仕入しいれ)” の例文
伴「実は江戸へ仕入しいれに行った時に、あの海音如来の金無垢きんむくのお守を持って来て、此処こゝへ埋めて置いたのだから、掘出ほりだそうと思って来たんだ」
それがこの自分じぶんでもひどいやであつたが、冬至とうじるから蒟蒻こんにやく仕入しいれをしなくちやらないといつて無理むりたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
困ってしまった源一は、誰かをやとって花の仕入しいれをしようかと考えた。しかしそのとき思い出したのは、いつも源一に元気をつけてくれた犬山画伯いぬやまがはくのことだった。
一坪館 (新字新仮名) / 海野十三(著)
其頃そのころ着手きての無いインパネスのもう一倍いちばいそでみじかいのをて雑誌を持つてまわる、わたしまたむらさきヅボンといはれて、柳原やなぎはら仕入しいれ染返そめかへしこんヘルだから、日常ひなたに出ると紫色むらさきいろに見えるやつ穿いて
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
くちよければ仕入しいれあたらしく新田につた苗字めうじそのまゝ暖簾のれんにそめて帳場格子ちやうばがうしにやにさがるあるじの運平うんぺい不惑ふわくといふ四十男しじふをとこあかがほにしてほねたくましきは薄醤油うすじやうゆきすかれひそだちてのせちがらさなめこゝろみぬわたりの旦那だんなかぶとはおぼえざりけり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
見て成程某のつれなりきやつ護摩灰ごまのはひならんによりたゞし呉れんと思ひし處とう/\今宵引捕ひつとらへたり一たい此奴こやつ某が連にはあらねども一昨日をとゝひ戸塚とつかざかひの燒持坂より連に成りたいとてつけきたりし者なるが生國しやうこくは近江の由なれど江戸へ商ひに出し歸りにて是より名古屋へまはり其後京大坂へ仕入しいれのぼるにより供を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
土蔵を抵当にしまして、漸々よう/\のことで利の食う金を借りて、三千円資本もとでを持って出て参ったでがんすから、宿屋へ此の金を預けて仕入しいれをするのだが、滅多にねえから
らそれ仕入しいれたつきりおきられねえんだよ」おしなまくらうごかしていつた。勘次かんじまたふたをした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
四國の丸龜までもどる者なりと答るに彼男私しは江州がうしうにて候が江戸表へあきなひに參り只今歸り道也是からまた尾州びしう名古屋へいたり夫より京大坂へ仕入しいれに登り候つもりに付幸ひ御供同樣に御召連下おめしつれくださるべし一人の道中と云者いふものは道にあきるものゆゑ御咄相手おはなしあひてに御同道仕つり度と然も馴々なれ/\しく申すにぞ後藤は否々いな/\某はまた道連みちづれの有は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
蒟蒻こんにやくむらにはいので、仕入しいれをするのには田圃たんぼえたりはやしとほつたりしてとほくへかねばならぬ。それでおしなその途中とちうあきなひをしようとおもつて豆腐とうふかついでた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)