)” の例文
吾輩だって喜多床きたどこへ行って顔さえってもらやあ、そんなに人間とちがったところはありゃしない。人間はこう自惚うぬぼれているから困る。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
長江の鼻毛をった剃刀かみそりで鼻毛を剃られたら危険である、ということで、われわれは長江の行きつけの床屋を調べたりしたことがあった。
文壇昔ばなし (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
頭髪あたまってんな身の上になったから逢われますものゝ、定めて不実の親だと腹も立ちましょうが、どうぞ堪忍して下さいあやまります
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
主人のひげは六七年来放任主義であまりうるさくなるとはさみるばかりだし、主婦はして来て十八年来一度も顔をったことがないので、家には剃刀かみそりと云うものが無い。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
やうやく長い冬をぎ抜けることが出来た。しばらく床場とこばへも行かないと思つて居るうちに、私の頭の髪はうづらのやうに成つた。今日は久し振りで延びたひげつた。これで清々した。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
例のようにどこの玄関番かと思われる風体ふうていをして、髪を刈る時のほからないあごひげを一二ほども延ばして、頑丈がんじょう容貌ようぼうや体格に不似合いなはにかんだ口つきで、田島という
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
髪をり髪をうことにも、陸は早く熟錬した。剃ることには、尼妙了みょうりょうが「お陸様がって下さるなら、頭が罅欠ひびかけだらけになってもい」といって、頭をまかせていたのでれた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
五十前後の頭をりたての住職は、顔色を変えて走りだしてきました。
墓地の殺人 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「貴女の襟脚をろうてんだ。何、こんなものぐらい。」
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
道理どうれで頭にこぶが出来てらあ。そんな不作法な頭あ、るなあ骨が折れていけねえ。今日は勘弁するから、この次から、ね直して来ねえ」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
若「昨日きのうからりましょうと思ってるんですけれど、なんだか風邪気のようですから、本当ほんとに汚ならしくなったでしょう」
「どうも御待たせ申しまして、実はひげっていたものだから、途中でやめる訳にも行かず……」と高木は叔父の顔を見るや否や云訳いいわけをした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ことに江戸に奉公をした者で気の利いた者ですが、貴方は牢を破ったなどゝとんだ悪事をなさいました、知れたら大事で、早く改心なすって頭をって衣に着替え
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
梳手すきてが来ないので、髪をうのにだいぶひまが取れた。旦那は湯にって、ひげって、やがて帰って来た。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今では毎日お経を上げたあとでは観音様へ向って、若い時分の悪事を懺悔してお詫び申していますけれども、中々罪は消えませんが、頭髪あたまって衣を着たお蔭で
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
石鹸しゃぼんなんぞを、つけて、るなあ、腕がなまなんだが、旦那のは、髭が髭だから仕方があるめえ」と云いながら親方は裸石鹸を、裸のまま棚の上へほうり出すと
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
又「はゝア何でも此の頃頭髪あたまった比丘さんに違いない、毛の生えるまで足溜あしだまりに己のうちへ泊って居るのだ、彼奴あいつら二人が永禪和尚にお梅かも知れねえぜ、のう婆さん」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「石段をあがると、何でも逆様さかさまだからかなわねえ。和尚さんが、何て云ったって、気狂きちげえ気狂きちげえだろう。——さあれたよ。早く行って和尚さんに叱られて来めえ」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
客「お神輿みこしでも待ちゃアしめえし、お廻りになるってやアがる、殴るよ本当に、仲どんはめちまや、可愛相に青脹れで、頭髪あたまッちまいねえ、衣の勧化かんげぐれえはしてやらア」
前掛まへかけを器用に退けて、蹴込みからりた所を見ると、脊のすらりと高い細面ほそおもての立派な人であつた。ひげを奇麗につてゐる。それでゐて、全くをとこらしい。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
私も頭をっこかして逃げたことが有るね、えゝ是は昔話でございますがねえ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「いくら保養でも、うちへ帰ると、少しは気疲きづかれが出るものよ。けれどもあなたはあんまり爺々汚じじむさいわ。後生ごしょうだから一休ひとやすみしたら御湯に行って頭を刈ってひげって来てちょうだい」
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かく「誠に面目次第もございませんが、嘘に頭がられましょうか、シテあなた方はこれから何所どこへお出でゝございますか、江戸へいらっしゃいますなら、本街道の中山道口なかせんどうぐちへ出てはいけませんよ、お尋ねの人相書が𢌞って居ますよ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ひとり妻だけはおやすっかりっておしまいになったんですかと云って、少し残り惜しそうな顔をした。妻は夫の病気が本復した上にも、なお地面と居宅が欲しかったのである。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
病気にかかる前、ある友人と会食したら、その友人が短かくった余の揉上もみあげを眺めて、そこから白髪におかされるのを苦にしてだんだん上の方へげるのではないかと聞いた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
帰りにちょっとひげって来るよと、銘仙めいせんのどてらの下へ浴衣ゆかたを重ねた旦那は、沓脱くつぬぎへ下りた。じゃ、ちょいと御待ちなさいと、御作さんはまた奥へけ込んだ。その間に旦那は楊枝を使い出した。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
後生ごしやうだから一休ひとやすみしたら御湯おゆつてあたまつてひげつて頂戴ちやうだい
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)