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剪刀
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はさみ
ふりがな文庫
“
剪刀
(
はさみ
)” の例文
剪刀
(
はさみ
)
の刃音が頭の
天辺
(
てつぺん
)
で小鳥のやうに
囀
(
さへづ
)
つてゐるのを聞きながら、うと/\としてゐると、
突如
(
だしぬけ
)
に窓の隙間から号外が一つ投げ込まれた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
お葉はその時清らかに終るべき身の靜けさに、
剪刀
(
はさみ
)
を取つてすべての不潔を切り取つたのである。手の爪は美しく取られた。
三十三の死
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
ところが今年は
剪刀
(
はさみ
)
で切ったり、没収したりし出した。カウィアは片側で済むが、切り抜かれちゃ両面無くなる。没収せられればまるで無くなる。
食堂
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
剪刀
(
はさみ
)
を袖の下へ
秘
(
かく
)
して来て、
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
して、ずぶりと入れると、昔取った千代紙なり、めっきり
裁縫
(
しごと
)
は上達なり、見事な手際でチョキチョキチョキ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
我は僧等の姫が頭上の
紗
(
うすぎぬ
)
を
剥
(
は
)
ぎて、雲の如き
髩髮
(
ひんぱつ
)
の亂れ
墜
(
お
)
ちて兩の肩を
掩
(
おほ
)
へるを見、これを斷つ
剪刀
(
はさみ
)
の響を聞きつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
ええ面倒ナ切って終え、と
剪刀
(
はさみ
)
を取出す気になるような、腹の中で決断がついて終ったせいもあったろう。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
悪いものには滅多に
剪刀
(
はさみ
)
を
下
(
くだ
)
そうとしない、彼の手に裁たれ、縫わるる服は、得意先でも評判がよかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
こう
言
(
い
)
って、
魔女
(
まじょ
)
はラプンツェルの
美
(
うつく
)
しい
髪
(
かみ
)
を
攫
(
つか
)
んで、
左
(
ひだり
)
の
手
(
て
)
へぐるぐると
巻
(
ま
)
きつけ、
右
(
みぎ
)
の
手
(
て
)
に
剪刀
(
はさみ
)
を
執
(
と
)
って、ジョキリ、ジョキリ、と
切
(
き
)
り
取
(
と
)
って、その
見事
(
みごと
)
な
辮髪
(
べんぱつ
)
を
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
一つ一つの蟻は木の葉の表に止まっていて、その鋭い
剪刀
(
はさみ
)
のような口で、木の葉の上方をばほぼ半円形に切って行き、そうしてその縁を口にくわえ、パッと急に引いてその
片
(
きれ
)
をもぎ取る。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
金の
剪刀
(
はさみ
)
の
股
(
また
)
をすぼめて持っていて下さい。そして
救
(
すくい
)
の日を知らせて下さい。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
任はその金が二成が持って来た金に似ているので、
剪刀
(
はさみ
)
で断ってしらべてみた。模様も色も完全に備ってすこしの
謬
(
あやま
)
りもないものであった。そこで任は金を受け取って地券を大成に、かえした。
珊瑚
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
さう話す間も
剪刀
(
はさみ
)
はパサ/\切りつゞけて、毛は下に落ちてゐました。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
かれは
剪刀
(
はさみ
)
で喉を突いて自殺したのである。
中国怪奇小説集:10 夷堅志(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
断片は
剪刀
(
はさみ
)
で截り取つたものである。某が截り取つて蘭軒に示したのであらう。その此年の書牘たることは、「新年の詩二首」と云ふを以てこれを知る。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
だが可愛い猫は起したくなしといふので、わざ/\大事の
衣物
(
きもの
)
の裾を
剪刀
(
はさみ
)
でつみ切つて
起
(
た
)
ち上つたといふ事だ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その時白いお茶の花を瓶にさして呉れた看護婦が、銀いろの
剪刀
(
はさみ
)
を持つて來て、ドアを押した。そしてお葉の爪を見たのである。看護婦は驚いたやうにやや誇張して
三十三の死
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
