亜細亜アジア)” の例文
旧字:亞細亞
それ故に女子がその中に打罩うちこめられて、社会と縁を切ってしまった。これが主に亜細亜アジア諸国の堕落して国勢の振わないゆえんである。
女子教育の目的 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
このほかそこには、モンテ・カアロの誘因アトラクションの一の鳩射撃ピジョン・シウテングの世紀的大家、歯と襯衣しゃつの白い小亜細亜アジア生れのヴィクトル・アリ氏があった。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
その上去年の第一巻とこれから出る第三巻目は、先生一個の企てでなく、日本の亜細亜アジア協会が引き受けて刊行するのだという事が分った。
寛保元年(千七百四十一年)においては、露国の海艦ベーリング、亜細亜アジア亜米利加アメリカ頸首けいしゅたる海峡をわたり、白令ベーリング海の名これより起れり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
先年スヴェン・ヘジン氏の『亜細亜アジア貫通紀行』一八九八年板を出した時、この鼠崇拝の事あるべしと思い読むに見えず、大いに失望したが
思うにこれは西の面が亜細亜アジア大陸と相対し、また外国との交通が港を通して早くから行われていたのにるのでありましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
亜細亜アジア辺の古代民族が、何かの理由で漂流して来て、この日本の駒ヶ岳に、隠れ住んでいたものと見なさなければならない。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それから彼得堡の大学に這入って、地学を研究した。自分でも学術上に価値のある事業は、三十歳の時に刊行した亜細亜アジア地図だと云っている。
食堂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
スエズで望んで来た小亜細亜アジア亜弗利加アフリカの荒原、ポオト・セエドを離れてから初めて眺めた地中海の波、伊太利イタリーの南端——こう数えて見ると
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ともかく、このせせこましいうちに、多分のユーモアを持った小動物は、東方亜細亜アジア特有の世界的珍動物の一つとして学者から待遇されている。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
亜細亜アジア人種……阿弗利加アフリカ人種……。」と生徒達の読本朗読の声を聞き覚えに私は覚束おぼつかなくも口真似くちまねをしたりしてゐた幼ない頃の自分を思ひ出す。
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
今は米国が夜だから亜細亜アジア欧羅巴ヨーロッパは日中に在るはずだが、どの様なかたちだろう、時々刻々増す大火熱に——アアこう思うと、思うだけで戦慄する。
暗黒星 (新字新仮名) / シモン・ニューコム(著)
その半面は、豪壮な彩具えのぐと太い線で、朝鮮、明国、呂宋ルソン暹羅シャムなどにわたる亜細亜アジアの沿海と大陸の地図が画いてあった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
北京ペキンに放浪して親友川島浪速の片腕となって亜細亜アジアの経綸を策した時代は恐らく一生の中の得意の絶頂であったろうが、余りに潔癖過ぎ詩人過ぎて
二葉亭追録 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
亜細亜アジアの感情や位置の中で、どこまで共通の線となって貫き得られるものかという限界を、前から考えてみたが、まだ今は我国のマルキシズムさえが
純粋小説論 (新字新仮名) / 横光利一(著)
十月十三日の土曜日には、横浜の日本亜細亜アジア協会で「日本先住民の証跡」という講演をした。私はかつてこんなに混合的な聴衆を前にしたことがない。
亜細亜アジア製鉄所に、空前の盟休めいきゅうが起ろうとしていること、なおその盟休は政治的意味が多分に加わっていて、所長の保管する某大国との秘密契約書などを
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
日本の外には亜細亜アジア諸国、西洋諸洲の歴史もほとんど無数にして、その間には古今ここん英雄豪傑ごうけつ事跡じせきを見るべし。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
倫敦ロンドン亜細亜アジア協会の「孔雀王呪経くじゃくおうじゅきょう」初版、暹羅シャム皇帝勅刊の「阿咜曩胝アタナテイ経」、ブルームフィールドの「黒夜珠吠陀クリシュナ・ヤジュル・ヴェーダ
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
また中央亜細亜アジアへ二年とかの計画で、何百頭とかの駱駝と途方もない人数の人とを引連れて出かけたようだ。
先生を囲る話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
間もなく歳子は牧瀬が中央亜細亜アジアへ、決死的な古代建築の遺蹟いせきの発掘に出発したといふ消息を兄から聞いた。
夏の夜の夢 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
立教大学の構内に亜細亜アジア研究所とかいふものがあり、こゝに詩人で支那学者の、これが又、名前を忘れた、私は三好達治のところで一度会つたことのある人で
魔の退屈 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
もしある点に於て、英国哲学及び英国文学が、大陸または亜細亜アジアの科学哲学に優れるものありとすれば、則ちこの智識顕昭の裏面には深因の存するものあるが故なり。
我が教育の欠陥 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
彼女は近頃世界の視聴を集めている亜細亜アジア欧羅巴ヨーロッパの二つの事件、———日本軍の漢口進攻作戦とチェッコのズデーテン問題、———の成行がどうなるであろうかと
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
亜細亜アジア東南の島々の稲作種族の間にも、穀母こくぼが穀童を産み育てて行く信仰行事が、今なおいたところに持続していることを報ぜられたのを見て、この東西の一致共通には
