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ちゅうげん
ふりがな文庫
“
中間
(
ちゅうげん
)” の例文
後世低級の使用人を「
中間
(
ちゅうげん
)
」とも、「ハシタ」ともいったのは、やはり同じ意味で、ハシタはすなわちハシヒトの訛りであります。
融和問題に関する歴史的考察
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
しかのみならず百姓が
中間
(
ちゅうげん
)
と
為
(
な
)
り、中間が
小頭
(
こがしら
)
となり、小頭の子が小役人と為れば、すなわち下等士族中に
恥
(
はず
)
かしからぬ地位を
占
(
し
)
むべし。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
雪はその日の
夕
(
くれ
)
にやんだが、外記は来なかった。その明くる夜も
畳算
(
たたみざん
)
のしるしがなかった。その次の日に
中間
(
ちゅうげん
)
の角助が手紙を持って来た。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
なんでも今頃は孝助が大曲り辺で、三人の
中間
(
ちゅうげん
)
に
真鍮巻
(
しんちゅうまき
)
の木刀で
打
(
ぶ
)
たれて殺されたろうと思っている所へ、
平常
(
ふだん
)
の通りで帰って来たから
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今の世の価にては侍二人の給金八両、
中間
(
ちゅうげん
)
八人の給金二十両、馬一疋
秣
(
まぐさ
)
代九両を与え、また十人
扶持
(
ぶち
)
五十俵を与うれば、残り百三十九俵あり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
▼ もっと見る
振り返ると段の中ほどのところに立って、不精らしく懐ろ手をしたまま、
凝
(
じっ
)
と娘の様子を見ているのは、渡り
中間
(
ちゅうげん
)
らしい様子をした中年男です。
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こうまでは驚かねえが、旗本のお嬢さんで、手が利いて、
中間
(
ちゅうげん
)
を一人もんどり打たせたと聞いちゃあ身動きがならねえ。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこでなお、意地わるく、時の人びとは、かれらをよぶに、
雑色
(
ぞうしき
)
だの、
中間
(
ちゅうげん
)
だの、
小舎人
(
こどねり
)
などといい分ける代りに、ヘイライさんと、総称していた。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
山口屋へゆくまえに調べたところ、侍は十二人、あとは
中間
(
ちゅうげん
)
小者
(
こもの
)
と人足で、荷駄が七頭あり、五頭にはかなり重量のありそうな箱荷が付けてあった。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そこへ
中間
(
ちゅうげん
)
の市助が
目笊
(
めざる
)
の上に芦の青葉を載せて、急ぎ足で持って来た。ピンピン歩く度に蘆の葉が跳ねていた。
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
其処へ
関口官蔵
(
せきぐちかんぞう
)
と
中間
(
ちゅうげん
)
の
伴助
(
はんすけ
)
が、小平をぐるぐる巻きにして入って来た。宅悦は小平を口入した責任があった。
南北の東海道四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
又吉
(
またきち
)
の丹波屋六左衛門、菊三郎の仲買勘蔵、うつり悪し。勘太郎の
中間
(
ちゅうげん
)
宅助よし。
和市
(
わいち
)
の幇間は目障りなりき。
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
手明きの若党、
鎗持
(
やりも
)
ちの
中間
(
ちゅうげん
)
、
草履取
(
ぞうりと
)
り、
具足持
(
ぐそくも
)
ち、
高張持
(
たかはりも
)
ちなぞ、なかなかものものしい。それにこの
物頭
(
ものがしら
)
が馬の口を取る二人の
厩
(
うまや
)
の者も随行して来た。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
同町の
縫箔屋
(
ぬいはくや
)
の長というやつが、門の前を通りおったから、なまくら脇差にて叩きちらしてやったが、うちの
中間
(
ちゅうげん
)
がようようとめて、長のうちへ連れて行って
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ガタガタと、家中の戸が開く音がして、六尺棒や、木刀を押ッ取った若党、
中間
(
ちゅうげん
)
がかけ出して来る。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
勘左衛門の三人が
三鉄輪
(
みつがなわ
)
に座を構えて、浮世
雑談
(
ぞうだん
)
の序を開くと、その向うでは類は友の
中間
(
ちゅうげん
)
同志が
一塊
(
ひとかたまり
)
となッて話を始めた,そこで自分は少し離れて、女中連の中へはいり込み
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
「あんな声を出して何の
呪
(
まじな