剪刀
(
はさみ
)
が
一所
(
いっしょ
)
になつて入つて居たので、糸巻の動くに連れて、
夫
(
それ
)
に
結
(
いわ
)
へた小さな鈴が、ちりんと
幽
(
かすか
)
に云ふから、
幼
(
いとけな
)
い耳に何か
囁
(
ささや
)
かれたかと、弟は
丸々
(
まるまる
)
ツこい
頬
(
ほお
)
に
微笑
(
ほほえ
)
んで、
頷
(
うなず
)
いて
鳴
(
なら
)
した。
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
といって、袖の中から
剪刀
(
はさみ
)
を出して喉を突いた。
老媼
(
ばあや
)
はびっくりして剪刀をもぎとったが、血は傷口から溢れ出て襟を
沽
(
うるお
)
した。老媼はそれで珊瑚を大成の叔母にあたる王という家へ
伴
(
つ
)
れていった。
珊瑚
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
日暮れて劇場の馬車の我を載せ行きしは、
樂劇
(
オペラ
)
の幕の既に
開
(
あ
)
きたる後なりき。若し運命の女神にして、
剪刀
(
はさみ
)
を手にして此車中に座したらんには、恐らくは我は、いざ、
截
(
き
)
れと呼ぶことを得しならん。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
わたし共は小さい
剪刀
(
はさみ
)
を持った
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
庭園は抽斎の愛する所で、自ら
剪刀
(
はさみ
)
を
把
(
と
)
って植木の
苅込
(
かりこみ
)
をした。木の中では
御柳
(
ぎょりゅう
)
を好んだ。即ち『
爾雅
(
じが
)
』に載せてある
檉
(
てい
)
である。
雨師
(
うし
)
、
三春柳
(
さんしゅんりゅう
)
などともいう。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「散髪なんか一々
理髪床
(
かみゆひどこ
)
でするには及ばない。めいめい
剪刀
(
はさみ
)
で
剪
(
つ
)
み切る事にしたら、散髪代だけ儲かる。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
このウ
細
(
こまか
)
い方一挺がア、定価は五銭のウ処ウ、特別のウ割引イでエ、
粗
(
あら
)
のと二ツ一所に、
名倉
(
なぐら
)
の
欠
(
かけ
)
を添えまして、三銭、三銭でエ差上げますウ、
剪刀
(
はさみ
)
、
剃刀磨
(
かみそりとぎ
)
にイ、一度ウ磨がせましても
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
剪刀
(
はさみ
)
は我手にわたされぬ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
霞亭はこれを
剪
(
き
)
り取つて蘭軒に示した。この
剪刀
(
はさみ
)
の痕を存した断片は饗庭篁村さんの蔵儲中にある。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
車が日比谷まで来ると、車掌は乗換切符に
剪刀
(
はさみ
)
を入れようとして、自分の
腕時計
(
うでとけい
)
を見た。すると安物の
腕時計
(
うでとけい
)
は安物の政友会内閣の大蔵大臣のやうに両手を伸ばしたまゝ昼寝をしてゐた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
私
(
わたし
)
は、
先生
(
せんせい
)
が
名古屋
(
なごや
)
あそびの
時
(
とき
)
の、
心得
(
こゝろえ
)
の
手帳
(
てちやう
)
を
持
(
も
)
つてゐる。
餘白
(
よはく
)
が
澤山
(
たくさん
)
あるからといつて、
一册
(
いつさつ
)
下
(
くだ
)
すつたものだが、
用意
(
ようい
)
の
深
(
ふか
)
い
方
(
かた
)
だから、
他見
(
たけん
)
然
(
しか
)
るべからざるペイヂには
剪刀
(
はさみ
)
が
入
(
はひ
)
つてゐる。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ここに
金鍔
(
きんつば
)
屋、荒物屋、
煙草
(
たばこ
)
屋、損料屋、場末の
勧工場
(
かんこうば
)
見るよう、狭い店のごたごたと並んだのを通越すと、一
間
(
けん
)
口に看板をかけて、丁寧に絵にして
剪刀
(
はさみ
)
と
剃刀
(
かみそり
)
とを
打違
(
ぶっちが
)
え、下に五すけと書いて
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“剪刀(はさみ)”の解説
はさみ
(鋏)物を刃で挟み込むことによって、物を切断するための道具。本項目で主に解説する。
(挟み、挿み)物をはさみ込むことによって、物を握持するための道具。洗濯用の洗濯ばさみ、炭火用あるいは清掃用の火ばさみ、角氷用の氷ばさみなど。なお、物をつかむ道具である「やっとこ」にも「鋏」の字があてられる。
(螯、鉗)節足動物の肢の先にある道具の鋏のような構造の部分 - はさみ (動物)
はさみ(鋏、剪刀)は、物を二つの刃ではさんで切断(剪断)する道具。
(出典:Wikipedia)
剪
漢検1級
部首:⼑
11画
刀
常用漢字
小2
部首:⼑
2画
“剪”で始まる語句
剪
剪燈新話
剪裁
剪定
剪紙
剪除
剪灯新話
剪枝畸人
剪薙
剪花