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
亜細亜アジア局に多少知った人もありますから、外務省の手で何とか斡旋あっせんしてもらおうと思いますが……
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
その他亜細亜アジア大陸のヒマラヤ大山脈中にも似寄った意義の山名は少なからず発見せられる。
高山の雪 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
亜細亜アジア新聞の東山君だ。あそこの社会部長をしている男だ。君も知ってるだろう。
探偵戯曲 仮面の男 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
中央亜細亜アジアの荒漠たる風土の中に育ったものらしく思われるのであります。
辺土地方(中央亜細亜アジアやシベリア極地)へ出かけた。
新しきシベリアを横切る (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
亜細亜アジアのかカンガヷールのか
亜細亜アジア文明の精華を含蓄し、久しく我が国に止まっておった文明と、分派以来幾千万年、ここに初めて相邂逅かいこうしたのである。
日本の文明 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
それは、欧羅巴ヨーロッパでもなし、亜細亜アジアでもなし、そうかといってあふりかでもない。言わば、この三つの大陸を結ぶ運河の口の共同バザアなのだ。
亜細亜アジア洲と欧羅巴ヨーロッパの間を旅から旅へとうつり歩く一種族でございまして、かつて一定の国というものを持ちませぬ、また一定の家というものを持ちませぬ
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
第一次の帝都空襲に、予想以上の大痛手おおいたでをうけた祖国日本は近く第二次の大空襲を、太平洋と亜細亜アジア大陸両方面から、はさちの形で受けようとしている。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
金がなくなれば労働をし、金が出来ると先へ進み、亜細亜アジア亜米利加アメリカ欧羅巴ヨーロッパとをほとんど皆尋ね廻り三月前から西班牙スペインのこのマドリッドへ来たのであった。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ひだのある桃色の裳袴もばかまには銀モールの縁繍ふちぬいが取ってあり、耳環みみわ翡翠ひすいはともかく、首飾りの紅玉こうぎょくやら金腕環きんうでわなど、どこか中央亜細亜アジアの輸入風俗の香がつよい。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
立教大学の構内に亜細亜アジア研究所とかいうものがあり、ここに詩人で支那学者の、これが又、名前を忘れた、私は三好達治のところで一度会ったことのある人で
魔の退屈 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
弁倉児など呼ばる(『皇立亜細亜アジア協会北支那部雑誌』二輯十一巻五九頁)、天復中隴右の米作大豊年で、刈ろうと思う内、稲穂が大半なくなり大饑饉出来しゅったいした。
日本亜細亜アジア協会が十月十三日の会に際して、開会の辞を述べる可く、私を招待した。私は大森の陶器と、日本に於る初期住民の証跡とに就て、話そうと思っている。
ずっと以前瑞西スイスにいた頃に、回教は亜細亜アジア向きの宗教らしいという話をした人がある。耶蘇教やそきょうは信じてもやがてめるが、回教に入った者は出てこないということを謂った。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
亜細亜アジアの東に全く海に囲まれながら、長い帯でも引くようにつらなっている島国であります。西には日本海をたたえて大陸に対し、東や南には、果しもない太平洋の海原うなばらを控えます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
純然たる亜細亜アジア洲の旧慣に従い、居然きょぜん自得じとくして眼中また西洋なきが如くなるの一事なり。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
これ彼得ペートル大帝の宿志しゅくしを成せし一端にして、爾来じらい露国は一方においては亜米利加アメリカの西北なるアラスカを占領し、他方においては亜細亜アジアの東北を掩有えんゆうし、既にその利爪りそうわが千島に及べり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
哈爾賓ハルピンに行く途中で、木戸さんに聞いた話だが、満洲の黄土はその昔中央亜細亜アジアの方から風の力で吹き寄せたもので、それを年々河の流れが御叮嚀ごていねいに海へ押出しているのだそうである。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
己は何も、貴族や富豪の家に生れたいのではない。たとえジプシィの群に育って、旅から旅へ漂泊して歩こうとも、亜細亜アジアすみっこの日本に生れるより、どんなに仕合わせだか分らない………
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
西方は渺茫びょうぼうたる大西洋にさえぎられ、その間僅に西班牙、仏蘭西、英吉利等あるのみであるが、東方に於ては欧洲の大部分を征服し、更に足一たび亜細亜アジアに向えばそこに茫漠たる大陸を占むるの余地あり
東西相触れて (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
従って、亜細亜アジア人でも、阿弗利加アフリカ人でも、皆これをその配下に入れて、その上に世界的主権を立てるべく主張し、つこれを実行したものである。
大戦乱後の国際平和 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
「花に蜜蜂、野には牛乳ちち、遠い遠い小亜細亜アジア。美しい美しい約束の国、そこへ行かなければなりません」
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
はるばるも帰り来しものかな——やがて亜細亜アジアのメトロポリスへ、汽車は走り込むのだ。半球の旅のおわりと、空をこがす広告塔の灯とが私達を待っているであろう。