トップ
>
今様
>
いまよう
ふりがな文庫
“
今様
(
いまよう
)” の例文
旧字:
今樣
奇人にはちがいありませんが、
洒脱
(
しゃだつ
)
、
飄逸
(
ひょういつ
)
なところのない
今様
(
いまよう
)
仙人ゆえ、讃美する
的
(
まと
)
が
外
(
はず
)
れて、妙に
反
(
そ
)
ぐれてしまったのだと思います。
平塚明子(らいてう)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「お前の顔をもう一度見られるとは、夢のようじゃ、田舎住いで歌も忘れたろうが、久しぶりに
今様
(
いまよう
)
でも一さし舞ってみせてくれぬか」
現代語訳 平家物語:06 第六巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
追々
薄紙
(
はくし
)
を
剥
(
は
)
ぐが如くに
癒
(
い
)
え行きて、はては、
床
(
とこ
)
の上に起き上られ、妾の
月琴
(
げっきん
)
と兄上の
八雲琴
(
やくもごと
)
に和して、
健
(
すこ
)
やかに
今様
(
いまよう
)
を歌い出で給う。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
「今夜は
白拍子
(
しらびょうし
)
の首を持ってきておくれ。とびきり美しい白拍子の首だよ。舞いを舞わせるのだから。私が
今様
(
いまよう
)
を唄ってきかせてあげるよ」
桜の森の満開の下
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
また
今様
(
いまよう
)
の美術文学家は往々婉麗の一方に偏し、雅樸なる者を取て卑野として不美術的としてこれを斥く。共に
偏頗
(
へんぱ
)
の論なり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
宇賀の老爺は心持ち
背後
(
うしろ
)
に
反
(
そ
)
りかえて、かすれた声を出して
今様
(
いまよう
)
を唄いました。そして、手にしている
扇
(
おうぎ
)
をぱちぱち鳴らして拍子をとりました。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
寂然
(
じゃくぜん
)
は『
唯心房集
(
ゆいしんぼうしゅう
)
』に四十九首の創作
今様
(
いまよう
)
をのこしたし、鴨長明のこころみた『方丈記』の散文体は、明澄の理智を写すに適したはずであった。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
「ところで、
今様
(
いまよう
)
の
鈴木主水
(
すずきもんど
)
を一組こしらえ上げてしまったなんぞは、
刷毛
(
はけ
)
ついでとは言いながら、ちっと罪のようだ」
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
けれどもその実、彼等の詩体は何の新しいものでもなく、日本に昔から伝統している長歌・
今様
(
いまよう
)
の復活であったのだ。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
歳恰好から身柄といい、がら松と彼とは生き写しだった。
今様
(
いまよう
)
天一坊
(
てんいちぼう
)
という古い手を仙太郎は思いついたのである。
釘抜藤吉捕物覚書:10 宇治の茶箱
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
路
(
みち
)
を行けば、美しい
今様
(
いまよう
)
の細君を連れての
睦
(
むつま
)
じい散歩、友を訪えば夫の席に出て
流暢
(
りゅうちょう
)
に会話を
賑
(
にぎや
)
かす若い細君、ましてその身が骨を折って書いた小説を読もうでもなく
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
刀
脇差
(
わきざし
)
も有用の物ともおもわずや、かざりの美、異風の
拵
(
こしらえ
)
のみを
物数寄
(
ものずき
)
無益の費に金銀を捨て、衣服も
今様
(
いまよう
)
を好み妻子にも華美風流を飾らせ、
遊山
(
ゆさん
)
、
翫水
(
がんすい
)
、芝居見に公禄を費し
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
盛遠
(
もりとお
)
は徘徊を続けながら、再び、口を開かない。
月明
(
つきあかり
)
。どこかで
今様
(
いまよう
)
を
謡
(
うた
)
う声がする。
袈裟と盛遠
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
幼少から武技の
鍛
(
きた
)
えをうけたのは、もちろんだが、天性、彼は舞楽が好きだった。——伊賀の一ノ宮、その他の
社
(
やしろ
)
には、自然発生的な
神楽
(
かぐら
)
めいた
今様
(
いまよう
)
舞踊が近来
興
(
おこ
)
りはじめている。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
殊に当時の女学生間にはこの
為永
(
ためなが
)
を
今様
(
いまよう
)
としたような
生温
(
なまぬる
)
い恋物語が喜ばれて
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
葉村の
長
(
おさ
)
の下座敷から、今日も優しい
今様
(
いまよう
)
が、さも
悠暢
(
のんびり
)
と聞こえて来た。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ともかく、苦労を積んだ、頭のよいできた人物といえよう。その
気骨稜々
(
きこつりょうりょう
)
意気軒昂
(
いきけんこう
)
たる気構えは、
今様
(
いまよう
)
一心太助
(
いっしんたすけ
)
といってよい。こちらがヘナチョコでは、おくれをとって寿司はまずいかも知れない。
握り寿司の名人
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
それは
朗詠
(
ろうえい
)
や
今様
(
いまよう
)
