はさみ)” の例文
猴は毎々そうするか否を知らぬが、予かつて庭に遊ぶ蟹に一片の香の物を投ぐると走り寄りて右のはさみでこれを執る。また一片を投ぐると左の螫で執る。
暗がりで見ると、それはまるで蟹のはさみのように見えるのだ。セミョーンは長い舵に腹でのし掛った。向うの岸ではまだ呼びつづけている。ピストルの音も二度ほど響いた。
追放されて (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
例せば『類聚名物考』に猴大根を食わしめてよし、またカヤの実を食すれば甚だげんあり、猴舞わしの家常に用ゆ、甚だ蟹の殻ならびに手のはさみを嫌うなりとあるなど経験に拠ったのであろう。