)
いになるか知らん。
御維新前
(
ごいっしんまえ
)
は
中間
(
ちゅうげん
)
でも
草履
(
ぞうり
)
取りでも相応の作法は心得たもので、屋敷町などで、あんな顔の洗い方をするものは一人もおらなかったよ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
『倶舎論』に曰く、「
死有
(
しう
)
ののち、
生有
(
しょうう
)
の
前
(
さき
)
にありて、二者の
中間
(
ちゅうげん
)
に、
五蘊
(
ごうん
)
の起こるあり。
生処
(
しょうしょ
)
に至らんがためのゆえに、この
身
(
しん
)
を起こす。二
趣
(
しゅ
)
の中間なるがゆえに、
中有
(
ちゅうう
)
と名づく」
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
かくて徳川時代のマニン、モウトに至るまで、同じ階級のものをすべて
中間
(
ちゅうげん
)
、ハシタ、マウト、マニンなどと呼んだものであった。
賤民概説
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
それでも西岡は百八十俵取りで、お福という妹のほかに
中間
(
ちゅうげん
)
一人、下女一人の四人暮らしで、まず不自由なしに身分だけの生活をしていた。
離魂病
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と
頻
(
しき
)
りに侍と亭主と刀の値段の
掛引
(
かけひき
)
をいたして居りますと、
背後
(
うしろ
)
の
方
(
かた
)
で通り
掛
(
かゝ
)
りの
酔漢
(
よっぱらい
)
が、此の侍の
中間
(
ちゅうげん
)
を
捕
(
とら
)
えて
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
わたくしは、現在の
贅沢
(
ぜいたく
)
ぐらしさえ、幸福だとは思っていません。今でもなつかしく思うのは、あなたがまだ
中間
(
ちゅうげん
)
勤めをしていた頃の貧しい暮しです。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上州の安中でも、所の剣術遣いだと言ったが、常蔵という
中間
(
ちゅうげん
)
の足を、
白鞘
(
しらざや
)
を抜いてふいにきりかかったから、その時も、おれと二人で打ちのめして縛ってやった。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一と月ばかり前——先月の十三日の晩六助と
懇意
(
こんい
)
にしていた渡り
中間
(
ちゅうげん
)
の源次という悪党がかった男が
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
中間
(
ちゅうげん
)
が十人ばかり、峠の下へやって来て、今後この街道で稼ぐことはならんと云い、通りかかる駕籠舁きや馬子を、片っ端から捉まえては殴りつけたり
蹴
(
け
)
倒したり
雪の上の霜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
飛地の
伊豆
(
いず
)
は
田方郡
(
たかたごおり
)
の諸村を見廻りの初旅というわけで、江戸からは若党一人と
中間
(
ちゅうげん
)
二人とを供に連れて来たのだが、
箱根
(
はこね
)
風越
(
かざこし
)
の伊豆
相模
(
さがみ
)
の
国境
(
くにざかい
)
まで来ると、早くも領分諸村の
庄屋
(
しょうや
)
、村役などが
丹那山の怪
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
平安朝における
中間男
(
ちゅうげんおとこ
)
とか、
中間法師
(
ちゅうげんほうし
)
とかの語のあるのがこれを証する。勿論賤民中の上位にいる
家人
(
けにん
)
もまた
中間
(
ちゅうげん
)
としてみられる様になった。
間人考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
旦那の家は玉子屋新道で、その屋敷の門をくぐると、顔馴染の徳蔵という
中間
(
ちゅうげん
)
が玄関に立っていて、旦那がお急ぎだ、早くあがれと云うんです。
半七捕物帳:11 朝顔屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この者、元坂本の
中間
(
ちゅうげん
)
僧たりし所、
西塔
(
さいとう
)
の学僧寮に堂衆として取りたてられ、朱王房と称しおる者なり。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
真鍮巻
(
しんちゅうまき
)
の木刀を差したる
中間
(
ちゅうげん
)
が附添い、此の
藤新
(
ふじしん
)
の店先へ立寄って腰を掛け、
列
(
なら
)
べてある刀を眺めて。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
男は用人の外に
中間
(
ちゅうげん
)
、小者、
庭掃
(
にわは
)
きの爺、女はお小間使のお
延
(
のぶ
)
、仲働きのお米、外にお針に飯炊き。
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
兄貴が使った侍はみんな
中間
(
ちゅうげん
)
より取立て、信州五年詰の後、江戸にて残らず
御家人
(
ごけにん
)
の株を買ってやられたが、利平は隠居して株の金を貰って、身よりのところへかかりて