などとは違って、もっと急調な激しい調子である。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そのほかに
洋卓
(
テエブル
)
がある。チッペンデールとヌーヴォーを取り合せたような組み方に、思い切った
今様
(
いまよう
)
を
華奢
(
きゃしゃ
)
な昔に忍ばして、
室
(
へや
)
の真中を占領している。
周囲
(
まわり
)
に並ぶ四脚の椅子は無論
同式
(
どうしき
)
の
構造
(
つくり
)
である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ぢやが、新曲とあつて、其の
今様
(
いまよう
)
は、大島守の作る
処
(
ところ
)
ぢや。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
綾子
(
りんず
)
羽ぶたへ
今様
(
いまよう
)
に
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
それは極彩色の絵の本で、さまざまの男や女が遊び戯れている、
今様
(
いまよう
)
源氏の絵巻のようなものでありました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それが四句切りはなされて
今様
(
いまよう
)
になったりしたような歌謡方面からの影響かも知れない。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
按察使
(
あぜち
)
の大納言
資賢
(
すけかた
)
は
和琴
(
わごん
)
を鳴らし、その子
右馬頭資時
(
うまのかみすけとき
)
は
風俗
(
ふうぞく
)
、
催馬楽
(
さいばら
)
を歌い、四位の侍従
盛定
(
もりさだ
)
は拍子をとりながら
今様
(
いまよう
)
を歌うなど、和気
藹々
(
あいあい
)
のうちに得意の芸が披露されていた。
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
後にまた古今集の時代になって、一時七五調の
今様
(
いまよう
)
が流行したが、これもまたその単調から、直ちに
倦
(
あ
)
きて廃れてしまった。そして最後に、明治の新体詩が同様な運命を繰返した。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
新しく
琉球
(
りゅうきゅう
)
から
渡来
(
わた
)
ってきた三味線を工夫したり、またその三味線を基礎にして
今様
(
いまよう
)
の歌謡ができて来たり、その派生から
隆達
(
りゅうたつ
)
ぶしだの上方唄だのが作られたり、そういったものは
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
我は
今様
(
いまよう
)
の根の下りたるはきらひなどいひ給ふ。半井君つと
立
(
たち
)
て、いざや美しうなりたまひし御姿みるに余りもさし込めたる事よとて、雨戸二、三枚引あく、口の悪き男かなとて人々笑ふ。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「では先刻の……
今様
(
いまよう
)
の歌主?」
弓道中祖伝
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ある日いつもの通り、夜になって、二人は一晩中、
今様
(
いまよう
)
などを歌い続けて、さすがに明け方疲れ果てて眠ってしまったことがある。康頼も知らずしらずの内にまどろんでいたらしい。
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
突
(
とつ
)
として、末座の方から「このごろ都にはやるもの……」という
今様
(
いまよう
)
を歌い出す者があった。たちまち、大勢がそれに唱和する。
鉢
(
はち
)
をたたき、
手拍子
(
てびょうし
)
をそろえ、清盛も歌う、忠盛も歌う。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その構想も『源氏物語』の若紫を
今様
(
いまよう
)
にして、あの
華
(
はな
)
やぎを見せずに男を死なせ、遠く離れたのちに、男が死んだあとで、十六の娘がその人の
情
(
なさけ
)
を恋うという、結末を皮肉にした短いものである。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
浅茅
(
あさじ
)
ヶ
原
(
はら
)
とぞ荒れにける、月の光は
隈
(
くま
)
なくて、秋風のみぞ身には
沁
(
し
)
む、というところの、
今様
(
いまよう
)
をうたってみたいと思いますから、どうぞ、それまでの間お待ち下さいませ、それを済ましさえ致せば
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その中で、たれか妙覚寺の土塀に、こんな
今様
(
いまよう
)
めいたのを書いたのがあった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この夜、大将実定は、古き都の荒れ行くさまを
今様
(
いまよう
)
に歌った。
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
とまれこの父はの、元来が
今様
(
いまよう
)
の武人でないのじゃ。それゆえ、ただ功名我慾の首狩りのような戦に、わが子のそちを初陣させる気にはならぬ。……連れてゆくときがあれば、そのときは連れてゆく。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
今様
(
いまよう
)
でも歌ってみろ」
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
“今様”の意味
《名詞》
現代。現在。
現在、流行しているものや歌。
(出典:Wiktionary)
“今様”の解説
今様(いまよう)は、日本の歌曲の一形式。今様とは「現代風、現代的」という意味であり、当時の「現代流行歌」という意味の名前であった。
(出典:Wikipedia)
今
常用漢字
小2
部首:⼈
4画
様
常用漢字
小3
部首:⽊
14画
“今様”で始まる語句
今様合
今様男舞
今様浅黄裏
今様文福茶釜
今様四季三番叟