。
坊つちやん「遺蹟めぐり」 (新字旧仮名) / 岡本一平(著)
矢張やはりしづかなところございますねえ。』と春枝夫人はるえふじん此時このときさびしきえみうかべて、日出雄少年ひでをせうねんともにずつと船端せんたんつて、鐵欄てすりもたれてはるかなる埠頭はとばはうながめつゝ
助かりたうござります、左様か、然らばかうしてとらせる、残る片腕をスパリと斬落す、どうぢや、まだ、助かりたいか、料理人はクワッと眼を見開いて、馬鹿野郎
我鬼 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
「いや、其樣そんな事はございません。先達せんだつても青年會館でお彈きになつたシヨウパンを拜聽したですが實に驚嘆しました。わたくしの學校の生徒なぞには勿體ない位の御手腕です。」
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
おんちゝ下野守しもつけのかみ久政公も御存生でいらっしゃいまして、とかくお父子の間柄がよくないと申す噂もござりましたけれど、それももと/\は久政公がお悪いのだと申すことで
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ナントおつ出来でかしたではござらぬか、此詩このし懐中くわいちうしたれば、もんたゝいておどろかしまをさんかとは思ひしが、夢中むちう感得かんとくなれば、何時いつ何処どこにても、またやらかすとわけにはかず
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
切害せし證據假初かりそめにも將軍家の御落胤に有べからざる凶相きようさうなり僞物にせものと申せしがよもあやまりでござるかと席をたゝいて申ける天一坊始め皆々口をとぢ茫然ばうぜんたりしが大膳こらへ兼御墨付おすみつきと御短刀たんたう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私は二十八の時、荷物船に乘つて、靜岡から出たのでございますが、二日目に嵐でもつてあなた途中房州の布良汐めらじをと云ふところに流されて、三日目にやつと、大島の元村へ着いたので厶いますよ。
大島行 (旧字旧仮名) / 林芙美子(著)
かうなると不思議なことばかりでございますがその中でも一番不思議なのは私達はたゞ孔雀が実は美しい乙姫様であつたのには驚かされましたが——そんな不思議な光景の前に引出されてゐることを
嘆きの孔雀 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
家城答えて(中略)当夏わたくしみせへ御出での時、取り敢えず枕にして昼寝をなされた大福帳のことでござります、(中略)もはやかの帳を失い申す上は、病目やみめに茶を塗ったごとく、座頭の杖に離れしように
「撞木杖をついた跛者びっこの武士が辻斬りをするということでござるが」
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
 側の半次が相槌打った「淋しゅうござんしょうね」
中村仲蔵 (新字新仮名) / 山中貞雄(著)
ぶしつけの段はお許しが願いござる。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「ええ、いましたよ、十六世紀頃から此処にいました。ねえ、姉さん、秘密は最良の政略ですねえ。半歳は六ヵ月でございますねえ。ヘッヘヘヘヘ」
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「では申そう」と憎々しいまでに勿体もったいをつけて「——実は、各々方は誰方どなたも此拠に足をとめて行かぬこととなさるのでござる。そしてこの興味ある討伐を ...
くろがね天狗 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それで、日進月歩の文明はこれでございと威張る。歴史とは進化の義なりと歴史家が説く。アハヽヽヽヽ。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
只々もう御勇ましさ、水際立みずきわだって御見事というよりほかに言いようがござりませぬ。山の頂きからまろび落ちる大岩を身一つで支えようとするようなもので厶ります。
十万石の怪談 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
「奥様がお待ち兼でございます。」と、妻に付けてある女中が、宿の女中達と一緒に玄関に出迎へた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
此方こつちにはちやんと證據物件しようこぶつけんござる、そんなに八釜やかましくふなら、サアなせいとつて、山奧やまおくれてつて、その紀念塔きねんたふせてやるのだ、どうだいこのめぬか
「拙僧は左様な法力を会得した生きぼとけではござらぬ」と和尚は答へた。
閑山 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
土俵にしやがんで塵を切り、両手で開き掌の裏表を敵手に示すは種も仕掛けもござらぬといふ意進んで砂を両腋に塗り、四股を踏む。上体は真つ直にして足だけ高くあげよ。眼は一間先の土俵を見よ。
相撲の稽古 (新字旧仮名) / 岡本一平(著)
重さが唯ツた一貫目——「ハウンド」でござるが凄まじいお笑草だ子。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
男女合わせて三万余人が籠城したのでございます。
天草四郎の妖術 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一旦は無事におさまりましたことでござます
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
お歌さんのところへは先生が相変らず遊びに来る。あれは文法の教師で、もう四年もお歌さんの学校にいるのだそうだ。毎日此れはパスト、プアアヘクトでござる。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それで、日進月歩の文明はこれでございと威張る。歴史とは進化の義なりと歴史家が説く。アハヽヽヽ。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
主命との御諚ごじょうござりますれば致し方厶りませぬ。千之介がけわしく叱ったのも無理からぬこと、実は波野と二人してこの怪談を先達せんだつてある者から聞いたので厶ります。
十万石の怪談 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
実に器用なものでしたなア。……いえ、まだ話がございます。それから右手の方はどうなすったのかと、それとなく見ていますと、まあどうでしょうか、右手に拇指がないのです。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「奥さまに、一寸お目にかゝりたいと思ひますが、御都合は如何でございませうか。」
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
「拙僧は左様さような法力を会得えとくした生きぼとけではござらぬ」と和尚は答えた。
閑山 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
賓人まれびとよ、おねがひでござります。』と兩手りやうてあはせてわたくしあほた。
斬り落とされましてござりまする
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「それにしてもあんまりでござります……。殿様もあんまりで厶ります。……」
老中の眼鏡 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
『アノ商況でございますな。』と揉手をする。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「はっ。只今持参致しまするところでござります」
老中の眼鏡 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
彼方あちらのお方からお取次でございます。』
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「三人でござりました」
老中の眼鏡 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)