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
中間
(
ちゅうげん
)
の市助は
艫
(
とも
)
の方に控えながら。
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
近所で訊くと、この下屋敷には六十ばかりの御隠居が住んでいて、ほかには用人と若党と
中間
(
ちゅうげん
)
、それから女中が二人ほど奉公しているとのことであった。
半七捕物帳:08 帯取りの池
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
つまりは
中間
(
ちゅうげん
)
すなわちハシタ(間人)のことで、それを特殊民に対して用うるに至ったのは、その語がさらに下賤なるものに移ったという場合もあろうし
間人考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
「ついでに、
中間
(
ちゅうげん
)
と、用人がわりの、老人一名
雇
(
やと
)
いたいが、いいのがあったら、世話してくれ」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
有「えゝ、お下屋敷の松蔭大藏様の所に奉公して居りました、有助と申す
中間
(
ちゅうげん
)
でござえます」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
鉢巻トハ何ノコトダ、武士ハ武士ラシクスルガイイ、
此方
(
こっち
)
ハ侍ダカラ
中間
(
ちゅうげん
)
小者
(
こもの
)
ノヨウナコトハ嫌イダト云ッタラ、フトイ奴ダトテ吸物膳ヲ
打附
(
ぶっつ
)
ケタカラ、オレガソバノ刀ヲ取ッテ立上リ
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
金龍山
(
きんりゅうざん
)
の明け六つが鳴るのを待ち兼ねていたように、藤枝の屋敷から
中間
(
ちゅうげん
)
の角助が仲の町の駿河屋へ迎いに来た。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ハシヒト
約
(
つづ
)
まりてハシトとなり、さらにハシタとなるに不思議はない。そして後に武家の
中間
(
ちゅうげん
)
と呼ばれる下男は、そのハシタオトコを音読したものに外ならぬ。
賤民概説
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
「やっ、この者は、いつも検校の供をして、ご当家へもたびたび来ておる
中間
(
ちゅうげん
)
でございます」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中間
(
ちゅうげん
)
小者
(
こもの
)
に劣った
了簡
(
りょうけん
)
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
草履取りの
中間
(
ちゅうげん
)
と話しながら新宿の方へ急いでゆくうちに、細かい雨がふたりの額のうえに冷たく落ちて来た。
半七捕物帳:41 一つ目小僧
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すると、市松が、ことし十四になったばかりの正月、
蟹江川
(
かにえがわ
)
の支流で、
他家
(
よそ
)
の
中間
(
ちゅうげん
)
を斬った。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
前引三島文書の「半人」はハシタビトと読み、その義が半端者すなわち
中間
(
ちゅうげん
)
人で、当時賤しと見られた雑職人の通称であったのは言うまでもない。なおこの事は後項に説明する。
間人考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
おまえ達が武家に奉公すると云えば先ず
中間
(
ちゅうげん
)
だが、あんな
折助
(
おりすけ
)
の仲間にはいってどうする。奉公をするならば、堅気の
商人
(
あきんど
)
の店へはいって辛抱しろと云う。
半七捕物帳:63 川越次郎兵衛
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と、いちいち爺からいわれなくても、
中間
(
ちゅうげん
)
から
下部
(
しもべ
)
女のはしにまで心構えはできている。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
外記はさも
煩
(
うる
)
さそうに顔をしかめたが、ともかくもひとまず茶屋へ帰って角助に逢った。角助は渡り
中間
(
ちゅうげん
)
で、道楽の味もひと通りは知っている男であった。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
飼馬料
(
かいばりょう
)
、一年分で、
中間
(
ちゅうげん
)
の仕着せができよう。馬で、藩邸通いなどは、
贅沢
(
ぜいたく
)
な
沙汰
(
さた
)
」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かれは二人の
中間
(
ちゅうげん
)
をよんで、玄関の横手から再び長梯子をかけさせると、半七は身づくろいをしてすぐにするすると登って行って、大屋根の上に突っ立った。
半七捕物帳:10 広重と河獺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
“中間”で始まる語句
中間部屋
中間僧
中間男
中間者
中間法師
中間体
中間色
中間迄
中間體
中間人物