はさみ)” の例文
あまり暑いからかみでも苅ろうかと、座敷の縁に胡踞あぐらかく。バリカンが駄目なので、はさみで細君が三分に苅ってくれた。今朝苅った芝が、最早枯れて白くかわいて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
しかし、十時四十八分發じふじよんじふはちふんはつには、まだ十分間じつぷんかんある、と見較みくらべると、改札口かいさつぐちには、らんかほで、糸崎行いとざきゆきふだかゝつて、改札かいさつのおかゝりは、はさみふたつばかり制服せいふくむねたゝいて、閑也かんなりましてらるゝ。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
主人のひげは六七年来放任主義であまりうるさくなるとはさみるばかりだし、主婦はして来て十八年来一度も顔をったことがないので、家には剃刀かみそりと云うものが無い。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)