“はさみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
83.6%
剪刀7.0%
鋏刀3.3%
2.0%
0.7%
0.7%
0.7%
剃刀0.3%
木鋏0.3%
波佐見0.3%
洋鋏0.3%
西洋鋏0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
郊外電車の改札口で、乗客をほったらかし、はさみをかちかち鳴らしながら同僚を追っ馳け廻している切符きり、と云った青年であった。
微笑 (新字新仮名) / 横光利一(著)
お葉はその時清らかに終るべき身の靜けさに、剪刀はさみを取つてすべての不潔を切り取つたのである。手の爪は美しく取られた。
三十三の死 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
青年が学者の真似をして、つまらない議論をアッチからも引き抜き、コッチからも引き抜いて、それを鋏刀はさみと糊とでくッつけたような論文を出すから読まないのです。
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
ニョッキリとそびえた二本のはさみは、案の定庭の隅の物置小屋に向っている。彼は先ずそこの梯子を取り出す積りであろう。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しかし、十時四十八分發じふじよんじふはちふんはつには、まだ十分間じつぷんかんある、と見較みくらべると、改札口かいさつぐちには、らんかほで、糸崎行いとざきゆきふだかゝつて、改札かいさつのおかゝりは、はさみふたつばかり制服せいふくむねたゝいて、閑也かんなりましてらるゝ。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
暗がりで見ると、それはまるで蟹のはさみのように見えるのだ。セミョーンは長い舵に腹でのし掛った。向うの岸ではまだ呼びつづけている。ピストルの音も二度ほど響いた。
追放されて (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
聞て幸八は心得こゝろえ其夜の中に部屋へやからえらんで呉服屋の六團扇うちはの源入墨いれずみ七箱根傳助小僧の吉品川の松などいづれも當宿のうでこき六人からだへは赤合羽あかがつぱ羽折はをり各自向ふ鉢卷はちまきをなしこしはさみしは叺莨入かますたばこいれ手には竹の息杖いきづゑ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
床屋の主人あるじ揉上もみあげあたりで二三度剃刀はさみを鳴らしてゐたが
まるで橐駝師うえきやでね、木鋏はさみは放しませんよ。ほほほほ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
波佐見はさみの中尾山から「くらわんか」や五郎八ごろはち茶碗の破片が沢山出る。古くそこで石焼きの雑器を大量に作ったのである。長与ながよ近在の窯跡から例の染附そめつけ猪口ちょくの断片が沢山出る。
北九州の窯 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
滝床親方は、ずんぐりした体にめくらじまのやや裾みじかな着附きつけでニコニコ洋鋏はさみをつかっていたが、お得意なのは土鉢に植えた青い、赤い実のなっているトマトだった。
「坊ちやん、そんな叔父さんのお西洋鋏はさみなんかあちらへ置いて入らつしやいまし。さ、お父さまをそこまでお見送りいたしませう。」
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
支那では余り希有けうな事でないらしく、おどけ半分に異史氏が評して馬万宝善く人を用ゆる者というべし。児童かにを面白がるがはさみおそろしい。因って鉗を断ちて飼う。